期待高まるカネロvs.ゴロフキンの再戦 因縁決着が“ミドル級世界大戦”の口火に

杉浦大介

“因縁の再戦”ゴロフキン(右)とカネロ(左)の試合が5月5日に開催される 【Getty Images】

“因縁の再戦”――。使い古された表現だが、今回のリターンマッチはそう呼んでも大げさではないだろう。

 2018年5月5日(現地時間、以下同)、米国ラスベガスのT−モバイルアリーナでWBA、WBC、IBF王者ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)対サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)のリマッチが挙行されたことが決まった。

 ドローに終わった昨年9月の初対決から約半年。現代のボクシング界を代表するトップスター同士が、前回と同じアリーナで決着戦を行うことになったのだ。

リマッチへの期待度も高い

ゴロフキンは「次回も素晴らしいショーを見せると約束します」と意気込み 【Getty Images】

「次回も素晴らしいショーを見せると約束します」

 2月27日のロサンゼルスで一般開放して行われたキックオフイベントで、“GGG”の愛称で親しまれるゴロフキンはそう宣言した。単なる発表会見がこのように盛大なイベントになることが、何よりもリマッチへの期待度を物語っている。

 第1戦では2万3358人の大観衆を動員し、ペイパービュー売り上げも約130万件に達する人気ファイトとなった。リマッチも興行的な成功は確実。同時に試合内容も前戦以上のものになっても不思議はないとされる。

「初対決はすごい試合になり、両者ともにいまだに自分が勝ったと思っている。この2人が決着をつけるべき時が来たんだ」

 カネロを擁するゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)のオスカー・デラホーヤ氏がそう述べた通り、昨年9月の一戦は大観衆を沸かせる好ファイトになった。ゴロフキンが普段通りに積極的に攻めれば、カネロは好ディフェンスとカウンターパンチで応戦。それぞれが持ち味を出し合った上で、ハイレベルな攻防が続いた。

 160パウンド(約72.57キロ)のミドル級リミットでは初めての実戦だったカネロは、初戦の中盤以降は馬力負けが目立ったことも否定できない(注・昨年5月のフリオ・セサール・チャベス・ジュニア戦は165パウンドの契約ウェイトで戦った)。特に現場で見たファン、関係者は、多少は的中率が悪くとも最後まで攻め抜いたゴロフキンの攻勢とパワーを評価したものが大方だった。

 開催地はカネロにとって“ホーム”のベガスだったのだから、皮肉っぽい物言いになるが、本当にメキシカンスターが五分以上に戦っていたならばドローの裁定が下っていたとは考え難い。そんなバックグラウンドを考慮すれば、ボクシングファンを歓喜させた初対決はやはりゴロフキンがやや優勢だったと見るのが妥当なのだろう。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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