【ノア】杉浦が潮崎の挑戦を退けGHC王座V4 新世代軍の北宮が次期挑戦者に名乗り

高木裕美

GHCを賭けての戦績は杉浦の3勝2敗だった

GHCヘビー級選手権試合では、王者・杉浦貴(写真)が激闘の末に潮崎豪を下し、4度目の防衛に成功 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 18日のプロレスリング・ノア「川崎市スポーツ協会70周年記念 プロレスリング・ノア×川崎フェスティバル2018」神奈川・カルッツかわさき大会では、GHC2大タイトルマッチなどが行われ、1320人を動員した。

 メインイベントのGHCヘビー級選手権試合では、王者・杉浦貴が30分を超える激闘の末に潮崎豪を下し、4度目の防衛に成功。次期挑戦者にはマサ北宮が名乗りを上げた。

 両者はこれまで5度、GHC王座を賭けて対戦し、杉浦の3勝2敗。09年12.6日本武道館では王者・潮崎から杉浦が王座を奪取し、10年9.26武道館では杉浦が防衛。11年7.10有明コロシアムで潮崎に奪われるまで、約2年にわたり王座を保持し、歴代最多記録となるV14に成功した。その後、潮崎は12年末にノアを退団し、全日本プロレスに移籍。だが、15年9月に退団し、16年1月よりノアに復帰した。同年5.28大阪で王者・杉浦から王座を奪い、6月にノアへ再入団となるも、7.30後楽園ホールで再度杉浦に王座を奪われて以来、ベルトから遠ざかっている。

「ノアの強さの象徴」とも言われる杉浦は、これまで同王座史上最多となる4度の戴冠(09年12月、16年1月、16年7月、18年3月)を果たしており、V14の最多防衛記録も保持。一方、潮崎はこれまで3度戴冠(09年6月、11年7月、16年5月)しているが、いずれも短命(1度、3度、1度)に終わっている。潮崎は09年6月に三沢光晴さんが急逝した直後にGHC王座を初戴冠。ノアのエースとして期待されたが、それから9年経っても、名実ともに杉浦・丸藤正道のノア二枚看板を突き破れていないのが現状だ。

雪崩式五輪予選スラムで決着

強烈な打撃戦を見せた2人だが、最後は杉浦(右)が雪崩式オリンピック予選スラムで決着をつけた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 2年ぶりの王座返り咲きを目指す潮崎は、場外で鉄柵ホイップ、鉄柱チョップを見舞うなど、気合十分。杉浦も10分過ぎにセカンドロープからの雪崩式ブレーンバスター、逆エビ固めを繰り出すと、潮崎もノータッチトペを敢行。さらにターンバックルへパワーボムでたたきつけるが、杉浦もお返しのターンバックルへのジャーマン。さらに串刺しニー、ジャーマンスープレックス、ランニングニーからオリンピック予選スラムを決めるが、カウントは2。

 25分過ぎ、潮崎もラリアット、ゴーフラッシャー、逆水平チョップから、さらにエルボーのサポーターをはずしてのショートレンジ豪腕ラリアット。これを返されるとムーンサルトプレスで勝負をかけるも、杉浦はヒザ剣山でブロック。杉浦のエルボー、潮崎の逆水平チョップによる打撃戦から、杉浦がドラゴンスープレックスで投げれば、潮崎もジャーマンでやり返す。

 30分過ぎ、杉浦がエルボー、頭突きを放つと、潮崎も頭突き返し。杉浦が思わずナックルをブチ込むと、潮崎は至近距離からのラリアット2連発をたたき込むも、その直後に杉浦がカウンターのラリアットを炸裂。2発目のオリンピック予選スラムは2で返されるも、雪崩式オリンピック予選スラムで、ついに杉浦に凱歌が上がった。

北宮の挑発に杉浦「おじさんは強いぞ」

試合後はマサ北宮(左)が挑戦を表明。杉浦は「おじさんは強いぞ。いつでもやってやるよ」とその場で応じた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ベルトを肩にかけた杉浦が「おい、潮崎、オレがこのベルトを持っているうちは、おまえの前に立っているから、いつでも来い」と呼びかけると、そこに北宮が現れ、「潮崎豪がやられて、オレ自身もタッグのベルトを獲られて。でも、下を向くわけにはいかない。後ろに下がるわけにはいかない。挑戦表明だ。ベルトを賭けてオレと戦え、この野郎」とタイトル挑戦をアピール。これに対し、杉浦は「君、誰? 随分サッパリしたな。おじさんは強いぞ。いつでもやってやるよ」とその場で応じてみせた。

 世代闘争が勃発して以来、新世代の挑戦を退けてきた杉浦にとって、若い世代からの挑戦は望むところ。とはいえ、今回、北宮がリングに上がってきた際、客席からほとんど期待する声が挙がらなかったように、今までノアの歴史や実績を作り上げてきたベテラン軍に対し、新世代軍はまだまだ観客の支持が少ないのも事実だ。「オレがトップに立って、いい試合を見せて、お客さんを振り向かせなければいけない」と、“ノア復興”をテーマに掲げる杉浦にとって、世代闘争は、若い世代に注目をさせる絶好の機会でもある。だからこそ、杉浦は「オレはおいしい。オレを利用すればいい」とGHCの記録を複数保持する自身の価値をアピール。自分が高い壁となって立ちはだかる分、その首を狙って、どんどん向かってくるよう呼びかけた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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