和田「オペラオーが押してくれた」 長かった17年…天国の相棒へ捧げるGI美酒
馬場と展開を読み切り「これ以上ない競馬になった」
「オペラオーが背中を押してくれた」と和田、17年分の思いを込めた大きな1勝 【写真は共同】
「スタートが上手になって心強かったです。このレースでも抜群のスタートを切ってくれて、思ったよりも前の位置に行くことができました。馬のリズムも良かったですし、これ以上ない競馬になりました」
スタートに気を遣わなくて済むようになった分、思い通りの位置取りから競馬ができる。また、前日の雨から一転、この日曜日は強い日差しが照りつける好天となり、湿っていた馬場も内・外万遍なく急速に乾いていった。和田はそこを見逃さなかった。
「馬場も乾いてくれたので、インは絶対に譲る気はありませんでした。前方は速いペースで流れていましたが、ロングスパートが得意な馬ですし、ついていければ直線は伸びてくれると信頼していました」
最内ぴったりの経済ルートから、直線はいち早く抜け出し先頭へ。大外から香港の年度代表馬ワーザーが猛然と襲い掛かるも、「オペラオーが後押ししてくれました」と和田。これをクビ差しのぎきり、17年分の思いと執念を乗せて、待ち望んだGIゴールを1着で駆け抜けた。
「17年もかかって、回り道もしましたけど、その全てが重なったのかなと思います。枠順もそうですし、馬場も天気も」
福永から和田へ――「昔を思い出す流れになった」
「(福永)祐一がダービーを勝って、次は自分だなと。僕が初めてGIを勝ったとき(1999年皐月賞、テイエムオペラオー)も、祐一がその前に桜花賞(プリモディーネ)を勝ったんです。だから、昔を思い出す流れになったな、と」
福永、和田ら“競馬学校花の12期生”も40歳を超えるベテランぞろいになった。しかし、この活躍が示すように、まだまだ老け込む時期ではない。
「年は食いましたけど、“今から”という気持ち。今日のレースの直線でも落ち着いて一完歩ずつ確かめながら追うことができましたし、この騎乗は自信になりました。自分たちがもっと競馬を盛り上げていきたいですね」
もちろん秋はミッキーロケットとともに、さらなる大暴れを見せたい。音無調教師によれば、秋は京都大賞典からジャパンカップが有力とのこと。オペラオーに迫る活躍を期待したいところだ。
なお、オペラオー時代の和田といえば、「シャーッ!」の雄たけびがGI勝利後の恒例パフォーマンスだったが、今回はナシ。さすがに大人になったから……と思っていたら、当の本人は「ノドは温めていたんですけどね」とニヤリ。となると、秋のGI表彰台ではアレが17年ぶりに聞けるかも?
(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)