“世界のラグビーを極めた男”が日本へ サントリー新加入のマット・ギタウ
輝かしい経歴を誇るギタウ
世界で活躍し、今季からサントリーでプレーするマット・ギタウ 【写真提供:WOWOW】
世界のトップクラブを渡り歩き、それぞれで頂点をつかみ、なおチャレンジを続けるレジェンドに、TOP14と世界のラグビーの魅力を聞いた。
「TOP14はテストマッチに近いスタイル」
TOP14の特徴は、キックが多いこと、よりフィジカルなことですね。ゲームのスピードは、スーパーラグビーよりはスローだと思います。そうですね、テストマッチに近いスタイルといえばいいのかな。どうやって点数を重ねていくか、ペナルティーを奪ってゴールを決めていくかという試合の進め方と、フィジカルの激しさは、よりテストマッチに近いと思います。対してスーパーラグビーの特徴はゲームの速さですね。TOP14よりも速いです。
――フランスでの6シーズンを振り返って、一番思い出に残っている試合は?
ひとつに絞るのは難しいな(笑)。僕はRCトゥーロンにいる間に、ハイネケンカップを3回優勝することができました。幸運なことにね。その時に、トゥーロンの人たちが本当に喜んでくれた。優勝することがトゥーロンという街にとっていかに大事なことかを感じ取ることができて、それが最高にハッピーでした。そういう意味で、TOP14のタイトルとヨーロッパタイトルの両方を取れた、13−14シーズンのファイナルかな。
――オーストラリア育ちのギタウさんにとって、フランスでの生活、トゥーロンでの生活はいかがでしたか。
大きな違いは言葉の面でした。言葉が通じないのが最初はショックでした。僕にとって初めての海外での生活でしたからね。でもフランスのライフスタイルは新鮮でした。フランスの人たちはシエスタが好き。昼寝ですね(笑)。ほとんどの店がお昼過ぎから夕方まで閉まっていて、だから僕らも、家で寝るしかないんです(笑)。リラックスした、イージーなライフスタイルですね。街の人たちも僕や家族に対して優しかったし、海が近くて、海辺を散歩できるし、とてもリラックスして過ごせた、楽しい時間でしたよ。
――そのトゥーロンから、今度はまったく環境の違う日本に来ました。
フランスと日本ではいろいろなことが大きく違っていることは知っていました。だけど、日本に来たどの選手に話を聞いても、日本での経験を悪く言う人はいなかったんです。彼らはみんな、日本の人たちは素晴らしい人たちだ、ラグビーはとても速くて、リーグもタフで魅力的だし、住むところとしても安全だし、家族と過ごすにも素晴らしい場所だよと話してくれました。実際、僕がここに来てからも、すべての時間が素晴らしい。食べ物は何を食べても美味しいし、僕も家族も、本当に温かく迎えてもらえていることを感じています。
「TOP14は今まで以上に接戦が多くなると思います」
2014年のハイネケンカップ決勝でトライを決めるギタウ 【写真:ロイター/アフロ】
うーん、ちょっと難しいな。僕は長い時間をRCトゥーロンで過ごしたし、フランスにおいてはRCトゥーロンが僕にとって心のチーム。僕は今もRCトゥーロンの仲間たちを応援しているけれど、今年のチームについては、僕は離れてしまったから、詳しいことは分からない。他のチームから移ってきた選手もいるからね。でも、あえて言うならCTB(センター)マア・ノヌーですね。彼はいつも自信に満ちたプレーをして、チームを勝利に導いてくれます。昨シーズンもそうだったし、きっと今シーズンもそうなるでしょう。
――日本のファンに、TOP14を観戦するときのポイントを教えていただけますか。
まず、TOP14には世界のビッグスターが集まっています。そして、TOP14はどの試合も接戦になるという特徴があります。ほとんどの試合が、最後のワンプレーまで勝敗がわからない。年々その傾向は強くなっているし、きっと、今シーズンは今まで以上に接戦が多くなると思います。本当にエキサイティングなリーグ。そこを楽しんでほしいです。
――TOP14はなぜ、そんなに接戦が多いのでしょう?
やはり、どのチームもディフェンスが良くなっているからだと思います。以前は、強いチームは強くて、弱いチームは弱いとみられていたけれど、今はどのチームもディフェンスが強い。たとえば去年は、リヨンがすごく良くなりました。スタッド・フランセもシーズンの途中までは不調だったけど、しっかり修正してきました。TOP14にはもはや、イージーな相手は存在しないし、調子を落としたチームがあってもすぐに修正してくる。それが、タフなゲームが多くなる理由でしょうね。
「日本のリーグは世界で思われているよりもずっとタフ」
18日のトップリーグ開幕戦では、キヤノンを相手に32−5で快勝 【写真:築田純/アフロスポーツ】
僕がいつも考えているのは常に、自分がどうかではなく、チームのために良いプレーをすることです。それと同時に、僕がプレーすることで、日本人の若いチームメートが成長できるような、いい影響を与えたいと思っています。それが、日本のラグビーが世界の中で地位を高めていくことになると思うし、そうすることが外国人選手の責任だと思います。
僕がどうしたいから周囲をどう変えるかということではなく、日本のラグビーカルチャーが成長していくために、僕自身が考え方やプレースタイルを含めて、適応していきたいと思っています。
――日本のラグビーの未来像をどう見ているか聞かせて下さい。
未来がどうなっているかは分からないけれど、少なくとも、日本のリーグは世界で思われているよりもずっとタフだと思います。ウォームアップゲームを戦ってきた感覚でも、他チームとの試合はもちろんタフですが、サントリーではチーム内の競争もとてもタフです。だから昨年、サントリーはチャンピオンになれたんでしょう。一度も負けることなく、シーズン全勝で2つのタイトルを勝ち取ったということは特別なこと。今の僕の目標は、今年もサントリーが勝ち続けていけるように、チームをサポートしていくことですね。
――日本でプレーする外国人のバックス選手でヘッドギアをつけてプレーする選手は珍しいです。それも、ギタウさんが日本のラグビーがタフだと評価しているからですか?
そうですね(笑)。僕は5歳のときからヘッドギアをつけてプレーしているんです。母が、ケガをしないようにと買ってきてくれて『これをつけると強くなるよ、いいプレーができるよ』と渡してくれた。それ以来、僕も『これをつければいいプレーができる』と思って、どんなグレードでも、どこの国へ行ってもずっと使い続けているんです。
――きっと、日本でもマネする子どもがでてくると思います。
そうなったらきっと、母が喜びます(笑)
マット・ギタウ
2001年、18歳のときブランビーズでスーパーラグビーにデビュー。2004年にブランビーズのスーパーラグビー優勝に貢献。2002年に20歳でオーストラリア代表に選ばれ、ワールドカップには2003年(準優勝)、2007年(8強)、2015年(準優勝)と3大会に出場。オーストラリア代表103キャップは元主将のジョージ・グレーガンやジョージ・スミスらに続き同国6位。
06−07シーズンまでブランビーズ、07−08から2シーズンをフォース、10−11シーズンは再びブランビーズでプレーしたあと、2011年にフランスリーグ TOP14のRCトゥーロンに移籍。2013〜2015年ハイネケンカップ(欧州チャンピオンズカップ)3連覇、うち2014年はTOP14との2冠を達成した。2017年、日本のサントリーに移籍した。178cm、85kg。
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※9/2(土)夜11:40〜 WOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信
クレルモン・オーヴェルニュvsRCトゥーロン 9/3(日)夜11:45〜 [WOWOWプライム]
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