森保監督「年代間の融合を図り、発展に」 日本代表新監督 就任記者会見

スポーツナビ

対応力と臨機応変を磨いていきたい

「対応力と臨機応変を磨いていきたい」と森保新監督は意気込みを語った 【スポーツナビ】

――森保イズムとしてどんなサッカー、戦術を加えたいと考えているか?

森保 まずは速攻もできれば遅攻もできるということ。守備ではハイプレッシャーもかけることができれば、自陣で相手が思うようなことをさせないということもできればと思います。何を言いたいかというと、いろいろな対応力をもって戦うということです。臨機応変に、状況に応じて勝つために、流れをつかむことを選手が判断して選択できるサッカーをしていきたいと思います。

 西野監督も言われていましたが、対応力と臨機応変はもっともっと磨いていかなければいけないと思います。今回のW杯で優勝したフランスもまさにそういう戦い方をしていたと思います。彼らはタレントがいて、攻撃力も自分たちのやりたいことを表現できるチームだったと思いますが、準決勝で日本が敗れたベルギー相手に1点を先制した後、勝つためにしっかりと守備を固めながら、しかし守備だけで終わらず時には打って出る。そういう、勝つために必要な部分は世界から学んでいきたいと思っています。質問と少し違うかと思いますが許してください。

――オールジャパンでという話があったが、日本人監督を選んだ理由は?

田嶋 日本人、外国人問わず、今の日本代表に必要なのは森保監督ということで関塚委員長から名前が出てきました。Jリーグができて25年、そして6大会連続でW杯に出場している。多くの積み重ねてきた日本の経験や知識をピッチの中に生かすには、日本のことを熟知し、リスペクトできる人、これに国籍は問いませんが、森保監督が一番ふさわしいとわれわれは選びました。

――任期は東京五輪の成績をもって一度見直すのか? 評価なく4年を任せるのか?

田嶋 任期は五輪やW杯予選という節目で考えているわけではありません。技術委員長として常に帯同しているわけですから、常に分析、評価をしながらやっていきます。それはわれわれがやっていかなければならないことです。契約は4年間やっていただきたいという気持ちの表れですし、そのためにサポートしていきたいということです。

――どういう体制であれば兼任を乗り切れると考えているのか? スタッフや優先度はどのように考えているのか?

森保 私自身、任期があるからといって、任期まで安泰だとか、ゆっくりだとかは思っていません。チーム作りで大切なことがあれば、それはゆっくりだとか、いろいろなことを見てやっていきますが、常に1日1日が勝負だと思っています。たくさんのチャレンジがあると思いますが、そこは評価する方に評価していただければいい。一番大切なのはチームファーストだと思っていますので、日本代表チームが一番力を出していける、一番発展していける形を評価していただければいいと思っています。

 兼任監督が可能かということは、体は1つなので日程が重なったところは不可能だと思っています。しかし、私1人でやるのではなく、協会、日本代表を支える方々のお力を借りれば、2つのことを同時にやることも可能だと思いますし、より大きな成果、メリットになると思っています。スタッフも私同様、1グループでは回らないと思いますので、今は白紙の状態ですが、時間をかけて編成を考えていきたいと思います。

 A代表の監督を引き受ける時に、アジア大会がありキリンカップもあり、視察はどうするんだろうということは一番最初に気になりました。現場のA代表のスタッフ、五輪代表のスタッフだけではなく、そこに関わるスタッフ全体で見ながら選手も選考していく、情報共有しながらやっていけば可能かと思っております。

意図していないことに対応して次につなげる

――育成、世代交代が1つのテーマだが、どこの国も世代交代をしながら勝っていくのは難しい。結果が出ないと人気低迷につながるが、そうなった場合でも森保監督を支えることができるか?

田嶋 選手の育成はもっとも重要だと思っています。U−20、U−21、U−19、U−18と日本には素晴らしいタレントがいます。こういう選手をどう融合させるか、森保監督を期待しています。過程でサポーターが怒ったりだとかは、常にそういうことにならないように気をつけてやってきています。実際に、(前)西野技術委員長とも、W敗前に日本代表への関心が薄れているとすごく危機感を持っていました。そんな中、一定の成果を出してくれたとは思っています。われわれは常に危機感を持ちながらやっています。森保監督どうこうという話ではなく、まず日本サッカーの発展を第一に考え、そのために森保監督をサポートしていきます。過程で何が起きたらどうするということは、今お答えすることはできません。

――年内にA代表の6試合があって、来年にはアジアカップがある。結果が求められる大会だが、実績のある選手を使って結果を追い求めることもできると思うが、どのようなプランを考えているのか?

森保 これといった絶対正解はないと思いますし、常に状況を見て把握しながら、どういう形でいったらチームが発展していくんだろうということを考えながら選手を招集し、1つ1つの試合や大会に臨んでいきたいと思います。

 結果を残すならば実績のある選手でアジアカップに臨むとか、もちろん最終的にそうなるかもしれないですし、そうならないかもしれないです。ただ、実績のある選手で望めば結果が出るかは分からない。若い選手が試合に出て大きく成長し、勝っていく力になったりだとか。私も監督をやっていて、意図していろいろなことをやりますが、意図していないことがそこに表れて、対応して次につなげていくことが監督として求められることだと思っています。

 監督として私が求められていることは重々承知していますし、できると思っていただいているので私がこの場にいます。日本サッカーの発展のためにトライすることは、結果を怖がらずにやっていきたいと思います。もちろんすべて勝つことを目指してやっていきますが、トライの過程では痛い思いや失敗もあると思います。そこをビビらずにやり、正しいと思うことをやり切って、そこで評価していただくことは自分としては問題ないし、プロの世界では当たり前です。そういう評価があって今この場にいると思いますので、今までやってきたことをしっかり実践して、それではだめだということであればまた違うことをやっていきたいと思います。

――現段階ではA代表と五輪代表のスタッフは別に考えているのか? また、日本代表監督を引き受けるにあたって、西野さんに刺激されたことはあったか?

森保 まずスタッフですが、スタートのキリンカップに関しては、すぐにスタッフ編成することはできないと思います。今東京五輪の代表に関わっているスタッフでやっていきたいと思います。プラスアルファで必要であれば、技術委員長に相談して追加していきたいと思います。今フリーである方、仕事をされている方、すべての方を選択肢として持たせていただきながらスタッフ編成をしていきたいと思います。そこは焦って決めるのではなく、最高で最強のスタッフになるようにしっかりと考えながら編成していきたいと思っています。

 西野さんについては、一言で言えばすべてがすごかったと思います。あの短い準備期間でW杯に臨むとなれば、自分のやりたいことを選手やスタッフに詰め込んでW杯に臨むということをするのが普通だと思いますが、西野さんはすごく我慢や見守ることができる人だなと思いました。恐らくやりたいことはいっぱいあったと思いますが、選手を急かしたりするのではなく、短期間でチームが成長するために必要なことを働きかけて与えていく。その、一歩待ったりする部分はすごいなと思いました。普通であれば、やってしまったり、言ってしまったりする場面で、選手たちのやる気を認めながらチームを作っていく。でも最後は、こうやっていくというコンセプトを伝えながらあの短期間でチームを作っていくということは、なかなか他の人にはできないことだなと思いました。

3/3ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント