サンウルブズを前進させる協調の文化 多国籍軍団が一丸となってシーズン3勝
レベルの上がったスーパーラグビーで3勝
3年目のシーズンを終えたサンウルブズ。スーパーラグビーでの戦いは続く 【写真:アフロ】
世界最高峰リーグのスーパーラグビーに挑戦して3年目を終えたサンウルブズ。5位以内を目標に掲げたが、結果は3勝13敗、勝ち点14で最下位だった。
15チーム中最多失点(664点)とディフェンスに課題があるが、ポジティブな面もある。昨年から1試合増えたが、トライ数は41から48に増え、総得点も100点ほど増やして404点とした。初のプレーオフに進出したジャガーズが409点だったことを考えると、攻撃力は十分だった。
一昨年は1勝、昨年は2勝だったが今年は初の3勝を挙げて勝ち点を14に伸ばした(昨年は12)。ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が「いろいろなことがちょっとずつ機能し始めている。今まででベストなシーズンを過ごせた」と言えば、1年目に主将だったHO堀江翔太は「少しずつでも前に進んでいる」と笑顔を見せた。
3勝にも大きな意味があった。実は、今年からリーグは18チームから15チームに削減。チーム数が減ったことで試合の強度が上がった。また対戦相手が手を抜かなくなり、フルメンバーでサンウルブズに臨んできた。そんな中での3勝は、最下位だが評価できる部分はあろう。
日本代表を中心にさまざまな選手を招集
豪快な突破でトライを奪ったWTBホセア・サウマキ 【写真:アフロスポーツ】
チームは昨年11月の日本代表選手が中心でHO堀江、SH田中史朗、CTBラファエレ ティモシー、WTB福岡堅樹、FB松島幸太朗らに、日本代表のキャプテンで昨年までチーフスに所属したFLリーチ マイケルも加わり、SH流大、FL姫野和樹、WTBレメキ ロマノ ラヴァらは初のスーパーラグビー挑戦となった。
ワールドカップまでに日本代表資格を得るLOグラント・ハッティング、FLピーター・ラピース・ラブスカフニ、WTBゲラード・ファンデンヒーファーら過去にスーパーラグビーで実績のある選手を招集。さらに指揮官はハイランダーズ時代に指導していたPRクレイグ・ミラー、SOヘイデン・パーカー、万能BKジェイソン・エメリーも呼んだ。また日本で活躍していたCTBマイケル・リトル、WTBホセア・サウマキらも加わった。
スコッドの層が厚くなる中、ジョセフHCは1月末、別府から始まった合宿で選手を鍛え上げた。他のチームが3カ月かけて行うことを1カ月で行ったため、戦術を落とし込むと同時にフィットネスやフィジカルトレーニングを敢行。選手からは「エディージャパン時代よりきつかった」、「人生で一番大変だった」という声が聞こえてきた。2泊3日の自衛隊キャンプも行い、チームに一体感と強い精神力を醸成した。
前半戦はケガにも苦しみ9連敗
昨季まで所属していたチーフスに敗れ、肩を落とすFLリーチ マイケル 【写真:アフロスポーツ】
前半戦はハッティング、エメリー、レメキらが負傷した影響が否が応でも出てしまう。チームはなかなか上昇せず、開幕9連敗。HO堀江が「もう少し時間があれば。お互いにクセを知ったりする部分が大切になってくるが、なかなか時間を作れない」と言えば、FL姫野も「開幕にピークを持っていけなかった」と悔やんだ。
セットプレーを起点にしたアタックや相手の強烈なカウンターアタックで簡単にトライを奪われるシーンが目立った。指導陣は外国人が中心で、選手は日本だけでなくニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、トンガ、フィジー、ジョージア、韓国と多国籍なだけに、No.8ヴィリー・ブリッツと流という共同キャプテン制で臨み、フィールド外でコミュニケーションを取っていても、プレーの精度に表れるまで時間がかかってしまった。