師走の日本馬旋風再び…3連覇も見えた 開催目前、香港国際4レース勝ち馬展望
【香港スプリント】難攻不落の香港勢、日本馬はどう挑む?
昨年の香港スプリント優勝馬エアロヴェロシティは現役を退いたが、2着ラッキーバブルズ、3着ペニアフォビア、4着アメージングキッズは今年も参戦。さらに勝ち馬から2馬身差の7着ノットリスニントゥーミーまでが、外国勢を抑えてレーティング上位を形成している。
このうちラッキーバブルズは、春のチェアマンズスプリントプライズで待望のG1制覇を飾りスケールアップを果たした。ペニアフォビアは香港スプリントで3年連続の3着以内と抜群の実績を誇り、アメージングキッズも前哨戦のG2ジョッキークラブスプリント2着と調子を上げている。ノットリスニントゥーミーはムラ駆け傾向なものの、2015年の香港スプリントでペニアフォビアから1馬身、今年のチェアマンズSPではラッキーバブルズから1/2馬身差の3着と一発がある。
この4頭だけでも強力だが、レーティングでは4頭と同格以上のミスタースタニングとザウィザードオブオズが新たに加わった。ミスタースタニングはG1勝ちこそないものの、チェアマンズSPでは負けて強しの2着。前哨戦のJCスプリント勝ちと勢いは一番だ。また、ザウィザードオブオズも同様にG1未勝利だが、これまで挑戦した2回は復調途上。重賞戦線に参入してから順調だったことが少なく、10月から月1走で迎えられる今回は不気味な存在となる。
日本のレッツゴードンキとワンスインナムーンは、この分厚い壁に挑まなければならない。レッツゴードンキは差し、ワンスインナムーンは先行と脚質が異なり、二段構えで一角でも崩してほしいところだが、昨年は春秋スプリント王のビッグアーサーとレッドファルクスをもってしても2桁着順と跳ね返された。どこまで食い下がれるかがテーマとなるか。
フランスのサインズオブブレッシングは、昨年の香港スプリントで外国勢として最高の5着。1着から2馬身圏内だったうえ、不慣れなコーナーも経験して前進を望めよう。ただ、今年はG3を2勝しただけで、G1は3戦して4馬身以上の完敗続きと昨年のような勢いがない。同じくフランスのザライトマンは3月にG1アルクオーツスプリントを勝っているが、前走のG3ともども今年の2勝は道悪だった。アメリカのストーミーリベラルは前走のG1ブリーダーズカップターフスプリントが10番人気での勝利。だが、これまで右回りの経験もなければカリフォルニア州外に出たのは1度しかない。ここはあくまで試金石だろう。
この辺りの欧米勢なら、スプリンターズステークスで来日したブリザード、JCスプリント3着など重賞4戦で3着以上3回と堅実なディービーピンの地元勢に魅力がある。
【香港ヴァーズ】菊花賞馬キセキ、勝機十分
昨年の香港ヴァーズはサトノクラウンが勝利 【Getty Images】
レースの中心を担うのは、2年ぶりの勝利を狙うアイルランドのハイランドリール、そのハイランドリールを前走のG1ブリーダーズカップターフで破ったフランスのタリスマニック、そして前走で菊花賞を制した日本のキセキの3頭となろう。
レーティングではハイランドリール(123)、タリスマニック(122)が頭ひとつ抜け、これにキセキ(118)が続く格好。キセキは2頭に対して劣っているものの、3歳馬のためレースでは約2kg(5ポンド)の恩恵を受けられるため、計算上はハイランドリールに並ぶ形だ。
実績上位のハイランドリール、2年ぶり香港ヴァーズ2勝目なるか 【Getty Images】
ハイランドリールが先行した前2年のペースは、2015年が中間点の1200m通過1分17秒54、走破時計2分28秒43。2016年は1200m通過1分14秒32、走破時計2分26秒22だった。ともに良馬場で行われ、2015年はハイランドリールが優勝し、2016年は2着に敗れた。ただ、サトノクラウンに差し切られた2016年でも3着馬を7馬身近く離しており、同じようなペースになったところで崩れる心配はないだろう。
BCターフを制したタリスマニックが香港競馬でも大暴れを見せる 【Getty Images】
ある程度のペースで流れるのは、末脚勝負のキセキにとって願ってもないこと。良馬場で33秒台の上がりを使えるうえ、菊花賞では無尽蔵のスタミナを証明している。神戸新聞杯で2馬身差のレイデオロが、ジャパンカップで勝ち負けを演じた比較から、古馬の一線級に大きく見劣る面もない。3歳牝馬の優勝例がある香港ヴァーズなら、キセキにもチャンスは十分あるはずだ。
レーティングで3強に続くのは前出のティベリアン(114)。これにレースでの斤量差を加味すれば英国の牝馬スマートコール(110)も互角だが、さらに1ポンド差で5頭が並び、4番手争いは横一線の様相。その中には日本のトーセンバジルも含まれている。ここまで重賞勝ちこそないトーセンバジルだが、今年は阪神大賞典と京都大賞典でシュヴァルグランと互角に渡り合ったように、ここで3強に割って入っても不思議はない。