ラグビー史に名を残すジョージ・スミス 「日本は若い世代の育成が必要」

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18歳から37歳まで常に世界トップレベル

世界中で活躍してきたサントリーのジョージ・スミス 【写真提供:WOWOW】

 1999年、18歳のときにスーパーラグビーのブランビーズでデビュー。タックル後にそのままボールを奪い取る「ジャッカル」を代名詞に、2001年、2004年の優勝に貢献。オーストラリア代表では2003年のワールドカップ準優勝など111キャップを誇る。
 2010年以降は北半球に移り、フランスリーグTOP14のRCトゥーロン、日本のサントリーサンゴリアス、フランスリーグTOP14のスタッド・フランセ、リヨン、イングランド・プレミアシップのワスプスでプレーし、昨年サントリーに復帰するや4年ぶりの優勝に貢献。さらに今年はオーストラリアのレッズでスーパーラグビーに復帰した。国境を越え、赤道を越え、年齢の壁を超えて圧巻のパフォーマンスを続ける37歳のレジェンドが語るフランスのラグビー、世界のラグビー、日本のラグビーとは。

フランスは「どこのスタジアムに行っても独自の雰囲気」

――ジョージさんは世界中でプレーしてきましたね。その中で、フランスリーグの特徴について教えてください。

 フランスリーグTOP14はエキサイティングな大会だと思います。リーグの中には世界中からたくさんの選手が集まっている一方、地元フランスの、経験豊富で優秀な選手もたくさんいます。ラグビーとしては、伝統的にセットピース(スクラム、ラインアウト)が重視されているのが特徴だけど、チームによっていろいろなカラーがあって、ゲームの進め方にもそれぞれの特色があります。選手の一人としてプレーするのも、見るのもエキサイティングな楽しい大会だと思います。

――ジョージさんはイングランドのワスプスでもプレーしました。

 イングランドのラグビーには単調なイメージがあったけれど、実際に行ってみたら思っていた以上にエキサイティングで、才能豊かな選手がたくさんいました。僕がいたワスプスはとても良いチームでした。コベントリーという街も良かったし、チームメートにも恵まれて、イングランドのプレミアシップとヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップの両方でセミファイナルまで行くことができて幸運でしたね。リーグ全体として見てもレベルが高かったし、プレーしてとても楽しいリーグでした。

――イングランドは意外だったというと、フランスは予想通りだったのですか?

 オーストラリアで育った僕にとって、フランスに文化の違いがあるのは予想できました。言葉も含めていろいろなことに適応する必要がありました。実際、その国、その地域の文化、サポーターの気質やチームの歴史、その土地の歴史を知ることは大事な要素でした。
 ラグビーとしては、TOP14はとてもフィジカルな大会だったけど、それも予想できました。あとは、チームによってスタジアム、トレーニング場などの施設の構造や雰囲気が結構違っていたのは新鮮な経験でした。初めて行くところが毎回、全部違う。それは僕にとってチャレンジでしたね。

――フランスで、特に思い出に残っているスタジアムとかありますか?

 フランスの特徴として、チームは伝統的に町のチーム、地域を代表するチームだということがあります。クラブに対しては、ファンの情熱、自分たちのチームだという思い、オーナーシップが感じられます。だからどこのスタジアムに行っても独自の雰囲気がある。それはフランスの素晴らしい面ですね。それはイングランドでも感じたことです。

 スタジアムについても沢山の思い出があります。スタッド・フランセのスタジアムは美しいスタジアムでした。同じパリのチームのラシン92とのダービーマッチは、僕のフランス生活のハイライトの一つですね。RCトゥーロンにいた2011年、ハイネケンカップ(現:ヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ)の準々決勝を戦ったバルセロナも素晴らしかった。あと、リヨンにいたとき、当時フランスNo.1だったクレルモン・オーヴェルニュをホームで破ったこともありました。思い出すと懐かしい。長い間、いろんなチームでプレーしていると、いろんな思い出ができますね。そこで得た長年に渡る友情が、今でも続いています。

――フランスでは食べ物もおいしかったでしょう?

