IDでもっと便利に新規取得

ログイン

サンウルブズはなぜ勝てないのか
「エディーよりきつい」合宿も5連敗

「もっと全体でコミュニケーションを」

ケガ人や遠征によるコンディション調整もあり、同じメンバーで戦い続けるのは難しい
ケガ人や遠征によるコンディション調整もあり、同じメンバーで戦い続けるのは難しい【斉藤健仁】

 セットプレー以外にもカウンターでトライを奪われ、ゴール前のディフェンスで粘ることができていない。サンウルブズは日本代表よろしく、極端に前に出てプレッシャーを与えるディフェンスを採用している。ライオンズ戦ではある程度機能したが、うまくいっていない試合の方が多いのが現状だ。


「大きな相手に対してのディフェンスで、待っていては食い込まれるだけなので、こちらから、前に出ていこうと考えている。ただ(前に出ると)ステップを切られたり、1人が抜かれたりしてしまうとディフェンスがかなり崩壊してしまう。そこにはかなりリスクは伴うが、うまくいくと機能する」(ジョセフHC)


 いずれにせよ、組織ディフェンスで大事になってくるのは選手間のコミュニケーションだ。ただ、ケガ人やコンディションを配慮して毎試合メンバーを交替して戦わざるを得なく、なかなかメンバーを固定できない。合わせる時間が長かった開幕戦と、遠征で一緒にいる時間が長かった4試合目のライオンズ戦の2試合が善戦し、2試合目から3試合目、4試合目から5試合目と先発だけで11人のメンバーを替えて臨んだ2試合は大敗した。


 10対61で大敗したチーフス戦後、選手たちは「チームで同じページが見えていない」、「もっと全体でコミュニケーションをとらないと勝てない」、「南アフリカでやってきたことを(日本にいた選手に)落とし込みつつ、今週やらなければいけないことをやり、身体も休ませないといけなかった。時間がなかった」と反省の弁を口にしていた。

スーパーラグビーデビューの選手たちが躍動

スーパーラグビー1年目から主力級の活躍を続けるFL/LO姫野和樹
スーパーラグビー1年目から主力級の活躍を続けるFL/LO姫野和樹【斉藤健仁】

 やはり、南アフリカから戻って中4日で、強豪相手に11人交替しては勝つのは少々、難題だったと言えよう。専任SOの田村優の起用はわかるが、先発は4〜5人の変更に留め、ライオンズ戦でいいプレーをしたメンバーを試合の最初から出していた方が良かったのでは。人数がそろっていたのにも関わらず明らかなディフェンスミスでトライを許した場面もあり、スクラムは明らかに後半のメンバーの方が安定していた。


 サンウルブズは日本代表選手の強化という意味合いもあるため、コンディションに配慮して、選手を休ませながら戦わないといけないという状況は3年目になっても変えることができていないというわけだ。


 ただHO堀江翔太が「一人一人経験を積めているので、それはすごくいいこと」と言うように、昨年までスーパーラグビーを経験したことのなかった選手が躍動している。SH流大(ながれ・ゆたか)はキャプテンとしてチームを引っ張り、同じくデビューを飾ったFL/LO姫野和樹は出場した4試合で80分間フル出場を果たすなどすでに主力級の活躍を見せており、WTBレメキ ロマノ ラヴァ、ホセア・サウマキは持ち味を発揮している。


 この4人以外にもPR石原慎太郎、ヴァル アサエリ愛、LOジェームズ・ムーア、CTB中村亮土、シオネ・テアウパ、マイケル・リトル、FB野口竜司らが今年、初めてスーパーラグビーの舞台に立った。

ジョセフHC「信念を失っていない」

ラインアウトをキャッチするFLリーチ。強豪との対戦が続くが、今季初勝利を目指していく
ラインアウトをキャッチするFLリーチ。強豪との対戦が続くが、今季初勝利を目指していく【築田純】

 残念ながらサンウルブズは15チーム中、唯一白星がないチームとなった。ジョセフHCは「シーズンの中盤はリーグが二局化し、トップ8とそうではないチームに分かれる。我々が後者に入ってしまったことが残念」と肩を落とす一方で、「選手たちは自分たちのやり方を信じているし、信念を失っていない。ただ、チーフス戦でも我慢、スマートさが足らない場面があった。そこさえ修正できたら勝ちが見えてくる」と前を向いた。


 また「自分たちがコントロールできることをコントロールしていく」とも言うように、やれること、やれないことを取捨選択すべきだ。ラインアウトの立て直しは急務だが、チーフス戦の後半のようにラインアウトの回数自体を減らす戦略を取ることはできる。また中盤でのキッキングゲームはあまりうまくいっていないので、キックを使うのであれば敵陣でトライを取るために使った方がいいだろう。


 サンウルブズは休みの週を挟んで、4月7日にはオーストラリアの強豪ワラタス、さらにブルーズ、昨年の覇者クルセイダーズ、ハリケーンズとニュージーランド勢との対戦が続く。まず、何よりも勝つことがチームにとっては大きな自信になるはずだ。この4連戦ではメンバーをある程度固定し、組織ディフェンスを安定させて、強力な両翼を軸にスクラムからいいアタックをすることが今年初白星につながる。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

スポナビDo

新着記事一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント