改めて考える「やっと」の海外馬券発売 ダービー馬マカヒキ挑戦の意義

今年の凱旋門賞を国内で初めて発売

10月2日の凱旋門賞からいよいよ海外競馬の馬券発売がスタートする(写真は昨年の凱旋門賞) 【Getty Images】

 2015年4月。改正競馬法が衆議院本会議で可決、成立。海外の馬券を国内で発売することが可能になりました。

 これを受けた2016年6月27日、今年の凱旋門賞を初めて発売する旨がJRAから発表になり、来月10月2日に迫ったレースで、海外馬券発売がスタートします。

 おさらいすると、単勝、複勝、ワイド、馬連、馬単、3連複、3連単の7方式の馬券が発売され、枠連はナシ。インターネット(A−PAT、即PAT)のみによる販売で、WIN5はありません。

 注意しなくてはならないのは、『独立プール方式』が採用されること。簡単に言えば、日本国内独自のルールに基づいてオッズが決まり、配当金が払い戻される。つまり現地の配当と日本での配当には差が生じます。

 出走する日本馬を応援したい。日本のファンの多くがそう考えるとすると、国内のオッズではほぼ無条件に日本馬が人気を集めることになります。潜在的な人気馬に応援したい気持ちが上乗せされれば、単勝だけは圧倒的人気になっても不思議はありません。

 ただ、あくまでもインターネット発売。応援馬券というと発券した“モノ”を残したいのが身上で、その部分は満たされないわけですから、圧倒的、までの人気になるかどうかは蓋を開けてみなければわかりません。

 勿論、買う際に、非情になって日本馬を切り、配当的妙味(?)のある外国の馬から入る手もあって、それは人それぞれです。

 ともかく、発売開始は10月2日午前10時。締切時間は発走時刻23時05分頃の約4分前。長年、話題になってきた海外馬券の発売、いよいよ、ということになります。

マカヒキの取捨

 その記念すべきレースに出走するのが今年の日本ダービー馬マカヒキです。

 8月20日オランダ経由でシャンティイ競馬場入りし、前哨戦として駒を進めたニエル賞を楽勝。堂々と本番を迎えます。

 対するライバル達を見渡すと、ドバイシーマクラシックでドゥラメンテを破り、英インターナショナルSを制したポストポンドを筆頭に、今年の英愛ダービー馬ハーザンド。これを破った今年の仏ダービー馬アルマンゾールはレース前に「愛チャンピオンSの結果次第」と含みを持たせており、この馬が出走してくるようなら注目を集めて当然です。

 斤量面で圧倒的優位に立つ3歳牝馬で注目されるのが今年の仏2冠牝馬で8戦無敗のラクレッソニエール。昨年の最優秀2歳牝馬で英オークスなどGI6勝のマインディングも有力視されるはずです。

 他にも直近でポストポンドに敗れはしたものの、今年のキングジョージVI世&クイーンエリザベスSを制したハイランドリールなどもいて、近年と比較しても強力な面々が顔を揃えた印象があります。

 で、マカヒキ。ニエル賞を見てもヨーロッパの競馬は超スローのヨーイドンになりがちで、その手の瞬発力勝負は得意です。また今年はシャンティイ競馬場での開催ですが、同じディープインパクト産駒のエイシンヒカリが大差勝ちしたコースで……といったような材料は、楽観的見方との謗りを免れないでしょう。何度も日本競馬史を代表する名馬達が苦杯を舐めて、希望的観測が通用しないレースであることは学んできたつもりです。

 今回も結果はどうあれ、多くを学ぶ覚悟で臨まなくてはなりません。

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著者プロフィール

中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックweb『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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