森保監督「年代間の融合を図り、発展に」 日本代表新監督 就任記者会見

スポーツナビ

日本代表監督の就任会見に臨んだ森保一新監督 【スポーツナビ】

 日本サッカー協会は26日、日本代表の次期監督に五輪代表監督を務める森保一氏の就任が決まったことを発表し、都内で新監督就任記者会見を行った。

 田嶋幸三会長は、森保氏がA代表と五輪代表監督を兼任することについて「五輪と日本代表の両方の監督という、2つの重要な役割を担っていただきます。これに対しては、技術委員会でも多くの議論をしたと聞いています。その中で、世代交代を実現するためには、この2つを兼ねている方がよりスムーズにいく、そういうメリットがあるということ」と選出の理由を語った。

 森保監督は「2つの代表を監督するのは本当に困難なことだと思います。1人でやるのであれば不可能なことだと思いますが、日本サッカー界、日本代表を支えてくださる多くの方々のお力をお借りしながらチームを作っていけば、その不可能が可能に変わり、2つのチームを同時に見ていくことが大きな成果につながる」と決意を語り、「日本人らしく、日本人の良さを出して戦い、世界と向き合っていきたい」「臨機応変に、状況に応じて勝つために、流れをつかむことを選手が判断して選択できるサッカーをしていきたい」と抱負を述べた。

田嶋会長「チャレンジにふさわしい人材が森保監督」

五輪と日本代表監督を兼任することについて、田嶋会長(右)は「よりスムーズにいくメリットを選んだ」と説明した 【スポーツナビ】

登壇者
田嶋幸三(日本サッカー協会会長)
関塚隆(日本サッカー協会技術委員長)
森保一(サッカー日本代表監督)

田嶋 本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の臨時技術委員会、理事会を経て、ここに正式に森保一さんをSAMURAI BLUE(サムライブルー)の監督として、皆さんにご紹介することができるようになりました。森保氏については私からご説明するまでもなく、Jリーグでのチャンピオン3回、U−20のコーチ、トレセンコーチ、キッズインストラクターとサッカー協会の、下は幼稚園の子どもたちからトッププロまでのすべてのレベルの指導をしてきた経歴をお持ちです。そして現在、五輪代表監督として働いていらっしゃいます。今回のワールドカップ(W杯)ではコーチとして西野ジャパンを支えてくれました。

 そういう意味でも、日本のサッカー界、オールジャパンで彼を応援するにふさわしい経歴の持ち主だと思っています。先ほど関塚委員長からもありましたが、世代交代待ったなしの時です。彼は五輪と日本代表の両方の監督という、2つの重要な役割を担っていただきます。これに対しては、技術委員会でも多くの議論をしたと聞いています。その中で、世代交代を実現するためには、この2つを兼ねている方がよりスムーズにいく、そういうメリットがあるということ、そちらを選びました。

 今まで私もさまざまな形で五輪、そして代表チームを見てきました。うまくいっている時もありますし、選手の取り合いになってしまったりすることもありました。そういう意味では1人の監督が兼ねることの良さも見てきたつもりです。そして技術委員からは、(日本人監督が)日本代表のW杯予選を戦うのは相当な覚悟とプレッシャーがいるぞと。これは今まで岡田(武史)監督が数試合戦ったのみです。そういう意味では新たなチャレンジと言えます。ただ、このチャレンジをするのにふさわしい人材がこの森保監督であるということ。それを実現するためには技術委員会のみならず、日本サッカー界がオールジャパンとなって、この森保監督をサポートしていく覚悟をしていかなければとあらためて思いました。そのことを彼とも確認して正式に今日、契約書にサインするに至りました。

 西野(朗)技術委員長時代にも森保氏が兼ねるということも検討はしていました。ただ、皆さんご存知の通り、大会(W杯本大会)2カ月前に監督が変わったこと、そして新たな技術委員長が来たこと。その関塚委員長のもとでしっかりと4年間の集大成であるW杯を分析し、技術委員会で議論していただきました。その結果、Jリーグが25年経ち、日本のサッカー文化をしっかり把握し、そして日本をリスペクトできる、そういう指導者であるべきだという一定の方向(性)をいただきました。その中で関塚委員長と私とで話し、今日の臨時技術委員会で森保氏を提案し、そこでお認めいただいたということです。

