「最後方からノンコ」来ないか? 「競馬巴投げ!第163回」1万円馬券勝負

乗峯栄一

聖徳太子はインブリード2×2か?

[写真4]メイショウスミトモ 【写真:乗峯栄一】

「馬の血統」のところで、軽い気持ちで「インブリード」「アウトブリード」などと書いてしまったら、案の定、突撃編集者から「この二つの用語を説明してください」という要請が来た。

 仕方ないから、これもあらん限りの力をふり絞って調べてみた。

 たとえばディープインパクトのような強い馬が出現した場合、ディープインパクトの息子とディープインパクトの娘で交配させれば、とても強い馬が出現するのではないかと考える。こういう場合、父方の祖父と母方の祖父が同じだから「インブリード2×2」と表現する。
 もし父方の曽祖父と母方の曽祖父が同じなら「インブリード3×3」であり、父方の曽祖父と母方の曽祖父の父が同じときは「インブリード3×4」となり、父方の曽祖父の父と母方の曽祖父が同じなら「インブリード4×3」となる。
 そして5代祖先以内に同一馬がいない場合は「アウトブリード」と呼ばれる。
 最近の繁殖理論では「インブリード3×4、または4×3が理想である」などという言われ方をしていようだが、ぼくはどうも信じがたい。それを専門的に研究している人には悪いが、基本的に「血統理論」に疑問を持っている。

 などと書いた。書いてみて、ふと気がつくことがあった。

[欄外写真1]聖徳太子の系図だけど、インブリード2×2は正しいのかなあ 【写真:乗峯栄一】

 古代皇族の間では、お母さんが違えば(俗に言う腹違いなら)一人の天皇の息子と娘が結婚することは許されていた。

 仏教を導入し、強い天皇と言われていた第29代欽明天皇は、妃(きさき)蘇我堅塩媛(そがのきたしのひめ)との間に後の第31代用明天皇ができる。また妃・蘇我小姉君(そがのおあねのきみ)との間に穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとのひめみこ)ができ、この二人は結婚して聖徳太子が生まれる。

 現代天皇家ではこういうことはありえないが、古代皇統では許されていて、これをインブリード(近親結婚)と言い「聖徳太子はインブリード2×2(父の父と、母の父が同じ)の皇子である」ということになる。

 などと書いた[欄外写真1]。でも、これ、正しいのかなあ。

 大いなる疑問を抱きつつ、『競馬妄想辞典』は発刊されようとしている。

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著者プロフィール

 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

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