「帝京大がスタート」の日本代表・ツイ 欧州ラグビー挑戦の可能性は…?

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日本代表、サントリー、レッズで活躍

サントリー、日本代表、スーパーラグビーのレッズと、一年中プレーを続けているツイ ヘンドリック 【写真提供:WOWOW】

 8月18日に開幕したラグビートップリーグで快調に走っているのが昨季全勝優勝を飾ったサントリーサンゴリアスだ。開幕戦ではキヤノンイーグルスに完勝し、第3節はヤマハ発動機ジュビロとの昨季リーグ戦1、2位対決に劇的な逆転勝ち。5節を終えてレッドカンファレンス首位に立っているチームにあって、ジョージ・スミスとともにFWの柱になっているのがツイ ヘンドリックだ。

 2015年ワールドカップ日本代表躍進を担った一人でもあるツイは、15年からスーパーラグビーのレッズ(オーストラリア)に参戦。柔らかい身体を生かした突破力と、エディージャパン仕込みのタフなブレイクダウンワークで、ここ2シーズンはレギュラーの座をがっちりつかんでいる。南北両半球でフルタイムの活躍を続けているハードワーカーに、世界のラグビーの魅力を聞いた。

――スーパーラグビーが終わって、すぐトップリーグの開幕です。ハードな日程ですが、今年のスーパーラグビーを戦ってきた感想を聞かせてください。

 とても大変なリーグです。それを改めて感じました。4つの別々のバックグラウンドを持つ国々から来たベストな選手たちによるリーグです。毎週自分がベストな状態でないといけないことを学びました。ゲームに出ないと自分をアピールすることはできないし、ゲームもとてもタフだからゲームの中でのチャンスはほんの少ししかない。それを逃さず、最大限に利用しないといけないんです。

――評価を勝ち取るためにはどういうことが必要ですか。日本と外国で違いはありましたか?

 まず、コミュニケーションはすごく大事です。チームメイトとのコミュニケーションはどのチームでも同じことですが、お互いに要求し合うこと、話し合うことが大切です。チャンスにミスをしたら、練習であってもとても厳しく言われます。ひとつひとつのプレーがタフ。それは、スーパーラグビーというリーグ自体がとてもハードだからだと思います。

タフな“エディーHC時代”も「エンジョイしていた」

15年W杯で試合に向けて調整するツイ(右)。エディー・ジョーンズ前HC(左端)に率いられた日本代表は3勝を挙げた 【写真:ロイター/アフロ】

――ツイ選手はニュージーランドで育って、日本の帝京大、パナソニックを経てサントリーでプレーしながら、スーパーラグビーではオーストラリアでプレーしています。プレーする国によって、どんな違いがありますか?

 ニュージーランドでプレーしていたときは、ラグビーをエンジョイすることが大きな部分を占めていました。友達や家族、従兄弟たちと一緒にプレーすることが多かったし、ボールをどんどん動かして、たくさんパスしてつないで、それはトライという結果につながらなくても楽しめればいいと(笑)。それはアマチュアだったからでもあると思います。

 その点、日本とオーストラリアではプロフェッショナルとしてプレーしているから、当然ラグビーの位置づけも変わってきます。オーストラリアではセットピースが重視されます。そして、もっとフィジカル。コンタクトプレーやブレイクダウンの比重が大きくなります。そして、日本ではオーストラリアよりもゲームが速くなる。日本でプレーする時は、他の国でプレーするときよりもたくさん走ることになります。

――ツイ選手ご自身はどこでプレーするのが一番楽しいですか?

 僕は、もちろん日本でプレーするのが好きです。僕はここ日本で、ラグビープレーヤーとしてのキャリアをスタートさせたんですから。帝京大学でキャリアのスタートを切って、たくさんの友達とプレーをして、いっしょに良い思い出をたくさん作ってきました。キャリアアップのためのチャンスがたくさんあって、それをエンジョイしてきましたから。今はここ、サントリーサンゴリアスでプレーすることもとても楽しんでいます。

――ツイ選手はインターナショナルの経験も豊富ですが、クラブ・ラグビーとは違う楽しさがあるのでしょうか?

