師走の日本馬旋風再び…3連覇も見えた 開催目前、香港国際4レース勝ち馬展望

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【香港カップ】ネオリアリズム&モレイラが連覇へ

ネオリアリズムとモレイラが香港カップ連覇を狙う 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 2015年のエイシンヒカリ、2016年のモーリスに続き、香港カップは日本調教馬の3連覇がかかっている。その襷を受ける候補は春のクイーンエリザベス2世カップ(QE2C)を制したネオリアリズム、香港Cは3年連続のチャレンジとなるステファノス、そして7歳牝馬にして衰え知らずのスマートレイアー。混戦模様で予断を許さないが、それぞれに異なる個性があり勝機も十分だろう。

 今年の香港Cはネオリアリズムをはじめ地元のワーザー、英国のポエッツワード、そしてアイルランドのドーヴィルがレーティング119で首位に並び、さらに118のステファノスが続いて記録上の上位グループを形成している。この5頭の中から勝者が誕生するのではないか。

“マジックマン”モレイラが今年も好騎乗で日本馬をVに導くか 【Getty Images】

 日本期待のネオリアリズムは、4月に同舞台のQE2Cを制したばかり。香港競馬シーズンの終盤に行われる中距離路線の総決算を制しているのはアドバンテージだ。当時は未勝利戦でも見られないような超スローペースで、馬の能力もさることながら騎手の腕も問われる展開となったが、引き続き殊勲のJ.モレイラ騎手を鞍上に迎えられるのは幸い。さすがに同じような展開になるとは考えにくいものの、もともとネオリアリズムは自在性を持ち味としているだけに、香港のベストジョッキーでもあるモレイラ騎手が巧みに導いてくれることだろう。

 また、ステファノスはレーティングこそ1ポンド劣るものの、あくまで数字上の記録。香港には初遠征となるポエッツワードやドーヴィルに対し、ステファノスは3年連続4回目、2015年QE2Cで2着、昨年の香港Cで3着と経験値で上回る。しかも、宙に浮いていた鞍上が今年の「ワールドベストジョッキー」に輝き、シャティン競馬場での騎乗実績も豊富なH.ボウマン騎手に決定したのは心強い。悲願のG1制覇へ一歩前進だ。

日本馬の最大のライバルとなりそうなのが、地元香港のワーザーだ 【Getty Images】

 最大の脅威は実績の割にレーティングが高めな欧州の2頭ではなく、やはり地の利がある地元のワーザーではないか。昨年の香港Cは脚部不安の影響で回避したが、出走していればモーリスの最大のライバルになると恐れられていた実力馬。今春のQE2Cではネオリアリズムの立ち回りに屈したが、底力を問われる展開なら筆頭評価もできる。前哨戦を力でねじ伏せた内容もさすがで、上位争いに絡んでくることはまず間違いない。

 スマートレイアーはレーティング110で数字こそ劣るが、レースでの斤量差(4ポンド)を加味すれば上位馬にもう一歩のところまで近づける。鞍上は日本が誇る天才・武豊騎手。香港カップは2年前にエイシンヒカリで制したのをはじめ、2着も2回と第一人者にふさわしい記録を残している。今年で3年連続の参戦となるうえ、スマートレイアーとのコンビでは昨年も香港ヴァーズを戦っており、一発逆転の秘策に期待したい。

【香港マイル】ボウマン騎乗で一発なるか、サトノアラジン

末脚の威力なら上位のサトノアラジン、一発を狙う 【Getty Images】

 最近10年で9勝を挙げるなど、圧倒的な戦績を誇る地元の香港勢が今年も強力なメンバーをそろえてきた。日本からは昨年7着の雪辱を期してサトノアラジンが単騎参戦する。

 香港勢は昨年の上位4頭が健在で、これにトライアルを制した新興勢力のシーズンズブルームも加わるなど、戦力は前年に勝るとも劣らない布陣。7着に敗れたサトノアラジンが大勢を覆すのはなかなか難しい印象も受ける。

 ただ、昨年のサトノアラジンは最後方から大外一気の直線勝負を狙った末の7着。末脚が身上のタイプとはいえ、相手関係が判りにくい国際レースで決めるには難しい戦法だった。長く脚を使って直線もよく差を詰めてきたものの、さすがに疲れが出たのかゴール前でささり、立て直すロスもあって勝機を逸している。

 それでも、優勝したビューティーオンリーから2馬身1/4差しか後れておらず、乗り方ひとつで勝ち負けに持ち込める可能性はある。それを実現できるかもしれないのが、新たにコンビを組むことになったH.ボウマン騎手だ。

 ボウマン騎手といえば最強牝馬ウィンクスの主戦として有名だが、今年は11月26日のジャパンカップでシュヴァルグラン、春のチェアマンズスプリントプライズではラッキーバブルズをG1初制覇に導いている。サトノアラジンと同様に後方からの大外一気で取りこぼしてきたラッキーバブルズを、好位差しに転換して勝ち切った騎乗はとりわけ鮮烈。この大一番でサトノアラジンを如何に操るか興味深い。

 香港勢は昨年の優勝馬ビューティーオンリーと2着馬ヘレンパラゴンが健在。同3着のジョイフルトリニティは今季の2戦とも10着以下と振るわず、4着のコンテントメントは春にG1香港チャンピオンズマイルを制したものの、当時は圧倒的1番人気のラッパードラゴンの競走中止もあってノーマークの逃げがはまった。近走からは衰えも見え、この2頭なら新たに台頭してきたシーズンズブルームが怖い。今回がG1初挑戦になるが、前哨戦でビューティーオンリーやヘレンパラゴンをねじ伏せた最大の注目株だ。

 その他の外国勢ではA.オブライエン調教師が送り込むランカスターボンバーとローリーポーリー。3歳馬ながら海外遠征の経験が豊富でG1実績も十分にあり、上位争いを演じられるだけの素地がある。

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