 僕は、どこでも食べることは好きなんです。これはフランスに限ったことではないですね(笑)。違う文化で、違う人が暮らしていれば、食べ物についても違う発想があるものです。僕のフランスでの最後のシーズンはリヨンだったけれど、リヨンは『美食の都』と呼ばれるくらい食文化が豊かな街でした。だから、住むには素晴らしい街。いろいろなレストランにも行ったし、いろいろな食材、いろいろな料理を味わえて、とても楽しかったよ。
 UK(英国)ではちょっと違うタイプの経験をしました。それは要するに、その地域で最高の場所を見つけ出して、行ってみること。経験を積むということですね(笑)。

「目標はまたトップリーグと日本選手権の2冠を取ること」

サントリーの2年連続2冠に向けて「自分たちにその能力があると感じています」 【写真:築田純/アフロスポーツ】

――今シーズンのトップリーグではどういうパフォーマンスを目指していますか?

 まず何よりも、今季のリクルートについてフロントのスタッフを称賛しないといけないと思っています。パワフルな選手、このチームに何かを足してくれる選手を採用してくれたことについてです。CTB(センター)のマット・ギタウ(オーストラリア代表103キャップ)、同じCTBで身長195cmのキャンベル・マグネイ、No.8(ナンバーエイト)のジョーダン・スマイラー、新たに加わったこの3人は素晴らしい選手です。大学から入ってきたルーキーも含めて、とてもエキサイティングな選手がチームに加わったことで、サントリーが引き続き成功を収めることを望んでいます。

 サントリーはここ数年、コンスタントにいい成績を残してきたチームだし、今シーズンもそれを続けていきたいですね。目標はまたトップリーグと日本選手権の2冠を取ること。そして僕らは、自分たちにその能力があると感じています。

――これから日本のラグビーはどのようになっていくと期待していますか?

 日本のラグビーは、これからも成長を続け、より良くなっていくと思います。サポーターを巻き込んで、世界のラグビーシーンでより大きな存在になっていくでしょう。それにあわせて、日本国内でのラグビーの露出をより高めていく必要がありますね。
 そしてもうひとつ必要なのは、日本の若い世代の育成です。若くて才能のある選手を、インターナショナル・プレーヤーとして、海外のチームを相手に戦える選手に育て上げる道筋を作らないといけません。それができれば日本のラグビーの未来はもっともっと有望になるはずです。僕たち、日本に来ているプロのラグビー選手はみんな、そのためにできるだけのお手伝いをしたいと思っていますよ。

ジョージ・スミス

1980年7月14日、オーストラリア・シドニー生まれ。
18歳の1999年、ブランビーズ入り、スーパーラグビーにデビューし、2001年、2004年の優勝に貢献。オーストラリア代表では2003年ワールドカップ準優勝など111キャップを誇る。2010年からはフィールドを北半球に移し、フランスリーグTOP14のRCトゥーロンでプレーした。2011年から日本のサントリーでプレー、トップリーグ連覇、2年連続MVPを獲得すると、14年から再び欧州に渡りフランスのスタッド・フランセとリヨン、イングランド・プレミアシップのワスプスでプレーし、昨年サントリーに復帰するや優勝に貢献。4度目のベストフィフティーンも受賞した。180cm、105kg。37歳。

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第3節:
RCトゥーロンvsトゥールーズ 9/10(日)夜11:35〜 [WOWOWプライム] ※生中継
ラ・ロシェルvsクレルモン・オーヴェルニュ 9/10(日)深夜2:05〜 [WOWOWプライム]
※9/9(土)夜9:40〜 WOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信

第4節:
トゥールーズvsスタッド・フランセ 9/16(土)深夜1:20〜 [WOWOWライブ] 
※9/16(土)夜9:40〜 WOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信
モンペリエvsRCトゥーロン 9/17(日)深夜1:20〜 [WOWOWライブ]
※9/17(日)夜11:45〜 WOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信

■詳しくは、WOWOWラグビーオフィシャルサイトをチェック!
http://www.wowow.co.jp/sports/rugby/

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