瀬戸大也が貫く「前半から攻める」姿勢 ライバルに勝つため求める爆発力
「やるべきことは明確に見えた」と手応え
瀬戸はパンパシ水泳で金1つ、銅1つを獲得。夏休みの子どもたちの「ヒーロー」を演じてみせた 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
瀬戸大也(ANA)その人だ。
24歳になった瀬戸は9日の400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得すると、10日の200メートルバタフライでは金メダルに輝き、「目標だった『子どもたちのヒーロー』に少しは届いたかな」と笑顔。かつての瀬戸少年に面影を合わせるかのように、会場に集まった子どもたちに夏休みの思い出をプレゼントした。
今大会、瀬戸は3種目に登場。上記2種目に加え、11日の200メートル個人メドレーでも表彰台を狙ったが、調整不足と疲れが影響してか4位でフィニッシュ。とはいえ大会を振り返り「東京五輪へ向けてやるべきことは明確に見えた」と表情は晴れやかだった。充実感をにじませた理由は、本腰を入れて練習に取り組んでいた400メートル個人メドレーでの、あるチャレンジにあった。
本命種目での大きなチャレンジ
400メートル個人メドレーの表彰台で笑顔を見せる(左から)萩野、カリシュ、瀬戸。実績十分の“3強”が個人メドレーを引っ張っている 【写真:アフロ】
バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形の順番で泳ぐ個人メドレーともなると、泳ぎ方に得意・不得意があり、ペース配分は大事な戦略となる。実際に平泳ぎを得意としているカリシュは、「前半の種目は彼ら(瀬戸、萩野)より強くないので、自分のペースを保ってやっていこうと思う」と冷静にプランを描いていた。
しかし瀬戸はスタート直後からがむしゃらに飛び出しトップに躍り出ると、折り返しの200メートル地点で3番手のカリシュに1秒42もの差をつけた。いくらカリシュが平泳ぎを得意としていようが、追いつけないのではと思わせるくらい瀬戸には勢いがあった。だが「最後は抜け殻のような泳ぎ」となり失速してしまい、カリシュには平泳ぎで追い抜かれ、萩野にも最後の100メートルで競り負けて3位でのフィニッシュとなった。
「全力では泳ぎ切れたかなと思うのですが、負けたというのは率直に悔しいですし、もっといいレース展開もあったんじゃないかなと思うと少し後悔はあります。しかし中途半端にいくよりはこうやって攻めて、最後の自由形が1分2秒ほどかかってしまうすごい遅いラップでも、今回の泳ぎ方の方が収穫があるかなと思います」
4分12秒60と自己ベスト(4分7秒99)からは程遠いタイムにも、瀬戸はレースをこう振り返り、胸を張った。