瀬戸大也が貫く「前半から攻める」姿勢 ライバルに勝つため求める爆発力
後半の爆発力を引き出すために
400メートル個人メドレーでのゴール後、苦しい表情を見せた瀬戸。しかし「全力で泳ぎ切った」ことに充実感をにじませた 【写真:アフロ】
瀬戸の自己ベスト4分7秒99に対し、萩野のそれは4分6秒05であり、カリシュにいたっては4分5秒90と差がある。そんな強敵相手のレースに勝つためには「爆発力」が不可欠。それを引き出すために、最初から全力でいく。一見無謀にも見える泳ぎ方だが、そこにはライバルに勝つための確かな考えがあった。今回は“不発”だったが、継続することで瀬戸が言うところの「すごい結果」がいつか出てくる。そんな期待を抱かせてくれた。
もとより、この積極的な姿勢は思いつきの類ではない。4月の日本選手権では4分14秒01とタイムは振るわなかったが、「突っ込んでいく姿勢というのはできたので、次にはつながる」と今回同様に前を向いた。
「そうやって積極的なレースを五輪に向かってやっていかないと、間に合わないと思うので、もっと前半から(積極的に)いって、後半爆発できるように」とテーマは一貫している。今回もそのチャレンジが表れた泳ぎだった。
後半は失速してしまったものの、前半に飛ばした今回のレースは見るものに強く印象付けられた。きっと子どもたちの記憶にも刻まれたはずだ。しかし瀬戸は「いやー、最後は忘れてほしいです(笑)最初の200メートルまで覚えていてほしいです」と笑い飛ばした。
アジア大会でも攻める姿勢が見られるか
積極果敢なレースは、アジア大会でも見られるだろうか 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
大きなチャレンジは真剣勝負の場でこそ意味を成す。「チェイス(・カリシュ)に勝つイメージも作っていってますし、こうやって一緒にレースをすることでよりイメージが膨らむ」と語ったが、世界の強豪相手に試せる機会は数えるほどしかない。そのうちのひとつが今月19日から6日間の日程で競泳種目が行われるアジア大会(インドネシア・ジャカルタ)だ。
「東京五輪ではこのように前半(攻めて)泳ぎ、後半も爆発してというところを(発揮できるように)、あと2年間求めていきたいと思います。しっかりと400(メートル)の個人メドレーに関しては、アジア大会でもっと良い泳ぎをしたい」
攻める姿勢を体に染みこませ、爆発力につなげる。アジア大会でも前半から積極果敢なレースが見られるか。ポジティブな瀬戸らしいチャレンジは続く。
(取材・文:鈴木一史/スポーツナビ)