高山善廣の復活支援興行にレスラー大集合 エール続々「このリングに戻ってこい」

高木裕美

現在も過酷なリハビリを続ける

高山善廣の復活支援興行に団体の垣根を超えて豪華レスラーたちが大集結 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 昨年5月の試合中に頚髄完全損傷の重傷を負い、リハビリ中の“帝王”高山善廣を支援する「TAKAYAMANIA EMPIRE」が31日、東京・後楽園ホールで開催された。

 現在51歳の高山は、1992年にUWFインターナショナルでデビュー。その後もキングダム、全日本プロレス、プロレスリング・ノアに所属し、01年からはフリーとして活動。新日本プロレスのIWGPヘビー級&IWGPタッグ、全日本の三冠ヘビー級&世界タッグ、ノアのGHCヘビー級&GHCタッグと、メジャー3団体のシングル&タッグ王座をすべて制覇する史上初の快挙を達成した。また、総合格闘技イベント「PRIDE」にも参戦し、01年6月にはドン・フライとの殴り合いで一躍注目を集めた。

 だが、昨年5月4日のDDT・大阪大会で前方回転エビ固めを狙った際、頭からキャンバスへ突っ込むアクシデントが発生。すぐに病院へ搬送されるも、首から下を自分の意思で動かすことができない状況で、現在も過酷なリハビリを続けている。

 昨年9月4日に鈴木みのるが会見を開き、現在の高山の状況を明かした上で、高山を支援する「TAKAYAMANIA」の発足を発表。各団体、関係イベントなどでの募金活動や応援グッズ販売が開始された。支援イベントとなる今大会は、“帝王”にちなんでEMPIRE(帝国)と名づけられ、高山本人がプロデューサーとしてマッチメイクなどに参加。また、チケットもクラウドファンディングのみで販売し、“参加型”の企画を発表。目標金額(800万円)を大きく上回る933万5000円の支援を集めた。

試合の解説に登場した前田日明は、リング上で「プロレスラーの身体は神経で動くんじゃない、魂で動くんだよ」と、高山に熱いエールを送った 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 なお、今大会には団体の垣根を超えた豪華レスラーたちが出場。また、解説には前田日明、小橋建太、佐々木健介、山崎一夫が参加したほか、ビデオメッセージではスタン・ハンセン、天龍源一郎、武藤敬司、安生洋二、宮戸優光、垣原賢人、山本喧一、ヒデオ・イタミ、高田延彦らが応援の言葉を贈った。なお、前田はリング上から「頚髄損傷から奇跡と呼ばれる復活を果たした人、結構いるんですよね。高山、プロレスラーの身体は神経で動くんじゃない、魂で動くんだよ。おまえも魂で身体を動かして、このリングに戻ってこい!」と、熱いエールを飛ばした。

盟友みのるが高山に捧げる勝利

盟友・鈴木みのるは高山に捧げる勝利 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 メインイベントでは、高山の盟友・鈴木みのるがNOSAWA論外&MAZADAと組んで、太陽ケア&TAKAみちのく&近藤修司組と対戦した。

 高山とみのるは、新日本にレギュラー参戦していた03年ごろに「外敵タッグ」を結成し、04年2月にはIWGPタッグ王座も奪取。だが、同年8月の「G1クライマックス」での佐々木健介戦の直後に脳梗塞で倒れ、王座を剥奪された。高山は2年後の06年ノア7.16日本武道館大会で復帰を果たすと、09年には全日本に参戦。みのるがケア、東京愚連隊とともに結成したGURANTAIに合流した。10年開催のNOSAWAプロデュース興行では、タカン・ハンセン&ブルーザー・ミノディとして大暴れするなど、お茶目な一面も発揮。高山と公私共に深く結びついていたみのるだからこそ、真っ先に高山の支援を訴え、支えてきた。

 最近は新日本マットで「鈴木軍」を率いるみのるは、頼れる子分であるはずのTAKAに対し、容赦なくイス攻撃。しかし、TAKAもみのるを羽交い絞めにすると、放送席に座っていた健介、小橋に対しチョップを要求。05年7.18ノア東京ドーム大会で、計213発のチョップを打ち合い、同年のベストバウトを獲得した2人が、みのるの胸板に快音を響かせると、観客も大いに沸いた。すでに引退した2人からチョップの洗礼を浴びせられたみのるは、お返しとばかりにTAKAにもチョップ9連打+パンチ。TAKAはケアのSUNケアキック、近藤のキングコングラリアットのアシストを受け、スーパーK、ジャストフェースロックで食い下がるが、みのるが切り札のドロップキックからPK、スリーパー。さらに、観客をあおりながら溜めのあるゴッチ式パイルドライバーを繰り出し、見事フィニッシュを決めた。

高山からのビデオメッセージも。「足で蹴る感覚がちょっと出てきた。鈴木みのる、待ってろよ!」と力強い復帰宣言も飛び出した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 かつてのGURENTAIの入場テーマ曲「Holding Out for a Hero」が流れる中、出場全選手や解説、来場していた桜庭和志、ヨシタツもリングに集まり記念撮影。続いて、8月24日に撮影された高山からのメッセージが流され、「次回どうなるか分かりませんが、足で蹴る感覚がちょっと出てきたのが分かりましたので、悪さばかりしている鈴木みのるの顔面をビッグブーツできるのを、僕自身も楽しみにしています。それまで、鈴木みのる、待ってろよ! 今日の後楽園ホールにいるみんな、ありがとう!! また会おう!!」と力強い復帰宣言。

高山に届け、ノーフィアー! 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 これに対し、みのるも「オレはおまえがここに上がってくるまで、プロレス界の王として待ってやる。おまえのトドメはオレがさしてやる」と受け止めると、「第1回TAKAYAMANIA EMPIREはこれにて終了。もう1回見たいか? 次はもっとおまえらの気持ち、アイツに届けよう」と次回大会の開催の可能性も示唆した上で、最後は「高山に届け、ノーフィアー!」で大会を締めると、TAKAYAMANIA代表を務める高山の妻・奈津子夫人と握手をかわし、大会の成功を確かめ合った。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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