次なるスナイデルか、ベッケンバウアーか アヤックスが生み出した新時代のMF
スナイデルの引退試合はデ・ヨングのファーストマッチ
まるで運命に導かれたように、スナイデルの引退試合で代表デビュー 【Getty Images】
デ・ヨングに対するオランダ国内の期待は高まっている。9月6日(現地時間、以下同)の親善試合、オランダ対ペルーはスナイデルの代表引退試合を兼ねていたが、オランダでは戦前から「スナイデルのラストマッチは、フレンキー・デ・ヨングのファーストマッチ」とうたわれていたのだ。
ベンチスタートだったデ・ヨングは、大拍手に迎えられて後半開始からピッチに送り出された。
58分48秒、ヨハン・クライフ・アレーナが「ウェスリー、ウェスリー」とスナイデルを称えるチャントを歌い出し、場内が一斉に盛り上がった。その数10秒後、デ・ヨングがスルーパスがメンフィス・デパイのゴールをアシストし、オランダが1−1の同点に追いついた。そして、ペルーのキックオフで試合が再開される寸前に、スナイデルがスタンディングオベーションを浴びながらベンチに退いた。
アヤックスとデ・ヨングはCLで輝けるか
アヤックスのCL予選プレーオフ突破に貢献。本戦でも輝けるか? 【Getty Images】
「そうなるかもしれない」と、マールテンは答えた。
「マタイス・デ・リフト(19歳/アヤックスのCB)とフレンキー・デ・ヨング……やっと、オランダにも世界レベルのタレントが出てきたね」と私が続けた。
「あと3人ぐらい、そういった選手が欲しいよね。スティーブン・ベルフワイン(20歳/PSVのFW)は未知数だけれど、その可能性を大いに秘めている。ただ1つ、気になるのは、デ・ヨングはもう21歳だということ。スナイデルは21歳の時に、確かオランダ代表で30試合ぐらいはこなしていたはず。それに比べるとデ・ヨングはちょっと遅いよね」
記録を調べると、21歳までにスナイデルはオランダ代表キャップ「18」を数えていた。しかも、19歳の時にスコットランド戦で1ゴール3アシストを決めて、オランダの絶体絶命のピンチを救ってユーロ(欧州選手権)2004予選突破のヒーローになっていた。
しかし、「時代は変わった」とも考えられる。今もアヤックスにはジュスティン・クライファート(現ローマ)やデ・リフトのようにティーンエイジャーから華々しく活躍する選手がいる。一方で近年のアヤックスはリザーブチームが機能してオランダ2部リーグで好成績を残している(昨季は優勝)から、そこで経験を積んでからトップチームで活躍すればいい。アブドゥルハーク・ヌーリはそのモデルケースになるはずだった……(※編注:昨年7月に不整脈でピッチで倒れ、脳に重い損傷を負ってしまった)。
結局、試合はフランスが2−1で勝った。ここ4年、オランダとフランスは頻繁に対戦をしているが、これでオランダの5連敗だ。『レキップ』紙はオランダの選手に採点3、4、5と軒並み落第点を付けたが、デ・ヨングのみ「6」の及第点を与えた。自陣でプレッシングをかけられても、フェイントやストップでひと呼吸ついてから角度やスペースを作り、ボールを前にデリバリーするスキルは、フランス戦でも際立っていたのだ。
間もなく開幕するCLでアヤックスが、そしてフレンキー・デ・ヨングが、どれだけ欧州の舞台で暴れるか、私は楽しみにしている。