初戦韓国戦の先発は薮田? 今永? 「言わないですけどね」と稲葉監督

中島大輔

12日の練習試合に登板する3投手が発表

12日の練習試合では3番手で2イニングを投げる予定の今永(写真は10日のもの) 【写真は共同】

 宮崎市は連日の快晴、心地いい涼風が吹くSOKKENスタジアム(宮崎市清武総合運動公園野球場)で野球日本代表(侍ジャパントップチーム)は合宿3日目のメニューをこなした。

 稲葉篤紀監督にとって“初陣”となる12日の北海道日本ハムとの練習試合を前に、投手陣の起用法が一部発表された。先発は薮田和樹(広島)で2イニング、2番手が田口麗斗(巨人)で3イニング、3番手は今永昇太(横浜DeNA)で2イニングの予定だ。

 気になるのは、この3人の中から誰が最もカギを握る一戦で投げるのか。合宿初日、「アジア プロ野球チャンピオンシップ」(11月16〜19日/東京ドーム)でのエースの起用法について、指揮官はこう明言していた。

「一番いいピッチャーを韓国戦に当てます。初戦なので特に、ここはどうしても勝っていきたい」

 韓国戦の先発は12日の練習試合で3投手の状態を見極めた上で判断するのか、すでに決めているのか。稲葉監督に聞くと、こう答えた。

「決まっています。言わないですけどね。韓国もどのピッチャーを出すなんて言わない……と言いますか。こっちも最後の最後まで隠しておきたいなというのが正直なところです」

 12日に投げた投手は、16日の韓国戦を中3日で迎える。そう考えると、アジアプロ野球チャンピオンシップ開幕戦を任されるのは薮田か今永のどちらかではないだろうか。

「初球から100%のボールを」と今永

 両投手はこの日、投内連携には加わらずに見学した後、別の動きを見せた。今永は10日に続いて投球練習場へ。試合前日にブルペンで投げるのはシーズン中と同じ調整方法だという。その際、ストレートがカットボール気味に変化していて、この日は確認を行なった。

「昨日の立ち投げのピッチングが正直悪すぎたので、昨日よりは良かったと思います」と今永本人は振り返った一方、ボールを受けた捕手の若月健矢は「きれいな真っすぐが来ていました」と話した。

 日本シリーズの後にわずかなオフをとった今永は、「実戦感覚が一番あるのは自分だと思う」と話し、ポストシーズンでつかんだ好感触を発揮したいと語った。クライマックスシリーズ(CS)で中継ぎを経験したことが、日本シリーズでの好投に結びついたという。

「腕を振ることの重要性を、あの短期間で学べました。日本シリーズは短期決戦だったので、行けるところまでと考えて、初回のバッターから100%で行った結果、たまたまうまくいきました。国際大会も同じく、1番バッターの初球から100%のボールを投げられるようにしたいです」

薮田は「実戦感覚を取り戻して本戦に」

 一方、10日にブルペンで投げた薮田は、この日はサブグラウンドで調整を行なった。前日に投球練習場で視察した稲葉監督は、「いい真っすぐを投げていました。変化球も低めにしっかり投げようと意識していました。CSで負けて時間が空きましたけど、このジャパンにかける思いが伝わってきました」と話し、日本ハム戦では先発のマウンドに送る。

 指揮官の期待を背負う薮田は、久々の実戦に向けてこう語った。

「状態はいいと思います。まず明日、しっかり自分の持っているものを出せるようにやっていきたい。シーズンが終わってからやってきた、真っすぐの制球力などを意識していきたいです。シーズンが終わって少し空いたので、しっかり実戦感覚を取り戻して本戦につなげられたらと思います」

 これで3日間の練習期間が終了。稲葉監督は「短い時間ではありましたけど、やりたいことはある程度やれました」と言うと、視線を翌日に向けた。

「練習試合は無難に、無難にではなく、本当はいろんな課題が出てくれたほうがいい。状況によりますけど、いろんなサインを出しながらできたらいいと思っています」

 24歳以下のメンバーに3人のオーバーエイジ枠を加えた今回の侍ジャパンは、いよいよ実戦段階に入っていく。
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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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