萩野公介、200個メ「銀」も悔しさあらわ 不調の原因はどこに――模索続く世界水泳
頑張ってもタイムが上がらない
200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得した萩野公介だったが、表情は晴れなかった 【写真は共同】
喜ばしい結果に、問いかけた記者の声は明るかった。
「悔しいです」
記者のそれとはあまりにもギャップのある低い声で、短い返事が返ってきた。萩野公介(ブリヂストン)を囲む大勢の記者たちは、一瞬にして沈黙に包まれた。
7月27日(現地時間)に行われた水泳世界選手権(以下、世界水泳)の男子200メートル個人メドレー決勝で、萩野公介(ブリヂストン)は1分56秒01で銀メダルとなった。今季の自己ベストタイで、ライバルの瀬戸大也(ANA/5位)に勝利してのメダル獲得だった。
予選のタイムが1分56秒46、準決勝はそれよりも0秒42速い1分56秒04、決勝はさらに0秒03上回る結果だった。しかしこのタイムは萩野のイメージとは離れていた。
「予選はテンポを上げようと思って泳ぎました。ただ、準決勝はそれだときついと思って最後のフリー(自由形)でテンポを落としたのに、タイムはあまり変わらなかった。(メダルを)取りにいこうと思って泳いだ決勝も準決勝とあまり変わらない。頑張りを増やしてタイムが上がらないのは非常に問題だと思います」
本来であれば大会中に課題を修正していくところだが、萩野は今なお、本調子を取り戻す術を模索している。レース後のコメントでも言葉に詰まるシーンが多く見られるだけに、楽観視はできない。
今の苦悩をレベルアップのきっかけに
今大会の出場種目はあと2種目。浮上のきっかけをつかむことができるか 【写真は共同】
準決勝後には「ラストのフリー(自由形)は余裕をもって泳げたのでコンディションは悪くない。集中して泳いだらタイムはもっと出る」と決勝への課題も明確だった。しかし終わってみれば納得のいく泳ぎはできずに、悔しい銀メダルに終わってしまった。
やはり今シーズンの不調な流れが影響しているのか? そう問われた萩野は、原因をまだ分析し切れていないことを明かした。
「流れもあると思いますけれども、それだけじゃない何かがあるんじゃないかなと先生(師事する平井伯昌コーチ)とはさっき話していました。予選、準決勝と比べて歯車がかみ合わなかったという感じだと思う。僕自身、整理ができていないので何とも答えられないですが、気持ち切り替えて残り2種目(4×200メートルフリーリレー、400メートル個人メドレー)も頑張ります」
日本代表のエースは今季ここまでと同様に、今大会に入っても苦悩し続けている。しかし、今もがき苦しむことこそ、選手としてのさらなる成長につながるのかもしれない。
(取材・文:澤田和輝/スポーツナビ)
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