日本記録に接近している男子走幅跳 橋岡と酒井の“10代対決”勝者は!?

月刊陸上競技

勢い乗る学生と実力派の実業団勢

昨年の日本選手権覇者・橋岡優輝。日本大の先輩たちとともに、男子走幅跳をけん引した 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 第102回日本陸上競技選手権大会(6月22日〜24日/山口・維新みらいふスタジアム)では、男子走幅跳の“空中戦”が熱くなりそうだ。降りしきる雨の中で行われた前回大会は、関東インカレ(1部)を大会新の8メートル04(+0.1)で制した19歳の橋岡優輝(日本大)が8メートル05(+1.4)で初優勝。後輩の活躍に刺激を受けた日本大の先輩たちも、秋に8メートルオーバーの記録を残す。山川夏輝(現・東武トップツアーズ)が日本インカレで8メートル06(+1.9)、小田大樹(現・ヤマダ電機)は日大競技会で8メートル04(+0.8)をマークした。

 その日本大勢が、今年春の主要大会をけん引。4月29日の織田記念国際は小田が7メートル77(+1.3)、山川が7メートル75(+1.5)、橋岡が7メートル74(+1.6)。“日大トリオ”がきん差の戦いを演じて、上位を独占した。さらに5月20日のゴールデングランプリ大阪は、橋岡が7メートル83(±0)で日本人トップに立った。

関東インカレで“スター候補”となった酒井

関東インカレで追い風参考ながら8メートル31を記録し、橋岡を破って優勝した 【写真は共同】

 ただ、5月25日の関東インカレで新たな“スター候補”が登場した。昨年のインターハイ王者、酒井由吾(慶応大)だ。強い追い風の中で行われた試合で、4回目に8メートル22(+2.8)をジャンプ。この記録を橋岡が直後に抜き去り、8メートル30(+3.4)をマーク。格の違いを見せつけたと思われたが、酒井は5回目に8メートル31(+4.7)とさらに記録を伸ばして、1センチ差で「逆転優勝」を飾った。

 この大会では、追い風参考ながら4人が8メートルをオーバーした。8メートル04(+4.7)で3位に入った川島鶴槙(順天堂大)は、水戸招待でも8メートル04(+2.7)をマーク。走幅跳と三段跳の“二刀流”で、三段跳は昨年の日本選手権で7位に入っている。

 4回目に8メートル03(+4.7)、6回目に8メートル02(+6.1)と2度大台ジャンプを見せた4位の津波響樹(東洋大)は、昨年の日本インカレを8メートル09(+2.0)で制した学生王者。3月に踏み切り脚とは逆の右スネを痛めた影響で、今季は跳躍回数を制限してきた。関東インカレで初優勝した男子4×100メートルリレーで1走を務めるスピードが魅力だ。

 学生が躍進しているが、経験値で勝る社会人も負けられない。日本大OBの山川と小田のほかにも、前回2位で8メートル11の自己ベストを持つ下野伸一郎(九電工)、8メートルジャンパーの城山正太郎(ゼンリン)、2度の優勝経験を持つ嶺村鴻太(富士通)らも「アジア大会代表」の座を狙っている。

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著者プロフィール

「主役は選手だ」を掲げ、日本全国から海外まであらゆる情報を網羅した陸上競技専門誌。トップ選手や強豪チームのトレーニング紹介や、連続写真を活用した技術解説などハウツーも充実。(一社)日本実業団連合、(公財)日本学生陸上競技連合、(公財)日本高体連陸上競技専門部、(公財)日本中体連陸上競技部の機関誌。

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