オランダで「若手の星」と評される堂安
植田は“上”を見据えてスタメン争い中

一瞬のひらめきを評価される堂安

コンディションの良さを伺わせたフローニンゲンの堂安
コンディションの良さを伺わせたフローニンゲンの堂安【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 8月17日(現地時間、以下同)はオランダでフローニンゲン対ウィーレム2を見た。堂安律は4分、ドリブルでペナルティーエリア内右側に侵入し、強烈な右足シュートを放った。相手を背負った状態からターンしてドリブルしたり、FWトム・ファン・ウェールが空中戦で競ったこぼれ球をスプリントして拾ったり、堂安のコンディションはかなり良さそうだった。


 だが、チームとしてフローニンゲンは中盤を作れず、前線へのロングボール任せの攻めばかりで、いささか心もとない。堂安とダブルエースを組むミムン・マヒーが負傷し、前半いっぱいでベンチに退くと、堂安にマークが集中し、ほとんどボールを触れなくなってしまった。


 それでも「無」の状態から、ビッグチャンスを作ってしまうのが、堂安のすごいところだ。後半15分、右サイドライン際に張ってボールを持った堂安が、遠くをルックアップすると、低く鋭いミドルパスを左45度でフリーのFWメンデス・モレイラに通してしまった。残念ながらモレイラのシュートはDFにブロックされてしまったが、こう着状態の展開を一気に崩す堂安のパスセンスの良さが光った。


 翌朝、フローニンゲンのカフェで地元紙『ダッハブラット・ファン・ヘット・ノールデン』を開くと、なんと堂安には「7」という高採点が付いていた。かつての指導者、ハンス・ウェステルホフの寸評を読むと「堂安を責めることはできない」と記している。


 全国紙『アルヘメーン・ダッハブラット』はやはり「7」、サッカー専門誌『フットボール・インターナショナル』は「6.5」と、堂安に対して実に高い評価を下している。試合は良いところなくフローニンゲンがホームで0−1と敗れ、堂安自身、後半半ばからチームの放り込み戦術の犠牲になり、ボールにほとんど絡めなかったのだ。

オランダ国内では「若手の星」

敗戦となったものの、オランダ国内での堂安の評価は上々だ
敗戦となったものの、オランダ国内での堂安の評価は上々だ【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 堂安自身は、試合後、どう語っていたのだろう。いくつか、彼の言葉を拾ってみる。


「点差以上に残念な内容でした。(前半は)チームとしても個人としてもチャンスを多く作れたので良かったですけれど、チームの調子が悪くなるとともに自分の調子も下がっていった。そういうところで助けることができるような、違いを作れるような選手になりたいです」


「ああいうサッカー(終盤の放り込み)をするなら、俺を代えてセンターバック(CB)の選手を入れたほうがいいと思います。そう思っちゃうようなゲームでした。サッカーがしたいです」


「僕は『中にステイしておけ。あんまり外に張るな』と言われています。だけれど中に留まっていると、相手も去年の活躍を見ているので潰しにくるシーンが多いので、すごく窮屈な試合展開でしたし、視野も狭くダメでした」


 私は、ウィーレム2戦の堂安を「5.5」と見ていた。ポツリポツリと力なく試合を振り返る堂安を見てしまい、少しバイアスがかかってしまったのかもしれない。それでも前述の「堂安を責めることができない」という寸評には同意である。


 ちょっと客観的な意見を聞きたいと思い、私はテレビ解説でも有名なAさんに連絡をとってみた。


「俺は採点には興味ないけれど、確かにウィーレム2戦の堂安は良かったよ」とAさん。


「開幕のフィテッセ戦で堂安はゴールを決めたけれど、今回のほうがプレーは良かった。前半は特に良いプレーを見せていたよね。中田さんは『後半、堂安は消えていた』って言うけれど、右サイドからミドルパスでチャンスを作った、あのプレーひとつで十分じゃん。全くチャンスが生まれそうもない状態から、堂安の力だけでビッグチャンスになっちゃたんだから。それに加えて、今、オランダでは堂安に対して『若手の星』という期待が大きい。だから、堂安には好意的だよね」


 オランダにおける堂安の、評価基準の参考にしてほしい。

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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