侍J社会人代表、アジア大会で称賛の銀 チームワークと十分な準備期間で結束

室井昌也

決勝ではオールプロの韓国に敗れるも、アジア大会で銀メダルを手にした侍ジャパン社会人代表 【写真:ロイター/アフロ】

 4年に一度の「アジア版オリンピック」とも言われるアジア競技大会(アジア大会)。野球日本代表は1日にインドネシア・ジャカルタで行われた決勝戦で韓国と対戦し0対3で敗れ、前回、前々回の銅メダルから一つ順位を上げ、銀メダルで大会を終えた。(大会概要については下記コラムを参照)
 日本はアジア大会に社会人野球の選抜選手(侍ジャパン社会人代表)が参加。「兵役免除」を最大の動機づけにプロのトップチームが参加した韓国と、プロの若手と社会人野球の選手で構成された台湾と争っての銀メダルは称賛に値する結果だった。

元巨人・姜建銘が絶賛した右腕

韓国、台湾との重要な試合で好投した荒西。自他ともに認める「やばい」活躍を見せた 【Photo by Robertus Pudyanto - Samurai Japan/SAMURAI JAPAN via Getty Images】

 大会に入って能力を存分に発揮したのがリリーフを務めた荒西祐大(ホンダ熊本)だった。サイドスロー気味のスリークオーターから打者の手元でグッと伸びる速球とシンカーを武器に、スーパーラウンドの韓国戦では1回1/3を1安打無失点。2つの三振を奪った。また連投となった台湾戦では6回途中から9回までロングリリーフ。被安打1の無失点、3つの空振り三振を奪ってチームを決勝進出に導いた。

 その荒西について、かつて巨人に投手として在籍し、今回台湾の3番打者として対戦した姜建銘(ジャン・チェンミン/崇越)は、「真っすぐは速いし、スライダーもシンカーも真っすぐと同じようにきて急に曲がる。ウチの背番号7の左バッター(蕭帛庭=台湾電力)は凡退した後、ベンチで“めっちゃあのボールやばい”と言っていた」と流ちょうな日本語で教えてくれた。また、6月の大分での代表合宿を偵察した韓国のスコアラーは「一番の難敵は荒西。彼は大会では先発で投げてこないのか?」と尋ねてくるほど脅威に感じていた。

 荒西に決勝戦終了後、今大会での成果について尋ねると、普段の落ち着いた口ぶりとは違い、やや興奮気味にこう話した。

「今後の野球人生で相当な自信になった。韓国のプロから三振2つ取れて普段得られない経験と自信になった。やばいです」

 ジャカルタで自他ともに「やばい」と認める快投をし、8月25日には現地で26歳の誕生日を迎え同僚から祝福を受けた。荒西にとってアジア大会の日々は一生のものとなった。

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著者プロフィール

1972年東京生まれ。「韓国プロ野球の伝え手」として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。また編著書『沖縄の路線バス おでかけガイドブック』は2023年4月に「第9回沖縄書店大賞・沖縄部門大賞」を受賞した。ストライク・ゾーン代表。

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