地元凱旋で上位入り狙う宮本大輔 伸びしろある中学記録保持の「挑戦者」

月刊陸上競技

地元・山口で男子100mの強敵に挑む東洋大1年・宮本大輔 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 第102回日本陸上競技選手権大会(6月22日〜24日/山口・維新みらいふスタジアム)で最注目の男子100メートル。その中で、スター選手たちに交じって、それに負けない拍手を受けるであろうスプリンターがいる。地元山口・周陽中出身、東洋大1年の宮本大輔だ。

桐生と比較される環境で挑戦

 単に地元というだけではない。今季は4月22日の出雲陸上(島根・県立浜山公園)で総合2位(10秒41/+0.7)、4月29日の織田記念国際で4位(10秒35/+1.3)、5月20日のゴールデングランプリ大阪出場(7位=10秒34/−0.7)、そして5月25日の関東インカレ優勝(10秒11/+3.2)と、日本トップの仲間入りをしたと言っても過言ではない活躍を見せている。

 中学1年で11秒28(中1歴代4位)、中学2年で10秒75(中2最高)、そして中学3年では10秒56の中学記録を打ち立て、全中やジュニア五輪も制した天才スプリンターは、高校は京都・洛南高へ越境入学した。同高の4年先輩の桐生祥秀(現・日本生命)と常に比較される環境で、同世代からは常に追われる立場でもある。一歩間違えれば「早熟選手」とも言われかねない。

 そんななか、「挑戦者」という言葉をよく口にし、「自分にはまだ伸びしろがある」と信じて努力を重ねた。入学した頃はぶかぶかだったユニホームが、年を追うごとにフィットするようになった。その結果、高校で積み上げた100メートルの全国タイトルはなんと「8」。結局、1年のインターハイで6位になった以外は、全国大会では負けていないということだ。自己記録も毎年更新し、高3のインターハイ近畿地区大会で高校歴代3位タイの10秒23をマークした。

新たな勝ちパターンを見せる

 この春、再び桐生の後を追うように、東洋大に入学。高校時代は一緒に練習をする機会はほとんどなかったが、今は“練習パートナー”のような存在として、偉大な先輩に挑む日々。それが、まだ底が知れない宮本の潜在能力を刺激し、高校時代からさらに1段レベルを上げた印象を受ける。持ち味である前半のダッシュ力に加え、関東インカレでは終盤の逆転という新たな勝ちパターンを垣間見せた。この2つがかみ合った時、桐生らを相手にどんな位置につけることになるだろうか――。

「僕が京都に行った時も、どんな時でも地元の人たちは応援してくれました。だから、日本選手権でしっかりと戦うことがその“恩返し”になると思っています」

 昨年秋の田島記念(山口・維新みらいふスタジアム)に出場しているが、今回の日本選手権こそが、宮本にとって地元への牾旋レース瓠成長した姿を、郷里の人たちに堂々披露する。
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著者プロフィール

「主役は選手だ」を掲げ、日本全国から海外まであらゆる情報を網羅した陸上競技専門誌。トップ選手や強豪チームのトレーニング紹介や、連続写真を活用した技術解説などハウツーも充実。(一社)日本実業団連合、(公財)日本学生陸上競技連合、(公財)日本高体連陸上競技専門部、(公財)日本中体連陸上競技部の機関誌。

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