日本最強を知らしめた女子バドの優勝 それでも「中国との差は、まだギリギリ」

平野貴也

中国破り、48年ぶりアジア女王に

中国を破り、日本がアジア女王の座についた 【写真:松尾/アフロスポーツ】

「日本最強」を世界に知らしめる、48年ぶりの栄冠だった。インドネシアで開催されているアジア競技大会のバドミントン女子団体戦は、誇らしいフィナーレを迎えた。6連覇を目指していた中国、5月のユーバー杯準優勝のタイ、そして開催国のインドネシアよりも高い位置の表彰台に上がったのは、日本だった。国旗掲揚ととともに君が代がアリーナに静かに響き渡った。優勝候補として大会に臨み、準決勝で地元のインドネシア、決勝で最大のライバルである中国を撃破。文句なしに最強を証明した。

 中国との決勝戦は、第1シングルスの山口茜(再春館製薬所)が敗れたが、第1ダブルスで福島由紀、廣田彩花組(岐阜トリッキーパンダース)が勝って追いつくと、第2シングルスで昨年の世界選手権優勝の奥原希望(日本ユニシス)、第2ダブルスで2016年リオデジャネイロ五輪金メダリストの高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)が連勝して3−1で勝利。相手の勢いをすぐに止め、日本の総合力を見せつけた。

 主将を務める高橋は「もちろん、ユーバー杯の優勝もうれしかったけど、1番のライバルは中国。そのチームに勝って優勝するのは格段にうれしいと感じた」と、望んでいた充足感に笑顔を見せた。日本は、5月に団体戦の世界大会であるユーバー杯で優勝。すでに世界一に輝いていたが、優勝候補の中国が準決勝で開催国のタイに敗れたために対戦しておらず、中国に勝ちたいという思いを抱いていた。朴柱奉監督は「今年の団体戦は、すべて優勝できた。2月のアジア団体戦、5月のユーバー杯、今回のアジア大会。ベストです」と選手が成し遂げた成績の価値をたたえた。強豪国の多くがアジア勢。4年に1度のアジア大会は、世界大会に匹敵するレベルの価値がある。48年ぶり3度目の優勝は、成長した日本が世界最強となった証しだ。

勝利の鍵となった福島、廣田組

安定感が光った福島、廣田組 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 今大会は、第1シングルスの山口が波に乗れず、準々決勝から勝利を挙げることができずに苦しんだが、ほかはすべて勝利。第2シングルスに起用された奥原は「日本の強みは、2つのダブルスが絶対にポイントを挙げてくれるという信頼感」と話した。中でも、第1ダブルスの福島、廣田組の安定感は、最も心強かった。

 特に準決勝では大きな存在感を示した。相手は、バドミントンが国技のインドネシア。熱狂的な声援で独特の雰囲気になった会場で第1シングルスを勝った相手は勢いに乗っていた。しかも第1ダブルスは、世界4位のエースペア。負ければ、総崩れになる危険性があった。しかし、福島、廣田は攻撃的なレシーブで相手を押し返し、ストレート勝ちを収めた。
 決勝戦でも朴監督が「最後の第3シングルスまで行くと、難しい。3−1で勝たないと危ないと思っていた。だから、第1シングルスで山口が負けてしまったので、あとは3連勝しかなかった。福島、廣田の勝利は、ムードが戻る大きなポイント。勝てる可能性が50パーセントに戻った」と話したように、試合の流れを大きく変える勝利を挙げた。

 今大会では、全勝。廣田は「ユーバー杯では(準決勝の韓国戦で)1敗してチームに迷惑をかけた部分があり、悔しい思いもした。自分たちが勝てば、流れもくると感じていた。その経験が生きているかなと思うし、3勝は自分たちの成長でもあると思う」と役割の重要性を感じながら試合に臨み、見事に責任を果たした。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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