歴史的チームだった今季のウォリアーズ 初戴冠のデュラントが払った多くの犠牲
勝負を決めたスーパースコアラー
MVPを獲得したデュラント。ファイナルでもその得点力は際立っていた 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
6月12日の第5戦を地元で制したウォリアーズが、3年越しの「トリロジー(3部作)」を勝ち越した。MVPを獲得したのは平均35.2得点、8.4リバウンド、5.4アシストをマークしたデュラント。メーンキャストの大半が過去2年と同じだったが、勝負を決めたのは昨オフにウォリアーズに加わった痩身(そうしん)のスコアラーだった。
「(苦しいときに)鼓舞してくれるチームメートがいた。それこそが誰もが人生で必要とするものだ。シーズンを通じてずっとそうだったのが素晴らしい。今ここでその選手たちと一緒にいられるというだけで素晴らしいよ」
ファイナル終了後、デュラントはそう語って仲間たちに感謝をささげた。しかし、少なくともこのシリーズ中に関しては、感謝したいのは他の選手たちとウォリアーズのファンの方だったかもしれない。
全5試合でチーム最多得点。敵地での第3戦では終了間際に逆転のスリーポイントシュートを沈めて貴重な勝利を手にした。そして、第4戦で敗れた後、巨大なプレッシャーの中でプレーした第5戦でも、デュラントの得点力は際立っていた。
4度の得点王も無冠だったデュラント
コート上では決して表情を変えず、長いリーチを生かしてガード不可能なロングジャンパーを放つ「サイレント・アサシン(狙撃ライフル)」。そんなデュラントの切り札的な活躍は、キャブズの選手たちとファンに絶望感を与えたに違いない。
「ケビンの歴史は非常に独特だ。ただうれしいよ。彼はこれまでも素晴らしいキャリアを築いてきたが、それを次のレベルに引き上げた。シーズンを通じて素晴らしかったし、このシリーズでも見事だった。支配的だったね」
スティーブ・カーヘッドコーチはそう述べて目を潤ませたが、実際にここにたどり着くまでのデュラントの道は容易なものではなかった。
オクラホマシティ・サンダー時代に4度も得点王になったが、9シーズンで優勝は1度も果たせなかった。昨年のオフにFA権を得ると、2年連続でファイナル進出を果たしていたウォリアーズに移籍。サンダーのエースとして臨んだ昨季プレーオフで激闘の末に敗れたライバルチームとの契約を選んだことは、多くのファンを驚かせ、そして少なからず失望させた。