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千葉にもたらした変化、今の課題は精神面
エスナイデルが感じた日本の特徴<前編>
今季から千葉を率いるエスナイデル監督が現状のチームの課題などを語った
今季から千葉を率いるエスナイデル監督が現状のチームの課題などを語った【スポーツナビ】

 今季からジェフユナイテッド市原・千葉の新監督にアルゼンチン人のフアン・エスナイデルが就任した。現役時代のポジションはFWで、レアル・マドリーやユベントス、リーベル・プレートなど各国のビッググラブでプレーした経験を持つ。


 千葉ではハイプレス・ハイラインの攻撃的なサッカーでJ2第33節まで51得点(リーグ4位)を挙げるも、49失点(同18位)を喫し11位に位置している。上位に進出できない要因は、戦術の浸透度ではなく、選手のメンタルにあるという。ここまでのチームの出来をどう捉えているのか。また、ピッチ内にとどまらないというエスナイデル監督のクラブ改革について話を聞いた。(取材日:2017年9月6日)

千葉というクラブの概要、組織体制が気に入った

事前に見た千葉の試合映像で、「サポーター、スタジアムの雰囲気がとても良かった」と語る
事前に見た千葉の試合映像で、「サポーター、スタジアムの雰囲気がとても良かった」と語る【(C)J.LEAGUE】

――まずは千葉からのオファーを受けた理由について教えて下さい。あなたはスペインで選手、監督として実績と評価を残している人物であり、監督業をスタートしたばかりのタイミングでの来日には驚かされました。


 シーズン途中でヘタフェを去った私にとって、昨年はスペイン国内での指揮ができない期間(スペインでは同じシーズンに異なるクラブを指揮できないルールがある)だったので、海外で指導することを考えていました。そうしたタイミングで高橋悠太GMと話をする機会をもらい、お会いする前に千葉の試合や情報を見聞きしました。


 千葉のことを調べている時から千葉での指揮に興味が湧き、会談で高橋GMからプロジェクトについての具体的な話を聞いて日本に行きたい気持ちが高まりました。大枠としてはこうした流れです。千葉が求めていたこと、私が求めていたことで一致する項目が多く、最初の会談から契約までの流れはとてもスムーズでした。


――高橋GMも会談前にあなたが千葉の昨季の試合を数多くチェックしてきたことを明かしていました。チームとしての千葉の印象はどういうものでしたか?


 就任会見でも話しましたが、テクニカルなレベルはチームとして、とても高いものがありました。個々を見てもテクニックのある選手が多く、そうしたチームとしてのベースに私が監督としてもたらせるであろうものをイメージした時に、「いいシーズンを送れるのではないか」という直感がありました。


 また、チームはもちろんのこと試合映像を見た時にサポーター、スタジアムの雰囲気がとても良かったのも印象に残っています。GMから説明してもらったクラブの概要、組織体制も気に入ったので、決断する上で難しい要素は何もありませんでした。


――すでに半年以上、日本で指揮と生活をされています。あらためて日本の印象は?


 とてもいいものです。何も難しいことはありません。唯一、言葉の面からコミュニケーションでの課題はありますが、日本語を覚えることはとても難しいのでそこは致し方ありません。生活についても、言葉の面以外は本当に何の問題もなく、快適に暮らせています。

精神的に強くならなくてはいけない

「私が持ち込んだ戦術は機能している」と語るエスナイデル監督。課題として「精神面の強化」を挙げた
「私が持ち込んだ戦術は機能している」と語るエスナイデル監督。課題として「精神面の強化」を挙げた【(C)J.LEAGUE】

――あなたのサッカーコンセプトについて教えて下さい。


 試合を見てもらえればお分かりの通り、チームとしてはっきりとしたアイデアを持ってプレーしています。試合の主導権を握って主役の座についた中で、結果を狙いにいきたいと考えています。主導権を握るという点に関して言うと、ここまでの大半の試合でそれが実現できていると思います。ただし、チームとして波があるところが課題です。それによって今チームとして上位に付けることができていません。


 とはいえ、アグレッシブに高い位置からプレッシャーを掛けていく中で各ラインをコンパクトにプレーすることを目指しています。ボールを保持している時、チームは心地良くプレーできている。監督として、チームがボールを持っている時にいいプレーをしていることにはとても満足しています。


――コンスタントに結果を出すために必要なことは?


「安定すること」です。特に精神的に強くならなくてはいけません。精神面で波があってはいけない。なぜなら、サッカー面ではわれわれはいいプレーができます。テクニカルな選手が多く、ボールをうまく扱えます。そうしたプレーによって決定機を数多く作れるということを証明しているからです。


 ただし、プレーの再現性という意味では課題もあります。いい試合をした後に、悪い試合をしてしまうこともあります。そういう調子の波がこのリーグにおいて上位に位置できない理由だと考えています。


――ということは、選手のメンタリティーに問題があるということですか?


 今現在はそうですね。一番重要なテーマです。私が持ち込んだ戦術は機能していますし、トレーニングの時間、アイデアに変化を加えましたが、そこもうまく機能しています。それ以外の変化についても選手たちはよく受け入れてくれています。そういう意味では全てうまくいっているように見えます。唯一、精神面でイレギュラーさが出るというところが問題です。


――選手の精神面を強化することには苦労しているのですか?


 はい。それができていれば、間違いなく今よりも上の順位にいます。ただし、そこは時間が解決してくれるだろうという見方もしています。

小澤一郎
小澤一郎
1977年、京都府生まれ。サッカージャーナリスト。早稲田大学卒業後、社会人経験を経て渡西。バレンシアで5年間活動し、2010年 に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験を持ち、指導者目線の戦術・育成論やインタビューを得意とする。多数の媒体に執筆する傍ら、サッカー関連のイベントやラジオ、テレビ番組への出演も。主な著書に『サッカー日本代表の育て方』(朝日新聞出版)、『サッカー選手の正しい売り方』(カンゼン)、『スペインサッカーの神髄』 (ガイドワークス)、主な訳書に『ルイス・エンリケ』(カンゼン)、『ネイマール 若き英雄』(実業之日本社)など。2月20日に発売となった大儀見優季『結果を出すための「合わせる」技術』では構成を担当。(株)アレナトーレ所属

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