渡邊雄太が語る米国でのビジョン グリズリーズのユニホームに袖を通して

杉浦大介

来シーズンにはコールアップされる可能性も!?

複数のポジションを守れる渡邊(左)は、その守備力が評価された 【Getty Images】

 長身、リーチ、機動力を生かしてペリミタープレーヤー(アウトサイドの選手)を追い回し、シュートを難しくさせるのが渡邊の真骨頂。複数のポジションを守れる多才さも評価され、ジョージ・ワシントン大の4年生時には所属カンファレンスの最優秀守備選手賞を受賞した。グリズリーズから高く評価されたのも、やはりこの守備力がゆえだった。

 レブロン・ジェームズ出現以降のNBAはいわゆる「ポジションレス」化が進んでおり、多才な3−D(ロングジャンパーとディフェンスに特化した選手)タイプの渡邊は時代に即した選手と言える。だとすれば、今後も健康を保ち、自身が述べる通りにアピールできれば、おそらく明るい未来が開けてくる。45日間だけならサラリーキャップの枠外でロースター登録が許されるという2ウェイ契約の利点もあって、渡邊が来シーズン中のどこかでコールアップされる可能性は低くないはずである。

 気になるのは、日本代表でのゲーム時に左肩を痛め、現在はチーム練習にも参加できない状態だということ。

「今ちょっとシュートが打てていないんですけれど、だいぶ肩が上がるようになってきた。ずっと治療を受けていて、フリースローぐらいまでは打てるようになってきたので、明日か明後日ぐらいには大丈夫になるんじゃないかなとは思っています」

 プロスペクトとしては若くない23歳の渡邊にとって、この時期の深刻なけがは大きく響くことになりかねない。幸いにも今回は軽傷ということだが、今後も可能な限り体調を保ち、NBA、そしてGリーグの開幕までに即戦力になり得ることを示していきたいところだ。それさえかなえば、NBA入りはもう夢物語でも何でもない。メディアデイでも自信に満ちた笑顔を浮かべた渡邊の向こうに、アメリカンドリーム成就の瞬間がすでにうっすらと見えてきている。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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