ラマス「日本のスタイルを探し求める」 バスケ男子日本代表・新HC来日記者会見
男子日本代表チームの新ヘッドコーチ(HC)に就任したフリオ・ラマス氏(左)の来日記者会見が行われた 【(C)JBA】
アルゼンチン代表を率いた実績を持つラマスHCは「一番重要なのは、代表の強化計画を進めること」と発言。「2020年の東京五輪が最終の目標」とした上で、「中国で行われる(19年の)世界選手権の出場権獲得も重要だと思っています」と意欲を見せた。
また、「できるだけ日本のスタイル、日本のバスケットボールを探し求めていくつもりです。他の代表のコピーは求めていません」と発言するなど、日本のスタイルを貫きながら世界と戦う姿勢を示した。
東野委員長「妄想が実現したような思い」
三屋会長(左から2番目)、東野委員長(左端)ともにラマス新HCの熱さに感銘を受けたという 【(C)JBA】
三屋裕子(日本バスケットボール協会 会長)
東野智弥(日本バスケットボール協会 技術委員会 委員長)
フリオ・ラマス(男子日本代表チーム 新ヘッドコーチ)
エルマン・マンドーレ(男子日本代表チーム 新アシスタントコーチ)
三屋会長 ようやく、この日がやってまいりました。われわれが待ちに待ったラマス ヘッドコーチ(HC)の来日です。これから日本の男子チームの指揮を執ってもらいます。ラマス監督はアルゼンチン国内のリーグ戦で優勝して、そのまま休む間もなく、こちらに来ていただきました。長いフライトでお疲れのところ、昨日羽田に着いて、そのままナショナルトレーニングセンターに直行して、男子の練習をやってもらっております。
われわれが思った以上に熱い思いで、この日本の男子チームを作っていこう。そして結果を何とか残していこうという気概があることが、昨日の来日直後から(伝わっていました)。それまでも、われわれと一緒にという約束ができてから、東野(委員長)を通してさまざまなサジェスチョン(提案)や指導をいただいていましたが、来日したその日からアグレッシブに活動していただいたということで、私としては感動しております。
日本の男子はなかなか結果を残せていない状況ですが、その中でもラマスHCの指導を選手たちも楽しみにしていて、たくさんのことを学びたいという姿勢でおります。新しい男子の代表チームが出来上がり、世界の中で日本の足跡を残せる、ある程度のポジションまで上がっていけるのではないかと心から期待しています。
われわれJBA(日本バスケットボール協会)もラマスHCを全力でサポートして、彼が活動しやすいようなバックアップもしていきたいと思っております。皆さんにはラマスHC、AKATSUKI FIVE(アカツキファイブ)、男子バスケのさまざまな挑戦、活動を見守っていただければありがたいです。先ほど本当にうれしい思いで、ラマス監督といろいろな話をしましたが、楽しみです。今後ともどうぞよろしくお願いします。
東野委員長 フリオ・ラマスHC、エルマン・マンドーレ アシスタントコーチ(AC)をここに迎えられるということで、まるで妄想が実現したような思いです。リオ五輪のときに私が(JBAの)技術委員長に就任して、FIBA(国際バスケットボール連盟)の方々とも話をしながら、(ヘッドコーチの)選出作業を進めてきました。
日本のバスケットが40年の壁をどう破って、東京五輪で活躍するのか考えました。心が合わせられる、一心同体でやれる人は誰なんだろう? という中で、しっくり来たんですね。コーチの元に何度も通い、「一緒にやろう」と逆に言ってもらったことを思い出します。
先日ANB(アルゼンチンリーグ)で優勝した時には、満員のお客さんから「フリオ戻ってきてくれ」「どこにも行くな」というような歓声がすごかったらしいです。そのようなことを聞きながら、ラマスHCが「このクラブは将来的によくなるんだ」という話と同時に「日本で頑張るから応援してくれ」というマイクパフォーマンスを見せてくれたときに、胸が熱くなりました。
三屋会長がおっしゃったように、来てすぐ(羽田に午後)1時半に着いて、すぐ練習を始める熱さ。これこそがわれわれに必要だったものです。選手たちも緊張感を持って、集められたときはマジックにかけられたかのようになっていました。私は話を短くしないといけないので、これくらいにしますけれど(笑)、ラマスコーチにぜひ良い話をしてもらいたいと思います。ありがとうございました。
ラマス「日本のスタイルを探し求めていく」
マンドーレAC フリオと同じく、日本に到着できてうれしく思っています。できるだけ日本のバスケットボール界を成長させられるように、フリオを手伝いながら、実現できるように一緒にやっていこうと思っています。
――実際に練習を見た男子日本代表チームの感想と、最初に取り組むべき課題は?
フリオHC ものすごく選手のやる気を感じました。昨日はエネルギッシュな練習風景にすごく感動しました。全体的にすごく良い第一印象を持っています。まだまだ改善の余地があると思うので、それを強化していこうと思います。
――先日の練習公開で、選手がルカ・パヴィチェヴィッチ前HC(暫定)との違いに戸惑っていました。その理由は?
東野委員長 ルカとの違いはもちろんあると思います。今日から(東京五輪が開幕する2020年7月24日まで)1099日ですが、われわれには時間の問題があります。昨年12月から(今年6月の)東アジア選手権まではまずスタンダードを上げること、もう1つはディフェンスのアグレッシブさ。それは日本が絶対やらなければいけないですが、そこを(パヴィチェヴィッチ暫定HCには)コミットしてやってもらっていました。
最後に3つ目ですけれど、ピック&ロールゲームも今バスケットの中で大きな部分です。これもセルビアのパヴィチェヴィッチコーチから学ぶということであれば、次につながっていくと私は思っていました。まさにボールハンドラーのところが非常によくなっていたということは、Bリーグでも見えています。違いがあって当然だと思っていましたし、つなぐという意味では、今後ラマスコーチとルカコーチに会ってもらうというチャンスもあると思います。
ラマスHC 今ここで一番重要なのは、代表の強化計画を進めることです。もちろん20年の東京五輪が最終の目標です。その中でも中国で行われる(19年の)世界選手権の出場権獲得も重要だと思っています。
できるだけ日本のスタイル、日本のバスケットボールを探し求めていくつもりです。他の代表のコピーは求めていません。もちろんアイデアとしては世界の標準的なスタイルに取り組んでいきたいと思っていますが、最終的には日本のバスケットボールをやるのが目的です。できるだけ日本の代表選手がやりやすいスタイルをやっていこうと思っています。
ルカコーチがやってきたバスケに関しては、もちろんそれも使いながら、これからの練習をやっていこうと思います。スタイルが違うからといって、心配することは何もありません。
――通訳についてはどう考えているのか?
ラマスHC 通訳は2人います。日本語からスペイン語を彼(この日の担当通訳)がやっています。彼は会議などで使う通訳になります。練習前のミーティングなどの通訳も彼がやります。練習が始まったら、またもう1人、英語から日本語、日本語から英語の通訳がいます。森(高大)コーチがいるので、そちらが通訳します。トレーニングしながらの通訳は、森コーチの知識があるからできる仕事です。