 楽しいか、ということで言えば、僕にとってはクラブでのプレーの方がより楽しいです。日本代表では、エディー・ジョーンズHCの下でプレーした4年間はとてもタフでした。エディーはヘッドコーチとしてとても厳しくて、選手に対しても自分自身にもハードワークを要求する人でしたから。ただ、同時に、僕も他の選手たちも、エディーのもとで一緒に過ごすことをエンジョイしていたのも確かです。ハードワークも楽しんだし、フィールド以外での時間も一緒にエンジョイしていました。
 でも、僕はサントリーのためにプレーするのが大好きだから、クラブチームでプレーする方が好きです。

19年W杯へ「ベストを尽くしてプレーする」

鋭いランでディフェンスを突破するツイ 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――ヨーロッパでのプレーに興味はありますか?

 そうですね……日本代表のツアーでフランスには何回か行ったし、イングランドやスコットランドにも行きました。それから他のヨーロッパの国にも。ジョージアやルーマニアに行きました。
 ヨーロッパはどこも、とてもフィジカルなゲームをします。気候は曇りがちで、雨が多いし、寒い日が多い。ヨーロッパでラグビーをするのはとてもタフだと思います。僕がそこでプレーしたいかって? えーと……僕には遠すぎると思います(笑)

 もうひとつ、ヨーロッパの特徴はシーズンがとても長いですよね、10カ月か11カ月続くと思います。
 でも、もう行っている選手がいますよね。サントリーでチームメイトの畠山健介(プロップ)はニューカッスルに、日本代表のチームメイトのアマナキ・レレィ・マフィ(ナンバーエイト)はバースで、2人ともイングランドのプレミアリーグで1シーズン、プレーする経験を積みました。彼らはヨーロッパのタフさを身につけて、強い選手になって戻ってきたと思います。今年サントリーに加わったオーストラリア代表のマット・ギタウも、ヨーロッパでたくさんの経験を積んできた素晴らしい選手です。今シーズン、一緒にプレーするのが楽しみです。

――ツイ選手自身は、今シーズンどんな目標を持っていますか?

 スーパーラグビーで多くのことを学んできました。特にコンタクトエリア、ブレイクダウンエリアでのプレーの面です。僕としては、ブレイクダウンの時の、自分のプレーの精度を向上させたい。トップリーグはタフな大会ですからね。そして、チームとしてのターゲットは、今年もチャンピオンシップを獲得することです。

――2019年には日本でワールドカップが開かれます。ツイ選手は、日本のラグビーを盛り上げるためにどんなアクションをしていきたいと思っていますか?

 そうですね、僕にできることはまず、良いプレーをすることだと思います。エキサイティングなプレーをすれば、お客さんも楽しんでくれると思います。僕から答えるのは難しい質問ですが、僕自身はベストを尽くしてプレーすることが大事だと思っています。

ツイ ヘンドリック

1987年12月13日、ニュージーランド・オークランド生まれ、29歳。両親はサモア出身。
デラセラカレッジ卒業後、来日して帝京大に入学。
2009年度の大学選手権初優勝から2010年度のV2まで主力で活躍。
2011年から2シーズン、パナソニックでプレーしたのち、2013年にサントリーに移籍。昨季のシーズン全勝、2冠獲得に貢献。
2015年からはスーパーラグビーのレッズ(オーストラリア)でもプレーする。
日本代表には2012年6月のトンガ戦でデビュー。2015年ワールドカップでは日本代表の全4試合に出場した。日本代表キャップ40(2017年6月まで)。
ポジションは主にFL(フランカー)だが、日本代表ではWTB(ウイング)での出場経験もある。189cm、108kg。

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