 そういう意味でも、この4年間の集大成であるW杯を戦い、ジャパンズ・ウェイをしっかりと継承し、(東京)五輪、2022年のW杯、その先に続けていくためにも、森保監督は一番ふさわしい適任者だと確信しております。多くのファン、サポーターの皆さまには、森保ジャパンを今まで同様、応援していただきたいと思っています。そして、このような形で応援してくださっているメディアの皆さまにも、時には厳しく、しかし彼をサポートすることもぜひお願いしたいと思います。そして私たちが記者発表できることに対し、長年私たち日本代表チーム、サッカー界をサポートしてくださっているキリン様、アディダス様、サポーティングカンパニー、すべての関わる方々に感謝申し上げたいと思います。われわれオールジャパンで森保監督をサポートしていきます。ぜひ皆さん、一緒にサポートいただければと思います。

関塚 本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。先ほど会長よりお話がありましたように、本日の理事会において、森保さんがサムライブルーの監督として承認されました。これまで技術委員会を通して、いろいろな議論を重ねてきました。世代交代、そしてW杯の検証、またこの日本サッカーが進んできた中で日本でプレーヤーとして実績を残し、指導レベルでも十分に任せられる人材が育ってきたという意見を委員の方からもいただきました。そういう中で森保さんがサムライブルーの監督として一番適任者だと考えました。

 本日から代表チームが世界を戦うためにいかにサポートしていくか、技術委員会としてもこれが使命だと思っております。僕としても技術委員長として、これから東京五輪、W杯を兼任する森保さんをしっかりと支えていきたいと思います。ファン・サポーター、そしてスポンサーの皆さま、日ごろからご支援いただき本当にありがとうございます。この場をお借りして感謝申し上げます。引き続き、森保監督のサムライブルー、東京五輪に向けた代表チームをぜひ皆さまで応援していただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

森保監督「次の人へバトンタッチできるように、今を全力で」

森保 ここにお集まりの皆さん、今日はお忙しい中、記者会見に足を運んでいただきありがとうございました。記者会見の案内は今日されたということで、急きょ集まっていただきありがとうございます。先ほど、A代表の監督に就任したことはお伝えいたしましたが、兼任監督ということで、東京五輪代表チームも監督させていただきながら、日本サッカーに貢献していければと思います。2つの代表を監督するのは本当に困難なことだと思います。1人でやるのであれば不可能なことだと思いますが、日本サッカー界、日本代表を支えてくださる多くの方々のお力をお借りしながらチームを作っていけば、その不可能が可能に変わり、2つのチームを同時に見ていくことが大きな成果につながると思っています。

 日本代表の監督をするにあたってたくさんのことをしなければいけないと思っておりますが、いくつかのことを皆さんにお伝えします。1つは日本の勝利のために、そして先ほども田嶋会長、関塚技術委員長からお話が恐らく皆さんにあったかと思いますが、世代交代というところ。年代間の融合を図るということ、そして日本代表だけではなくて、日本のサッカー界全体の発展につながるように、そして私も多くの先輩の皆さんからバトンを受け継いできました。今、私がやらなければいけない任務を全うして、少しでもいい形で次の日本代表、日本サッカー界、次の人へバトンタッチできるように、今を全力で頑張っていきたいと思います。

 この2つの代表をやっていくには本当に覚悟が必要だと思います。われわれ日本代表が多くの方に支えらえて活動できることに感謝しながら、覚悟と感謝、この2つの気持ちをもって職責を全うしていきたいと思っております。監督就任の会見ということですので、所信表明ということでいろいろな目標をここで語らないといけないと思いますが、後で皆さんからも質問が来ると思いますし、今の気持ちは感謝の気持ちが一番強いです。今回もこうやって素晴らしい仕事をいただき、私が大好きなサッカーに携わって仕事ができるのも、ここにおられるお2人、日本サッカー協会の皆さんの覚悟があるからこそ、私が2つの代表の監督をすることができています。その覚悟に、期待に応えられるように、自分のすべてを出して職責を全うしていきたいと思っています。

