早くも今季のNBA新人王が決定!? あなたの知らないベン・シモンズの真実

佐々木クリス

(2)ポイントフォワードではなく「ポイントガード」

スタッツを見てもリーグを代表するPGであることを証明しているベン(右) 【Getty Images】

 実はベンの父、デイビッドはオーストラリアNBLでプロ生活をしていた時に、現シクサーズHCブレット・ブラウンの下でプレーしていた。ベンがシクサーズに加入したのも巡り合わせか。家族ぐるみの付き合いを過去にしていた両家だったが、NBA入りが現実味を帯びてからブラウンHCがベンと直接コンタクトを取ることは違法交渉を疑われないために避けてきたそうだ。

 それでもベンを良く知るブラウンHCは彼の獲得が決まってから、万能型なポイントフォワードではなく、あくまでもポイントガード(PG)としての起用を示唆してきた。「これは私の判断」とは4月のブラウンHCのコメントだ。「彼が最もチームに貢献できるポジションだろう」と断言する。

 チームのGMを務めるブライアン・コランジェロは「ベンがPGか否かは時間とともに自然とはっきりする」とコメントしていたものの、開幕から20試合を消化する前にもはや証明されたと言っていい。

「パスはキング(王様)」と表現するブラウンHCのチームは1試合平均351回パスを行い、2番目に多いチームよりも23回ほど多い。さらにベンはNBA全体1位の74.8回パスをさばくばかりか、ボールを触る回数もNBA唯一の100回越え、それでいてボールの1試合平均保持時間は7分で全体9位。これは数字で見ても完全にリーグを代表するPGと断言できるレベル。

 ジェームズ・ハーデン、ジョン・ウォール、ケンバ・ウォーカー、レブロンなどの先輩に保持時間では劣るように見えてセルフィッシュではない、ボールを放す判断の良さも持ち合わせるとも言える。

(3)実は右利き?

 そんなシモンズの課題は外角のシュートだ。レブロン、マジックの新人時代の3ポイントシュート成功率はそれぞれ29%、22.6%と、今季3ポイントが7分の0のベンも同じ悩みを抱える。

 特に、放つシュートの72%はリングから3メートル以内の距離で、リングに向かった場合のシュートはフローター、フック、レイアップ、ダンク、どのタイプでも右手でのリリースが大半を占める。それでも外角のジャンパーは左手で放っており、両利きとされるが「実は右が本来の利き手では?」とも憶測を呼んでいる。来年夏にはかつてクリーブランド・キャバリアーズのトリスタン・トンプソンが改革したように、セットシュートやジャンプシュートを放つ手が入れ替わっているかもしれない。

 ただし、今は外角の課題はどこ吹く風。ドライブ、パスと、彼の影響力が感じられない試合はない。

(4)19歳で20億円を超えるマーチャンダイジング契約

ベンはレブロンを兄の様に慕っているようだ 【Getty Images】

 ベンはNBA選手になる前にナイキとシューズ契約を結んでいる。レブロンが自分の親友リッチ・ポールを代表に置く代理店、クラッチ・スポーツと大学最後の試合を消化した直後に契約した。ナイキとの契約も必然に思えるが、最後までアディダスとの争奪戦の末、1試合もプレーしていない選手としては破格、かつインセンティブも充実しているそうだ。

 ベンとレブロンの出会いは毎年、有望な高校生と大学生をラスベガスに承知して行われるレブロン主催のスキル・アカデミーがきっかけと言われる。当時17歳だったレブロンはベンに惚れ込んだそうだが、14年からベンの姉エミリーが広報としてクラッチ・スポーツに在籍していることも興味深い。

「まだまだ道のりは長い」「自分は最高の自分を目指すだけ」と謙虚な姿勢をNBAデビュー後も崩さないベンだが、レブロンにはいつでも電話でアドバイスを求めることができる関係で兄のように慕っていることが伝わってくる。

(5)大学時にオバマ前大統領が名指しで期待感をあらわに

 バラク・オバマ前米国大統領の教育長官を務めたアーン・ダンカンは、ベンの父とオーストラリアでチームメートだった。ベンは2人よりも良い選手と米国では冗談まじりに紹介されるが、大学生でありながら大統領にすでに注目を受けていた。

 さて、今回特集したベンはオーストラリア代表「ブーマーズ」の1員として東京五輪への参加も公言。今から注目しておけば、NBA観戦はもとより、東京で躍動する彼のキャリアの生き字引になれること請け合いだ。

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