冬季五輪に並ぶ珍名モズカッチャン 「競馬巴投げ!第162回」1万円馬券勝負

乗峯栄一

“清濁併せ呑む”マンクーソの美しさと名前

[写真4]クロコスミア 【写真:乗峯栄一】

 いやいや、そういう実体験とは別に“オリンピックTV観戦おじさん”として冬季五輪には、全然違う楽しみがある。選手には悪いが、冬季五輪にはアホネンを初めとして、ビックリするような名前が多い。16歳リレハンメルでデビューし、次の長野では「フィンランドの坂田利夫か」と言われながら、日本の船木、原田あたりと一緒に記憶している。

 女子滑降にアメリカの“マンクーソ”という有力美人選手がいて、ぼくは02年ソルトレイクあたりから、彼女の美しさと名前で“清濁併せ呑む”ような気になって仕方なかった。ソルトレイクの時は男子滑降選手にもマンクーソという選手がいた。血縁関係にあったのかなあ。そういえば、最近はバレーボールのアメリカ代表にもマンクーソという選手がいるから、ひょっとしたらアメリカにはよくある名前なのかもしれない。

 フィンランド人の「ネン」は「沢」とかいう意味らしく、フィンランド人の三分の一は苗字の最後に「ネン」が付くらしいが、ぼくがアホネンよりビックリしたのは同じジャンプ選手カイタイネンという選手がいたことだ。確かトリノオリンピックだと思う。

 この名前は関西通販申し込みのときに困る。

「ではお名前を」

「カイタイネン」

「はい有り難うございます。で、お名前を」

「カイタイネン」

「有り難うございます。で、お名前は?」

「だからカイタイネン」と、これは果てしがない。

 しかし現在の首相も同名であるように、フィンランドではごく普通の名前らしく、発音も現地では「カタイネン」の方が近いらしい。“カタイネン”うーん、これも我々関西おじさんの反感を買う名前だ。難波戎橋(エビスばし、通称ヒッカケばし)あたりで「私カタイネン、ほんと、私カタイネン」などと、女の子に声掛けるフィンランド人がいたら、ほんとに下品なナンパだ。

「カタイネン」と「フニャディ」は不倶戴天の敵

[写真5]アクションスター 【写真:乗峯栄一】

 しかし最大のビックリ名は、90年代後半から00年前半に活躍したオーストリア・スケート選手フニャディだ。

 きっとフィンランドの「カタイネン」とオーストリアの「フニャディ」は不倶戴天の敵になる。

「わたし、若いけどフニャディです」

「ぼくは、結構歳くってますがカタイネン」

 と言いつつ握手しないといけない。

 てなことを言いつつ、日本勢には頑張って欲しい。楽しい外国選手名前にも注意しつつ。

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著者プロフィール

 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

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