金メダルゼロに平井監督「危機感ある」 萩野らの伸び悩み、海外勢の勢い実感

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萩野は人間力のアップを

男子400メートル個人メドレー決勝 6位でゴールしうつむく萩野公介=ブダペスト 【共同】

――萩野選手は4×200メートルフリーリレーですごく落ち込んでいたが、立て直すためにはどのような言葉をかけましたか?

 君の銀メダルは君だけの銀メダルではないと。僕の銀メダルでもあるし、チームの銀メダル。簡単に言うと、みんなでやっているんだぞと言うようなことを話しました。

――萩野選手が非常に悩んでいるが、アスリートとして重要な時期に差し掛かっている?

 本人とさっき少し話しましたが、簡単に言うと「プロフェッショナルとはなんだ? 少し考えなさい」という話しをしました。言葉では難しいのですが、例えば一つの成果を出すためには僕の役割があり、萩野がしなければいけないこともある。それは何かと言うと、私生活を充実しながらいいトレーニングをして、コンディションを整えて、プロフェッショナルになったのであれば、みんなの気持ちに応えられるような強い気持ちを持つことが必要です。そして強い気持ちを持つには、自分の中での約束事をきちんと守っていくことなんだと思います。例えば時間を守るだとか。

 彼は水泳では素晴らしい仲間がいますが、「今後人間力をアップするためにはどうしたらいいか?」と聞くと悩むわけです。本を読んだらいいのか、人から学ぶのがいいのかと。せっかく金メダリストなんだし、立派な人間なんだから、もっともっと人とのつながりを広げてほしいし、いろいろなところから学ぶことが必要だと思います。
 練習が足りないのも確かですが、あいつぐらい練習を頑張るやつはいないのも確かなんです。水泳のことを水泳だけで解決しようとしたら限界がきていると思う。東京五輪の年には26歳(大会時点では25歳)になるわけですが、水泳をとったら何も魅力的な部分がないとならないようにしなければいけないなと話しました。

今後はチームジャパンとして戦う

――今回の大会に向けては、各担当コーチがそれぞれに試行錯誤をして迎えたが、良かったと思う部分は?

 今年だけではなくて、この2年間は各選手とコーチが立てたプランでやってきています。私が「やってはいけない」と言ったことは一度もありません。無責任なわけではなく、各コーチと選手が選んだプランでこうやって結果が出たわけです。(大会中は)毎日コーチたちとミーティングをしていますが、足りないところがすごく見えてきてます。
 例えば池江(璃花子/ルネサンス亀戸)選手は村上(二美也)コーチとマンツーマンでやってきています。僕が今井月をあずかった時に、(今井が)経験のある選手がきついトレーニングを当たり前にやっているのを見たように、そういうことを見ることが必要なのかもしれない。今日の夜も話しをするつもりですが、皆で協力をもっと深めていこうとコーチたちで話しています。

 細かい検証はこれからですが、リレー種目はなぜか力が出ている感じがします。ただ個人種目は瀬戸対萩野。瀬戸対坂井(聖人/早稲田大)というような戦いになってしまっている。だから今日は、今まではバラバラだったのですが、(同じ種目に出場する)瀬戸と萩野、そして清水(咲子/ミキハウス)と大橋を、同じ場所から送り出しました。一緒にチームジャパンとして戦う方がいいのではないかなと、さっきミーティングで話していました。個々のやりたいことは当然必要ですが、お互いに助け合っていく、東京五輪の時は国別対抗だという意識をもってやっていきたいと思います。

 あとは金メダルがなくて、4位が非常に多かった。そして2人で残った決勝が5種目でした。ここはちょっと良くなってきたと思いますが、国内のレベルばかりを見るのではなく、世界レベルでは少し遅れてきた感がある。(この結果が)今年で良かったなと思えるようにしたいです。

――100メートルの種目は世界との“距離”を感じるが?

 それもずっとカザン(2年前の世界水泳)ぐらいから言っていたことなのですが、単にパワーをつければいいものではないと思っています。例えばオーストラリアは前までディスタンス(長距離)の国でした。それが弱点強化を進めた結果、今ではスプリントの国になってしまった。

 足りないところは僕らもすごく感じていますし、昨年も50メートルのバタフライとフリー(自由形)でメダルを取ったコーチや選手たちとも話した。今回(銀メダルを獲得した)古賀(淳也/第一三共)君の50メートル背泳ぎは別として、(メダルを獲得した種目は)やはり長め(の距離が多い)。ただそこが日本の良さなので、良いものを取り入れて今までのものを消し去るということはしないようにしなければいけないなとコーチとは話しています。根本的なところから、もう一回考え直さなければいけないと考えています。

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