日本最強を知らしめた女子バドの優勝 それでも「中国との差は、まだギリギリ」

平野貴也

層の厚さ示すも「力を上げていかないと」

「中国との差は、まだギリギリ」と話す朴監督(右から2人目) 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 48年ぶりのアジア大会制覇は、何よりも日本の選手層が厚くなったことの証明だ。福島、廣田組が第1ダブルスで、リオ五輪の覇者である高橋、松友組が第2ダブルスに起用されるのは、世界ランクの高い順に起用するルールがあるからだ。エース同士の対決を避けて、相手の弱点にエースを当てる作戦は使えない。そうであるにも関わらず、世界選手権を制した奥原や、五輪金のペアが第2シングルス、第2ダブルスに回っていることが、日本の強さを示している。奥原より年下の山口、そして高橋、松友より年下の福島、廣田と、次の世代が追い越す勢いを見せているのが最近の日本だ。強い第1シングルスや第1ダブルスがいなければ、続く試合で勝利を挙げるのは、もっと困難なものになる。5月のユーバー杯でもほぼ同じオーダーで戦ったが、このオーダーが中国にも通用することが証明された。

 しかし、今後を考えると、必ずしも楽観はできない。2年後の東京五輪には、団体戦がない。今度は「日本最強」を個人戦で示さなければならない。
 朴監督は「中国との差は、まだギリギリ。まだ満足しないで、五輪に向けて頑張らないといけない。ほかのチームは、日本にライバル意識を持っています。もう1回、力を上げていかないといけない」と話した。

次世代を育てている中国 松友「負けないように頑張りたい」

松友は、今回の中国を「今は、少しずつ(次の戦力を)作ってきている状況」と冷静に分析。日本最強時代をつくるためには、さらなる競争力の向上が不可欠だ 【写真:ロイター/アフロ】

 最も俯瞰的にこの大会を振り返ったのは、松友だ。

「多分、今までに戦ってきた中国より、レベルが少し落ちている。今は、少しずつ(次の戦力を)作ってきている状況だと思う。その中でも勝ち切れたのは良かったけど、相手はこれからもっと強くなってくると思うので、負けないように私たちも頑張りたい」

 実際、中国は4つのすべてのオーダーで日本より若かった。インドネシアも日本より年上だったのは、ダブルスのベテラン、グレイシア・ポリーのみ。20歳前後の選手が多く起用されていた。

 今大会で日本は中国の6連覇を阻止したが、日本が中国と同じように連覇をしていくためには、さらに次の世代が現れ、オーダーが変わって行くようでなければ難しい。23日から始まるアジア大会の個人戦を皮切りに、9月に日本で行われるダイハツヨネックスジャパンオープンなど世界最高峰のワールドツアーで、新たな戦力の台頭が求められる。東京五輪に向けた、さらなる競争力の向上こそが、団体戦連覇への鍵でもある。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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