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越川優が行ったビーチ仕様への肉体改造
転向から3カ月、異例のスピードで順応中

ジャパンツアー・平塚大会でベスト4進出

インドアからビーチバレーに転向して3カ月、越川(左)が平塚大会でベスト4進出を果たした(写真は5月のもの)
インドアからビーチバレーに転向して3カ月、越川(左)が平塚大会でベスト4進出を果たした(写真は5月のもの)【坂本清】

 8月26日から2日間にわたり開催された「ジャパン・ビーチバレーボールツアー2017」第7戦、平塚大会ガラナ・アンタルチカ杯で、元バレーボール全日本代表の越川優(ホリプロ)が長谷川徳海(愛媛県競技力向上対策本部)とペアを組み、ベスト4進出を果たした。準決勝で畑辺純希(ウィンコーポレーション)・村上斉(ADI.G)ペアにセットカウント1−2で敗れ、決勝進出は逃したが、ビーチ転向3カ月にしての準決勝進出は前例のない好成績である。


「すべてペアを組んだ長谷川君のおかげです。この大会からペアを組んで、約1週間しか練習をしていないので、今大会は『とにかく練習してきたことをすべて出そう』と思っていました。ゲーム中は長谷川君が指示を出してくれるので助かっています。でも、これからは助けてもらうだけではなくて、自分のプレーの質も上げていけるようにがんばります」


 平塚大会の初日、対戦した庄司憲右(愛媛県競技力向上対策本部)は越川の印象をこう語る。


「さすが長年、日本代表としてプレーしてきただけあってスパイク、ブロック、レシーブ、サーブなどすべてのプレーのレベルが高い。特にスパイクはパワフルで、強打に苦戦しました。転向して3カ月ということを考えると、今後、もっとビーチに慣れてきたら手ごわい相手になることは間違いありません」

インドア時代から体重は6キロ増加

同時期にインドアから転向した石島(左)とともに、合宿でビーチバレーへの順応に取り組んだ
同時期にインドアから転向した石島(左)とともに、合宿でビーチバレーへの順応に取り組んだ【坂本清】

 越川は今年の5月、インドアからビーチバレーへと転向した。直後、日本バレーボール協会ビーチバレーボール競技の今年度の強化指定選手に選ばれ、7月中旬から約50日間、米国・ロサンゼルス合宿で強化を図ってきた。


 合宿では越川と同様にインドアからの転向したばかりの石島雄介(トヨタ自動車)を含む3名と、テクニカルコーチ、フィジカルコーチとともにビーチバレー競技への順応を優先して練習メニューを組んだという。週5日のボール練習と、週6日の筋力トレーニングの成果もあり、体重はインドア時代に比べて6キロ増えた。


 肉体改造を試みたのは、ビーチバレーという競技の特性を考慮した上での決断だ。砂の上で1セット21点、2セット先取のゲームを行うビーチバレーは、インドアと比較すると得点数もセット数も少ないが、使う筋肉、運動量が圧倒的に違う。


 その上、ビーチバレーは初日にグループ戦で2試合を戦い、勝ち進めば翌日、続けて準決勝と決勝戦が行われる。ジャパンツアーは毎週末、日本各地で開催され、仮にすべての大会にエントリーすれば5カ月に及ぶ長丁場だ。平塚大会では、一日目の2戦を終えた直後、「しんどい」と本音をもらして苦笑した。インドア時代からトレーニングや食事には高い意識で取り組んできた越川ではあるが、ビーチでの連戦に耐えるためには、さらに強靭(きょうじん)な体を作らなければならない。


「それでも1試合目は日が陰っていたからまだ良かったんですけれどね。2試合目はきつかったですね」


 容赦なく照り付ける日差しと、大量に流れる汗。バランスを取るのが難しい砂の上でのプレー。体力の消耗が激しいスポーツだということを再認識している最中だ。

ビーチ特有の“風”への対応

 越川がビーチバレーの練習に参加した当初、不安視していたのは“風”だった。平塚大会の初日、2試合を終えたあと、記者に囲まれてこう語っている。


「1試合目、ジャンプサーブでいったんですけれど、自分の感覚ミスによる失敗が多かった。2試合目は1試合目より風が出てきたので、フローターに切り替えました。いい軌道で打てたし、相手も崩れてくれたので、そのままジャンプサーブなしで、フローターでいったのも良かったと思っています」


 ジャンプとフローターのどちらのサーブでいくのか。風や、相手の力量、精神状態などを見て、ペアの長谷川とともに戦略を立てたと振り返る。V・プレミアリーグで3度タイトルを獲得し、越川の代名詞ともなってきたサーブだが、強力なジャンピングサーブより有効であると判断すれば、平塚大会のようにフローターを多用するケースも多い。


 風は、その日の天候だけではなく、コートの形状によっても向きや強さが変わる。観客席がある会場であれば、スタンドで風がさえぎられる。スタンドのあるなしや、高さによっても変わってくる風を計算し、試合中に即座に対応することが求められる。

市川忍
フリーランスライター/「Number」(文藝春秋)、「Sportiva」(集英社)などで執筆。プロ野球、男子バレーボールを中心に活動中。

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