金メダルゼロに平井監督「危機感ある」 萩野らの伸び悩み、海外勢の勢い実感

スポーツナビ

男子400メートル個人メドレー決勝を終えた(左上から)銅メダルの瀬戸大也と6位の萩野公介。右下は優勝した米国のチェース・ケイリシュ=ブダペスト 【共同】

 水泳の世界選手権(以下、世界水泳)の競泳8日目が現地時間30日にハンガリー・ブダペストで行われ、競泳種目および大会全日程が終了した。

 最終日の男子400メートル個人メドレーでは、瀬戸大也(ANA)が銅メダルで3大会連続のメダル獲得。また古賀淳也(第一三共)が同50メートル背泳ぎで銀メダルと大会最後にメダル2つを獲得した。

 今大会の日本競泳陣のメダル獲得数は7(銀4、銅3)。総数では前回のロシア・カザン大会の4を大きく上回ったものの、金メダルはゼロ(カザン大会は3つ)に終わった。競泳日本代表の平井伯昌監督は「若手の台頭はありましたが、オリンピアン、メダリストの記録が伸び悩んでいて危機感を感じています」と話し、「世界レベルでは少し遅れてきた感がある」と大会を総括した。

 以下、平井監督の大会総括コメント。

男子2個メに「金メダルを期待していた」

――率直な感想は?

 2011年以来の金メダルなしで、若手の台頭はありましたが、オリンピアン、メダリストの記録が伸び悩んで、(一方で)海外は伸びていて、危機感を感じています。

――金メダルを期待していた種目は?

 期待していた順に言うと、男子の200メートル個人メドレー(2個メ)と男子200メートル平泳ぎです。ただ、男子200メートル平泳ぎは、彼ら2人(2位・小関也朱篤、3位・渡辺一平)は初のメダルです。昨年から優勝した(アントン・)チュプコフ(ロシア)の泳ぎが目立っていて奥野(景介)コーチに伝えたりはしていましたが、正直必ず金メダルが取れるんじゃないかと期待していたのは男子の2個メです。

――男子の400メートル個人メドレー(4個メ)はどのように見ましたか?

 瀬戸君が3大会連続でメダルを取ってくれたのは素晴らしいと思います。萩野(公介/ブリヂストン)は五輪後にいい結果を残せていなくて、今回の4個メは厳しいと見ていましたが、4月(の日本選手権)から記録を上げられなかったことがすごく引っかかります。萩野、瀬戸のレベルアップがないと(チェイス・)カリシュ選手(米国)の記録を見ると厳しいかなと思います。

女子200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得した大橋。最終日の400メートルは4位だった 【写真は共同】

――大橋悠依(東洋大)選手の4個メ4位という結果はどう見ているか?

 本人とも今日話しましたが、200(メートル)で(銀メダルを)取れて良かったなと思います。記録も伸ばしてくれましたし。あと、(出場した2種目が、大会の)最初と最後なのですごくコントロールが難しいよと心配していたのですが、本人は「試合2つやるつもりでいきます」と言ってました。あらためて今日話したら「すごく難しかった」と言っていました。

 ただ、世界選手権(のプレッシャー)で押しつぶされた感じはない。少し注目を浴びてプレッシャーも増しただろうし、4位だったので「悔しいか?」と聞いたら「悔しい」と言っていたので、次にはつながっていると思います。簡単にはいかないとは思っていましたが、メダルを取れる力はあると思っていたので、今後また頑張ってもらいたいと思います。

――五輪翌年の大会としては記録が出ていたと思うが、どう見ていたか?

 そんなに変わりはないと思います。米国の(ケーレブ・)ドレセル選手とか、リリー・キング選手とかの勢いはすごく感じました。あとはカリシュ選手が萩野、瀬戸と同い年なのですが、米国はNCAA(全米大学体育協会)のルールで在学中は練習時間が決まっていて、(卒業する)23歳になる年ですごく記録が上がります。ただ、それだけ学業を重視していたり、人間として成長することをやっているんだと思います。

 日本(の萩野や瀬戸)が新社会人になってガツンと結果を残せなかったのは、競技に特化し過ぎているところもあるのかなという感じもしています。若い選手も昨年から代表に入ってきてくれていますが、果たして彼女たちは3年後の東京五輪がピークなのか、次の2024年がピークなのかを考えていきたい。橋本聖子さんがよく人間力とおっしゃいますが、そういったことを感じました。

 もちろんトレーニング(の内容)も僕は考えなければいけないのですが、23歳になってどーんとくるカリシュ選手のような存在を見ると、何か先に“果実”を収穫することだけに走ってしまうのも良くないのかなと感じました。萩野ともさっき話しましたが、彼は「実力不足」と話しています。僕は(足りないのは)「総合力」だと思います。水泳で練習をやるのは当たり前ですが、それ以外の部分での成長も期待するし、何か海外の選手が頼もしく見える部分がある。記録は同じだが大人と子供が泳いでいるような印象を僕は感じました。

 大橋は満を持して出てきましたが、あの年代としてやるべきことをやってきた。強化合宿をやったのは今年が初めてで、何か(カリシュ選手ら米国の選手と)似ているところがあるのかなと感じました。海外の伸びはすごいので、僕らはより考えてやらなければいけないとすごく反省しています。

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