凱旋門賞は「エネイブルのための」ものか サトノ他ライバル勢はどう打倒する?

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下馬評で圧倒的支持を集めるのも納得の存在

2017年の凱旋門賞は傑出した3歳牝馬、エネイブルを中心に展開する 【Getty Images】

「エネイブルの、エネイブルによる、エネイブルのための凱旋門賞」となるのか、そうはさせじと他の馬たちが意地を見せるか。今年の凱旋門賞は1頭の傑出した3歳牝馬をめぐって争われることになった。

 主役のエネイブルは前走までG1を4連勝中。いずれも2着馬に5馬身前後の差をつけるワンサイドの内容で能力の違いを見せつけてきた。それら4勝のうち英愛オークスは3歳牝馬同士、前走のヨークシャーオークスも牝馬限定戦で相手関係を疑うこともできるが、7月のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスでは、この凱旋門賞でもライバル視される年長の牡馬たちを一蹴している。この間に良、稍重の馬場をこなし、何らそん色のないパフォーマンスを発揮。フランスへは初遠征になるが、輸送や初コースは愛オークスで問題にしておらず、能力面や経験値において課題は見当たらない。下馬評で圧倒的支持を集めるのも納得の存在だ。

キングジョージでは年長の牡馬を一蹴 【Getty Images】

 唯一、死角となるなら、英国調教の3歳牝馬は凱旋門賞を未勝利というデータになるが、そもそも地元フランス馬に有利で、英国調教馬の優勝自体が過去30年で6回しかないレース。エネイブルを送り出すJ.ゴスデン調教師とL.デットーリ騎手の師弟コンビは、2年前に3歳馬のゴールデンホーンで凱旋門賞を制したばかりでもあり、データの壁を乗り越えて新たな金字塔を打ち立てる可能性も低くはないだろう。

A.オブライエン軍団3歳勢に注目

A.オブライエン軍団注目の3歳馬カプリは今年の愛ダービーと英セントレジャーの二冠馬 【Getty Images】

 打倒エネイブルを実現する筆頭候補には、昨年の凱旋門賞で上位独占の離れ業を演じたA.オブライエン調教師が率いる軍勢に注目。今年も9月25日の段階で7頭の登録を残し、ギリギリまで出走メンバーの選抜に神経を尖らせている。その中には昨年2着のハイランドリール、3着のオーダーオブセントジョージも含まれるが、むしろ注目したいのはエネイブルと同じ3歳の牡馬カプリと牝馬ウィンターの2頭。ハイランドリールはキングジョージでエネイブルに完敗したのに対し、カプリもウィンターも今回が初めての直接対決となる。

 カプリは愛ダービーと英セントレジャーの二冠、ウィンターは英愛1000ギニーなどG1を4勝しており、同じ3歳馬としてエネイブルに決して引けを取らないだけの実績を有している。そして、これら精鋭の中からエースライダーのR.ムーア騎手が、どの馬をパートナーに指名するのかも重要な鍵。昨年は3頭の見事な連携で上位独占を成し遂げ、ムーア騎手が優勝をさらったように、陣営が束になって最適な展開を演出してくるはずだ。

地元フランスからはクロスオブスターズが最右翼

地元フランス期待のザラックは、母が2008年の凱旋門賞を無敗で制した名牝ザルカヴァ 【Getty Images】

 地元フランス勢は最近10年で4勝と外国勢に押され気味だが、史上3例目の母子制覇が懸かるザラック、史上最多の凱旋門賞7勝を誇る名伯楽A.ファーブル調教師が送るクロスオブスターズ、そして今年の仏牡馬クラシック二冠馬ブラムトと、3年ぶりのタイトル奪還も望めそうなタレントがそろった。いずれも半年以内にG1初制覇を飾っており鮮度も十分だ。

 ただし、ザラックは前走から3か月ぶりの実戦となるうえ、左回りに良績が偏っている傾向。ブラムトもスタートに課題がありポジショニングに不安を抱える。3頭の中では前哨戦のフォワ賞に姿を見せ、しっかり2着と結果も残したクロスオブスターズが、ひと叩きの上積み込みで最右翼となるか。

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