PDCA意識で成長、競泳チームジャパン 世界水泳から3カ月半での手応え
東京で短水路のW杯開催
その皮切りとなったのが、短水路(25メートル)で行われるFINAスイミングワールドカップ2017の東京大会(11月14、15日開催、東京辰巳国際水泳場。以下、W杯)。第59回日本選手権(短水路)も兼ねて行われた大会だ。
萩野公介(ブリヂストン)は米国でのトレーニングのため不参加だったが、ほとんどの代表選手たちが出場。さらにシーズンインしてから間もないが、短水路ながらそれぞれがしっかりと目的を持った泳ぎを披露してくれた。
充実感をにじませた選手たち
中村克(イトマン東進)は、100メートル自由形で塩浦慎理(イトマン東進)が持つ短水路日本記録を100分の5秒更新する46秒54をマーク。そして、江原騎士(自衛隊)が1500メートル自由形のなかで、800メートルの途中経過で7分42秒28をたたき出した。
そして小関也朱篤(ミキハウス)が、50メートル平泳ぎを26秒06で泳ぎ、自身が持つ記録を更新した。100メートル平泳ぎでは、日本記録はならなかったものの56秒49の好記録をマーク。この2種目とも、世界水泳の100メートルで銅メダルを獲得したキリル・プリゴダ(ロシア)を抑えての優勝したことで、小関にとっては大きな自信になったことだろう。
日本新記録ではないが、渡部香生子(早稲田大)は、100メートル平泳ぎで1分04秒99の3年ぶりとなる自己ベストを更新。
「ベストが出せて、本当にうれしいです。キックが入ったときに、しっかり水がかかる感覚がある。平泳ぎで記録を伸ばせたことが大きい。これをきっかけに、長水路でもベストを出せるように練習していきたい」(渡部)
それほどレベルの高い記録は出せていないが、渡部と同じように平泳ぎで伸び悩む今井月(豊川高)も、今大会では「キックを打ってからの体重移動がうまくできているし、プラン通りのレースができている」と泳ぎの手応えを感じた様子。
瀬戸大也(ANA)は、400メートル個人メドレーで300メートルまで世界記録を上回る泳ぎを見せる。結果的には大会記録にとどまったが、高校時代からW杯を何戦も戦って力をつけてきた瀬戸は、「久しぶりに自分のスイッチが入る感覚がある」と連戦のなかで闘争本能を呼び戻していた。
世界水泳には参加できなかったが、世界ジュニア水泳選手権100メートル背泳ぎで1分の壁を突破した酒井夏海(スウィン南越谷/武南高)は50と100に出場。「空回りしないように気をつけながら、泳ぎのテンポを上げるように心掛けました。後半までそのテンポをキープできましたし、ベストも出て良かったです」と、夏に59秒台を出せたときの感覚を確かめるように泳いでいた。