本番へと調整を続ける萩野公介と大橋悠依 好調さ示した“チームジャパン”男女主将
池江が5冠 競泳ジャパンOPが閉幕
競泳のジャパンオープンでは、“チームジャパン”として出場した池江璃花子(中央)が5冠を達成。また大橋悠依(右)も個人メドレー2種目を制すなど、夏の世界大会に向けて順調な仕上がりを見せた 【写真は共同】
4日間にわたる戦いでは、池江璃花子(ルネサンス亀戸)が出場5種目すべてで優勝し、うち50メートルバタフライでは自身の持つ記録を更新する25秒25の日本新を樹立。「練習を積んできた疲れが出ている」なかでのレースだったが、さすがの勝負強さが光った。
男子200メートルバタフライでは矢島優也(スウィン大宮/明治大)が、リオデジャネイロ五輪銀メダルの坂井聖人(セイコー)、瀬戸大也(ANA)らを抑え優勝。1分54秒72は派遣標準記録を突破するタイムで、パンパシ代表入りを決めた。
また、女子100メートル平泳ぎでは、1位から3位までが0.07秒差とまさに“タッチの差”での決着となり青木玲緒樹(ミキハウス)が1分06秒65で優勝するなど、各種目で熱戦が繰り広げられた。
萩野は専門外種目で活躍
萩野は200メートル背泳ぎで優勝。専門外のレースで強さを見せた 【写真は共同】
そして萩野公介(ブリヂストン)は、男子のキャプテンとしてチームを引っ張っていく。
今大会の萩野は、序盤こそ調子が上がらなかったが、3日目の200メートル個人メドレーを1分57秒31の派遣標準IIを切るタイムで優勝を飾ると、最終日には専門ではない200メートル背泳ぎを制した。
この種目へのエントリーについて萩野は、「トレーニングの一環というか、背泳ぎでいい結果を出して(今後の)個人メドレーにつなげたい」と明かしていた。古傷のひじの状態を確かめる意図もあったといい、レース後には「(影響がなさそうで)すごく安心しました」と充実した表情で手ごたえを語った。
代表選手にとってこの時期は、夏の国際大会へ向けた調整期間であるため課題を持ってレースに臨むことが多いが、萩野もしっかりと収穫を得ることができた。大会後に行われた壮行会では「結果で引っ張りたい」と力強く宣言した。
今年に入り体調不良で状態が心配されたが、日本選手権と今大会で世界の舞台で戦うための準備が着々と進んでいることを示した。
100バタフライ自己新の大橋は「びっくり」
専門外であるバタフライ2種目でも自己ベストのレースを見せた大橋(左)。個人メドレーの自己ベスト更新にも意欲を示す 【写真は共同】
大橋は、今大会では50メートルと100メートルのバタフライ、200メートルと400メートルの個人メドレーの計4種目にエントリー。専門種目である個人メドレー2種目を制した。バタフライは専門種目ではないものの、50メートルでは26秒54で4位、100メートルでは予選と決勝で2度も自己ベストを更新し、決勝では57秒94で2位に入る。好成績に「びっくりした」と声を弾ませた。
「ジャパンオープンは、日本選手権後で多少気が抜けたり疲れもあるので、“地獄”だったりする試合なのですが(笑)。そのなかでも特に200メートル個人メドレーはいいレースをして勝て、久しぶりに出たバタフライも納得のいくいいレースができました」
けっして万全ではない状況のなかで、結果を出し状態の良さを確認できた。あとは世界を見据え鍛錬を積むのみだ。カティンカ・ホッスー(ハンガリー)がもつ個人メドレー世界記録(200メートル:2分06秒12、400メートル:4分26秒36)を狙うためには、最初のバタフライを速くすることだといい「どんどん単独種目を取り込んで各種目のレベルアップを図っていきたい」と意欲を語った。
4月の日本選手権では400メートル個人メドレーの日本記録を更新(4分31秒42)したばかりの大橋。順調にステップアップしていき、今夏の国際大会では大暴れしてくれそうだ。
夏に向け始動するチームジャパン
パンパシでは、各レースの順位をポイント化し、国単位で順位が争われる「国別対抗戦」が実施される。リレー種目はもちろん、個人種目の成績もポイント対象となるため、米国、オーストラリアといった強豪国の選手と真剣勝負が繰り広げられる。アジア大会でも、お互いの意地がぶつかり合う熱い戦いが期待される。
萩野は「夏の本番へ準備をしっかりやっていきたい。勝ちたいので」と力を込める。厳しい鍛錬を積み重ね、さらなるレベルアップをしてくるだろう。見据える先は表彰台の頂点。そこに向かって、まっすぐに走り出している。
(取材・文:鈴木一史/スポーツナビ)
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