東京五輪への第一歩となる世界水泳 3年後を見据えた各国の強化プランとは?
観客からの声援に応える瀬戸大也。「東京五輪でもこんなふうになってほしい」と3年後のイメージを口にした 【写真:エンリコ/アフロスポーツ】
過去3回の世界水泳を経験する瀬戸大也(ANA)も「すごいです。泳いでいる中でも声援がめちゃくちゃ聞こえるし、今までの大会で一番聞こえます」と会場の盛り上がりに驚きを見せていた。そしてこう続ける。
「東京五輪もこんなふうになってほしいです。自国開催であれだけの声援が降りかかってきたら、やはり声援はパワーになると思います」
3年後に自国で開催されるスポーツの祭典がどのような雰囲気となるのか、選手たちは今から楽しみにしながらもさまざまな形で準備を行っているようだ。
東京五輪を見据えているのは日本だけではない。五輪翌年の世界水泳は、各国選手たちにとっても「次の五輪を見据えた第一歩」。どのような位置付けで今大会に臨み、どのような課題を持っているのか。オーストラリア、ドイツ、ブラジルのチーム関係者に聞いた。
オーストラリア監督「新しい選手を発掘できている」
強豪国・オーストラリアのジャコ・バハーレン監督。今大会では東京五輪を見据えた若手の育成も視野に入れる 【スポーツナビ】
今大会ではここまで金1、銀5、銅2とメダル合計数では全体の3位。相変わらずの強さを見せているが、「メダルという意味では今回のオーストラリアチームは振るわない」とメダル数に不満をあらわにした。しかし「今大会のメーンテーマは、選手たちが自分のシーズンベストや自己ベストを更新することだったので、そういう意味ではうまくいっている」と手応えを語る。
なぜシーズンベストや自己ベストを今大会のテーマに据えたのか。ジャコ監督は理由をこう話す。
「今大会は半分が若手、半分が経験ある選手で代表チームを構成した。経験はすごく大事だが、最終的に結果につながらなければ意味がない。大きい大会で結果を出すのが一番の経験になる」
そして、3年後を見据えた上では「新しい選手を発掘することが今大会できている。そして大きな大会で経験を積ませることもできた。さらに狙った大会でピークパフォーマンスを出すことにも成功した」と笑顔。「東京五輪でのわれわれの目標はとても明確。金メダル5個、メダル15個獲得することだ」と公言するところに、競泳大国としての自信を感じずにはいられない。
控えめながらも計画的なドイツ
ドイツのハラルド・ゲーリング氏は、3年後を見据え、すでに大改革に着手し始めたと明かす 【スポーツナビ】
「今大会は14人の選手を連れてきた。リオ五輪で8位相当のかなり厳しいタイムを設定し、23歳以下にはもう少し低いタイムを設定するという2段階でのメンバー選考を行った。通常のドイツ代表よりも人数は少ないが、3年後を見据えてベストなスイマーだけを連れてきた」
そして具体的な強化策も教えてくれた。
「まずは代表選手を集めて一緒にトレーニングする機会を増やした。そしてドイツ代表の選手たちにはパワーが足りないという課題があるので、ストレングスのトレーニングを増やしている。その部分は今から着手しないと東京大会には間に合わないので、すでに動き出している」
今大会ではまだ銀メダル1つ(女子200メートルバタフライのフランツィスカ・ヘンク)だが、長期的な目線で強化を図っているだけに焦りは見せない。
「今は若手も含めて厳しいスタンダードを与えたので14人だけだが、東京五輪では高いスタンダードを保ったままで20人ぐらいの選手を連れていけるような強化を図っていきたい。日本は水泳が盛んな国なので、今から行くのが楽しみだ」