リングインにも無限大のこだわり 東京03豊本のプロレスあれこれ(20)
リングインにも選手それぞれでこだわり。高山選手(中央)といえば、トップロープをまたいで入るのがおなじみ 【写真:前島康人】
トップロープをひらりと飛び越えて入るレスラー、サードロープの下をはいながら怪しく入る選手や、リングに入りそうで、全然リングインせずに、お客さんをヤキモキさせる選手までさまざま。
リングへの入り方で、自身のキャラクターをお客さんに伝える選手もいるんです。プロレスの表現力は無限大ですね。
「降臨した感」があるタイガーマスク
タイガーマスクといえば、人差し指を立てながら右腕を上げてトップロープから舞い降りるのがおなじみ。「降臨した感」があって良いですよね 【写真:SHUHEI YOKOTA】
かつてFMWで活躍したハヤブサさんは、開脚跳びでリングインという独自のスタイル。着ているガウンもフワッと広がり実に美しかったです。
ほかにも飛び越えるとはちょっと違いますが、いきなりエプロンからトップロープに立って人差し指を立てながら右腕を上げる。そこからふわりとリングイン。これはタイガーマスクのおなじみの姿ですね。
身の軽さとともに「降臨した感」があって良いんですよねぇ。
タマ・トンガ選手(左)のような怪奇派レスラーははいながらリングインする人も多いですよね 【写真:SHUHEI YOKOTA】
サブゥーやタマ・トンガ、怨霊選手らが、怪しい感じを出すのにロープ下から不気味にスルスルッとリングに入っていく。何が良いって、足音がしない感じが良いんでしょうね。
他にもザ・ロードウォリアーズやテリー・ゴディとスティーブ・ウイリアムスなど勢いよく花道を走り、ヘッドスライディングばりにリングへと入るパターンもあります。これは、不気味さではなく、「もう戦闘態勢ですよ感」を伝えるリングインです。
「普通のリングイン」にも2種類!
藤原組長(右)は相手に隙を見せないようにリングイン。さすがテロリスト! 【写真:チナスキー】
しかし、その入り方は2種類。
エプロンに立ち、ロープに対して半身の状態から片足を前に出して、その足をリングに入れて、体をくぐらせて残った足を入れるパターン。
もう1つは同じくエプロンに立ち、ロープに対して半身の状態から、セカンドロープを持ち、片足を後ろに出してバイクにまたがるようにロープをまたいで、リングに足を入れる。で、体をくぐらせて、残った足を入れる。
要は初動で足を前に出すか、後ろに上げるかなんですけどね。
でも、これもよーく見ると選手の個性というか癖というか、普通にリングインしているだけなのですが、個々の独自のものが見えます。
例えば、三沢光晴さんはリングに入った流れで体を半回転させる。回転癖があるのか、フライングラリアットも相手に当てた後に回転するという、独特の動きがありますからね。とはいえこの三沢さんの入り方は、ただリングインするだけなのに後処理の美しさと品格があるなと僕は思います。
ほかにも、これは僕の考え過ぎかもしれませんが、藤原喜明選手がリングインするとき、リングの中央辺りからエプロンに立ち、そのまま後ろ歩きで自軍のコーナー近くまで行き、リングに入る。
必ずそうしているかと言えばそうでもないかもしれないんですけど、考えると、相手がすでにリングにいる場合にしているのかな?と。リング中央辺りにリングに上がる階段があるとして、そこからエプロンに立ち、そのままリングインするより、自軍に近い方が安全という事ではないかなぁと。リング中央から入ってしまい相手の射程距離内に入らないようにしてるのではないかと。
さすがテロリストです。相手に隙を見せないんですね。