イタリアで巻き起こるC・ロナウド狂騒曲 ユベントスはピッチ内外でどう変わる?
異様な注目が集まったある日の紅白戦
この夏、9年間在籍したR・マドリーを離れてユベントスに移籍したC・ロナウド 【写真:ロイター/アフロ】
それが今年は、異様な注目を浴びた。原因は言うまでもなく、クリスティアーノ・ロナウドの移籍だ。クラブの米国遠征には帯同せず、パウロ・ディバラ(アルゼンチン代表)やフアン・クアドラード(コロンビア代表)らワールドカップ(W杯)ロシア大会出場選手とともに調整することとなった彼にとって、これが移籍後初試合となることが予告されていた。
そして7月の終わりにチケットの販売が開始されると、4500席の前売り分は数時間で完売。この反響の大きさに地元の行政当局は驚き、試合の2日前から警察や私設ガードマンを増員して交通規制にあたった。「クリスティアーノなんたらのおかげで、バスもこの3日間、迂回運転だよ」と、路線バスの運転手はぼやいていた。
CR7、カルチョの世界にようこそ
トリノはすっかり歓迎ムード。7番のユニホームも“爆売れ”しているという 【写真:ロイター/アフロ】
その傍らで、取材に応じるマッシミリアーノ・アッレグリ監督は雰囲気を危惧した。「これだけの補強には興奮してしまうのも仕方がない。だが開幕までにチームを落ち着かせなければ」。7月10日にC・ロナウドの移籍が決定して以来、ユーベのファンのみならず、イタリアのサッカー界はある種の狂騒状態にある。
移籍前も、その決定後も、地元スポーツ紙は常にC・ロナウド1人に数ページを割く。トリノの街の商店には「BEM-VINDO(ようこそ)」とポルトガル語で書かれた商工会議所作成の歓迎ポスターが貼られ、ポルトガルのリキュールを使い“CR7”の名がつけられたジェラートやカクテルが売られる。
練習場の門の前には連日大勢の人だかり。クラブのオフィシャルショップがあるアリアンツ・スタジアム併設のショッピングセンターにも「RONALDO 7」のユニホームを着た家族連れが非常に多い。選手と同規格のオフィシャルユニホームについては、クラブが年間販売分として想定していた5万5000枚がわずか3週間で売り切れたとの報道も出た。C・ロナウドの加入によりゴンサロ・イグアインがミランに“玉突き”で移籍したり、負けられないインテルもルカ・モドリッチの移籍報道が挙がったりなど、ある意味でフィーバーは他クラブにも波及していた。