堂々とW杯行きを決めたスペイン代表 世代交代を実現し、本大会でも優勝候補に
1試合を残してグループ首位通過を決める
接戦になると見られていたが、スペインが1試合を残してW杯出場を決めた 【Getty Images】
スペインは2008年から12年にかけて、2度のユーロ(欧州選手権)とW杯を連続で制した。だがその後は主力メンバーの多くが代表を後にし、オランダとチリに連敗してグループリーグ敗退に終わった14年のW杯ブラジル大会で黄金期の終えんを印象付けた。その後は世代交代に取り組んできたが、昨年のユーロ2016もイタリアに敗れて決勝トーナメント1回戦敗退に終わっている。
今回のW杯予選では、くしくもそのイタリアがグループ最大のライバルとなった。欧州予選では各組1位のみに本大会の出場権利が与えられ、2位のチームは心臓に悪いプレーオフに回らなければならない。スペインと“アズーリ(イタリア代表の愛称)”の実力は拮抗(きっこう)していただけに、首位争いは最後までもつれ込み、ディティールが勝負を分けるものと思われた。
若手を組み込み、プレーコンセプトを維持
イスコ(22番)やアセンシオ(20番)ら若手を組み込みながらプレーコンセプトを維持してきた 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
デルボスケの退任が大きく響かなかったことは驚きだった。彼には周囲を落ち着かせ、スペイン独自のプレーコンセプトを選手たちに伝える力があったからだ。彼の退任と同時期には、29年間もスペインフットボール協会(RFEF)会長の座を独占してきたアンヘル・マリア・ビジャールの不正疑惑も表面化した。その後ビジャールはフットボール界での活動を禁止されただけでなく、保釈金を払うまで何日も刑務所暮らしを強いられることになった。
このような状況下、チームはRFEF内の問題からは距離を置いてフットボールに集中してきただけでなく、過去10数年間保ってきた素晴らしいプレーコンセプトを維持することに努めてきた。