ラ・リーガの優勝争いはほぼ終結? バルセロナの完勝に終わったクラシコ
14にまで広がった勝ち点差
しかし、それでも12月23日にサンティアゴ・ベルナベウで行われたエル・クラシコ(伝統の一戦)で、バルセロナの3−0の完勝劇を目の当たりにした後では、今季のラ・リーガはあまりにも早く決着がついてしまった印象をぬぐえない。
いまだ無敗のまま首位を独走するバルセロナと、1試合消化が少ないレアル・マドリーの間には、14ポイントにまで広がった勝ち点差に加え、同勝ち点で並んだ際に(現時点でその可能性は薄いが)順位を決する直接対決のスコアでも覆し難い差がついた。つまりレアル・マドリーが逆転優勝を実現するためには、残る22試合で少なくとも15ポイント以上、バルセロナより多くの勝ち点を積み重ねる必要がある。
バルセロナがクラシコのキックオフ前にレアル・マドリーのクラブワールドカップ(W杯)2連覇をたたえるパシージョ(花道)を作るかどうかの話題も含め、史上初めて5タイトル(ラ・リーガ、チャンピオンズリーグ=CL、UEFAスーパーカップ、スーペルコパ、クラブW杯)を獲得したレアル・マドリーの2017年の歩みを考えると、ラ・リーガがこのような現状にあることが不思議に思えてならない。だが今回のクラシコは最終的なスコアのみならず、フットボールの内容においても明らかな傾向を示すことになった。
ジダン監督の采配ミスとは言えない
バルセロナがサンティアゴ・ベルナベウでこれほど余裕を持ってプレーした試合は滅多にない。ウスマン・デンベレもパコ・アルカセルも起用できない状況下、バルベルデは前半と後半で戦い方を変えることで、賢く時間を活用した。前半にはクリスティアーノ・ロナウドとカリム・ベンゼマに与えたゴールチャンスを相手のミスとマルク=アンドレ・テアシュテーゲンの好守に救われる幸運にも恵まれたが、レアル・マドリーが今季を通して決定力不足に苦しんできたこともまた事実だ。
ゴール前での冷静さを欠き続けたレアル・マドリーとは対照的に、バルセロナからは首位を独走する精神的余裕が感じられた。リオネル・メッシとスアレスが両サイドバック(とりわけ好調のジョルディ・アルバ)の攻め上がりを生かし、そこにMF陣が2列目から前線に抜け出す動きが加われば(その点、パウリーニョは良い意味でのサプライズとなった)、ゴールチャンスは必ず訪れることを彼らは知っていたように見えた。
アタッカーを1人減らしてマテオ・コバチッチを起用し、メッシへのマークを任せたジネディーヌ・ジダン監督の決断をレアル・マドリーの敗因に挙げる声は多い。だが、それも目に余るほどの采配ミスだったとは思えない。むしろ彼のプランはある程度の成果を挙げたとさえ言える。ただ90分間メッシを追い続ける役割は、滅多に報われることがないだけだ。