キタサンブラック偉業支えた“仕上げ人” もう一人の立役者・黒岩と3年の舞台裏
空前絶後の存在、その傍らにいた男
キタサンブラックの調教を担当した“仕上げ人”黒岩悠騎手、怪物とともに歩んだ3年の日々を語る 【写真:高橋由二】
昨年のクリスマスイブに行われた第62回有馬記念は好枠をいかし、鋭発を決めるとシナリオでもあったかのように逃げ切り、できすぎとも言える大団円。これでJRA・GI最多タイの7勝目を挙げるとともに獲得賞金では歴代トップに立った。そのスタート直前「吐きそうになりながら」見守っていたのがキタサンブラックの”仕上げ人”黒岩悠騎手だった。
第一印象は「大きいな」
最初の印象は「大きいな」 【写真:高橋由二】
それが1月31日、東京競馬場での新馬戦を3番人気で差し切り勝ち。続く500万下は9番人気で楽勝してしまう。
「勝っちゃいましたね、っていう感じ。あのころは驚きの連続でした。スプリングSのころには良くはなりつつありましたが、まさか勝つとは。皐月賞3着で凄い馬かも、と思うようになりました」。ただ、春シーズン最後となる日本ダービーは最初で最後となる2ケタ着順の14着。「トモが流れ、疲れがたまった状態だった」と回顧する。
「あの馬が一番変わったのは菊花賞の前」
初のGI勝利となった菊花賞、キタサンブラックが大きく変わったのはこの時期だという 【スポーツナビ】
母の父サクラバクシンオーということで距離不安がささやかれた菊花賞は5番人気をあざ笑うかのような走りでGI初制覇。「ずっと乗って来て、バクシンオーなのって感じでした。感覚では絶対に中距離以上。性格、心肺機能、体型から見ても、そう感じてました」