ダカツの人にリチャードを 「競馬巴投げ!第159回」1万円馬券勝負
でも“ダカツ”って何や?
[写真3]シュヴァルグラン 【写真:乗峯栄一】
ぼくは映画「クリスマスキャロル」の詳細レポートを作って、勇躍コタツの部屋に戻る。
「“クリスマスキャロル”っていう映画は知ってるやろな」と大声を出すと、夫の怒りも知らずうたた寝していた嫁は「ンガァ」と首だけ起こす。
「映画クリスマスキャロルや、知ってるやろな?」と再び聞くと「えー? あの矢沢のエーちゃんがやってたやつ?」と言う。
「そりゃキャロルや」
「違うの?」
これが建設的夫婦というものの会話か?
「リーゼントに革ジャンのエーちゃんが“今夜はクリスマスだぜー、ファンキー・モンキー・ベイビー、よろしく”とかって叫んで、うわっ、クリスマスキャロルや!とか言う映画かい!」とか身振りまで入れて長ツッコみしたが既に嫁は聞いてない。
仕方なく一人で自分のレポートを読み上げる。
「冷酷無慈悲、蛇蝎(だかつ)のごとく嫌われているロンドンの守銭奴のじいさんが、クリスマスイヴの晩に現れた精霊とその精霊のかなでるクリスマスキャロルによって人間愛に目覚める奇跡話や」
「ふーん」
「でもダカツって何や? “ダカツのごとく嫌われてる”っていうんやから、かなり嫌われてるんやろな、ダカツってのは」
自分で自分の言葉に小首を傾げていると、「ダカツって、地下鉄の西中島南方(みなみがた)の向こうでしょ?」と嫁が言う。
「そりゃ中津やろ! 中津のごとく嫌われてるとかって、そんなのおかしいやろ!」
「そうか、違うか」
競馬人間のあなたは人間愛に目覚め、人生の素晴らしさを知ることになる
[写真4]スワーヴリチャード 【写真:乗峯栄一】
日頃の行いからダカツのごとく嫌われ、当然のごとく有馬も惨敗する競馬人間(そう、あなたのことだ。え、オレ?)がクリスマスイヴの精霊と賛美歌によって人間愛に目覚め、人生の大逆転勝利を収める。それがクリスマスキャロルだ。
ダカツのごとく嫌われているあなた、あなたは確かに有馬記念には負けるかもしれない。しかしあなたは、その有馬後の24日の晩、人間愛に目覚め、人生の素晴らしさを知ることになる。おめでとう。有馬記念に負けるぐらいが何だ! メリークリスマス!