 そして日本サッカー界、日本代表を支えてくださっているファン・サポーターの方々、日本国民の皆さん、オフィシャルパートナー・キリン様、オフィシャルサプライヤー・アディダス様、サポーティングカンパニーの方々の皆さまの支えがあってわれわれは活動できると思いますので、皆さまの支援に感謝したいと思います。そして応援してくださる方々の期待に応えられるように、全力を尽くしていきたいと思います。

 私は少年時代から、そして今日、こうやって日本代表の監督の就任させていただくまで、本当に多くの指導者、関係者の方々に指導・教育していただきました。少年時代に指導・教育していただいた方々、まだ私が高校を卒業して広島に出てサッカー選手を目指そうとした時は日本サッカーはアマチュアのリーグでした。そこからJリーグができて、プロという夢を見させていただいて、日本代表としてもプレーさせていただき、その後、Jリーグで監督をさせていただきました。その経験があったからこそ、今この場所にいられると思っております。感謝したいと思います。

 私は現役を引退してから、サンフレッチェ広島の育成部の巡回コーチをしながら、日本サッカー協会でもトレセンコーチとして活動させていただきました。その経験は今の私に大きな経験になりました。それが何かと言いますと、いろいろなカテゴリーの活動を見させていただきました。地方を回ってグラスルーツのところから、指導者の方々が、プロでお金をもらってサッカーを教えている方々はほんのごくわずかの方々で、大勢の方々は仕事もあり家庭もあり、自チームの選手を見て、トレセン活動や選抜活動をしていくということ。本当にボランティアの精神で自己犠牲を払って選手を育ててくださっている。そういう活動をクラブでも日本サッカー協会でも見させていただきました。そういう方々の努力があって選手が育ち、私が今仕事をさせていただいている日本代表や東京五輪の代表のところへ選手を送り込んでいただいているということ。すべての指導者の努力があって、環境を整えてくださる方々の努力があって、われわれは素晴らしい選手を見ることができる、日本を代表して戦うことができる、そこを忘れてはいけないと思います。そういう方々の気持ちを背負っていつも戦うんだということ、そこは常に肝に命じて戦ってまいりたいと思います。

 日本サッカー界も長い歴史があると思います。多くの先輩たちが本当に大変な努力をしてくださって、経験を重ね、経験を積み上げてこられて、今の自分たちの活動があると思っております。日本サッカーに携わった、経験してこられたすべての方々に尊敬と感謝の気持ちで、自分の仕事をしていきたいと思っています。そしてまた、そういう先輩方にしていただいたこと、つないでいただいたことを次の人にしっかりと伝えていけるように、バトンタッチしていけるようにやっていきたいと思います。

 先日のロシアW杯は、コーチとして経験させていただきました。西野監督は本当にすごい、素晴らしい監督だと思いました。監督としての裁量はもちろんですけれど、いろいろな方々の日本サッカー界の歴史を踏まえて、日本らしいサッカー、日本人の良さを生かしたサッカーということで、チーム作りをされていました。西野監督の前監督、(ヴァイッド・)ハリルホジッチさんから日本人に足りないところ、デュエルの部分やゴールに素早く向かっていくところは、日本人の良さプラスアルファでチーム作りをされていて、考えていることが大きくて、日本人にどうしたら合うんだろうということを常に考えてチーム作りをされているなと思いました。

 そういう西野監督からバトンを受け継ぎ、日本人らしく、日本人の良さを出して戦い、世界と向き合っていきたいと思います。ただ、世界だけ考えている前に、まずはアジアがあります。われわれはしっかりとしたチーム作りをして、アジアを戦い抜き、世界との戦いに向かっていきたいと思っています。西野監督がやられたオールジャパンで戦うチーム作りを私も継承して、進化させていきたいと思っています。五輪では2年間、次のW杯では4年間、選手とスタッフとともに最高のチームを作っていきたいと思います。しかしながら現場の選手とスタッフだけでは強いチーム、強い日本代表は作れません。ここにおられるメディアの皆さんをはじめ、日本代表を支えてくださるすべての皆さんの力を貸していただき、力を結集して、強い日本代表が世界に打って出られると思っております。どうぞ、われわれと一緒に戦っていただければと思います。常にその時のベストを尽くして戦ってまいりたいと思いますので、支援・応援のほど、そして一緒に戦っていっていただければと思います。

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