恐るべし! 香港競馬の意外な底力 場内も場外も目の肥えたウマ女がぞろぞろ
“ビューティーペア馬券”は成立せず
熱気ムンムンだった今年の香港国際競走。最も沸いたのが地元デレク・リョン騎手と地元馬ビューティージェネレーションが勝った「香港マイル」だった 【写真:有田徹】
ナイター開催を翌日に控えたこの日の競馬場は慌ただしい香港でもさすがにのんびりしており、周辺は太極拳でゆっくり体を動かす老人が数人いる程度。クリケットやラグビー場になっている内馬場ではジョギングする人をちらほら見掛けるぐらいだった。
当然のことながら日本から取材で訪れていた関係者もとっくに帰国。私も競馬博物館にブラリと立ち寄り、飲茶でも食べて帰るつもりだったが「2018正月開催」に向けた記者発表があり、彼らはゲストとしてここに呼ばれていたのだ。1人は若きイケメンのデレク・リョン騎手。もう1人は新進気鋭のフランキー・ロー調教師だ。
2人の話に移る前に「香港国際競走」をおさらいすると、今年は地元勢がGI・4レース中3勝と席巻し、香港競馬の復権を印象づけた形となった。層の薄い芝2400メートルの4R「香港ヴァーズ」こそ、アイルランドのハイランドリールに花を持たせたが、オハコの5R「香港スプリント」はミスタースタニングが順当勝ち。混戦模様だった7Rの「香港マイル」は伏兵ビューティージェネレーションがものにし、日本での3連単100万馬券を演出している。
何を隠そう、このレース。現場にいた私は昨年の勝ち馬ビューティーオンリーも1着に入れた”ビューティーペア”なる3連単フォーメーション馬券を購入。香港でいくらの配当だったか知らないが、寸前のところで取り逃し、その場に立ち尽くしてしまったものだ。
「日本馬は残念だったけれど、今回は我慢してね」
8頭が参戦した日本勢はメンバーがやや小粒だったこともあり、「香港ヴァーズ」のトーセンバジルと「香港カップ」のネオリアリズムの3着が最高着順。14年以来3年ぶりに未勝利に終わった。特に「スプリント」と「マイル」は完敗と言っていい内容。同行していた有田カメラマンも「ホンマに疲れましたわ」と死んだ魚のような目をしていた。
とにもかくにも地元馬の活躍に大盛況だった国際競走。お世話になった香港ジョッキークラブの女性職員は「今年は香港の番でした。日本馬は残念だったけれど、去年は2勝しているじゃない。今回は我慢してね」と笑みを返してくれた。確かに、国際レースは短いスパンで考えるのではなく、中期的ぐらいの視点で考えた方がいいのかもしれない。その意味では日本馬は確実に強くなっているが、今回はあらためて香港競馬の底力を感じさせられる1日ともなった。