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常軌逸するメイウェザーvs.マクレガー
全米が注目する“究極の金儲けファイト”

“サーカス”のようだったキックオフ会見ツアー

メイウェザーvs.マクレガーのキックオフ会見ツアーでは、放送禁止用語が飛び交う“サーカス”のようなイベントとなった
メイウェザーvs.マクレガーのキックオフ会見ツアーでは、放送禁止用語が飛び交う“サーカス”のようなイベントとなった【Getty Images】

 会見の間中、放送禁止用語を何度聴いただろう? 賛否両論はあれど、いわゆる“Fワード”ばかりが飛び交うイベントが、過去のフロイド・メイウェザー(米国)の会見よりも大きなインパクトを生み出したことは否定できまい。


 現地時間(以下同)8月26日、40歳になった無敗の元5階級制覇王者メイウェザーは、ラスベガスのT−モバイルアリーナで約2年ぶりとなる復帰戦に臨む。対戦相手は米国の総合格闘技団体「UFC」のトップスター、コナー・マクレガー(アイルランド)。異種格闘技戦の趣が漂うが、れっきとした12ラウンドのボクシングルールでの一戦である。


 この試合のキックオフ会見ツアーが、7月14日までの4日間、ロサンゼルス、トロント、ニューヨーク、ロンドンで開催された。13日、バークレイズセンターで行われたブルックリン会見は実に13165人のファンで超満員。メイウェザーはマクレガーを“いかさま師”、“サーカスのピエロ”と罵り、壇上で1ドル札をばら撒くパフォーマンスでファンを喜ばせた。


 一方、上半身裸にミンクのコートを着て登場したマクレガーも、メイウェザーの税金問題などに関して挑発的な言葉を連発。カラフルな2人は差別的な言葉まで含めて互いを罵り合い、MMAファンが大半だった大観衆を煽っていた。


 メイウェザーはボクシング界を代表するヒール、トラッシュトーカーだが、マクレガーの壇上での存在感はメイウェザー以上。クラシカルな雰囲気も常に漂う従来のボクシング会見とは違い、今回のイベントはまるでシナリオのある“サーカス”のようだった。


 好き嫌いは分かれるはずで、伝統的な部分を好むボクシングファンの大半は拒絶反応を示すのかもしれない。しかし、話題性と注目度は抜群。会見後、会場近くの地下鉄内は興奮した若者たちで満たされていた。端的に言って、この派手さと話題性がゆえに、今回の荒唐無稽なファイトは実現に至ったのだろう。

莫大な経済効果が見込まれ試合が実現

“金の亡者”メイウェザー(左)は、壇上で1ドル札をばら撒くパフォーマンスも
“金の亡者”メイウェザー(左)は、壇上で1ドル札をばら撒くパフォーマンスも【Getty Images】

 2015年9月のアンドレ・ベルト(米国)戦で引退を発表したメイウェザーが、いずれ現役復帰することは予想されていたことではあった。しかし、マクレガーとの試合が本当に実現するとは誰もが思わなかったというのが正直なところ。理由はシンプルで、まともなファイトになりそうにないからだ。


 デビュー以来49戦全勝(26KO)の歴史的王者と、いかに格闘技のスーパースターとはいえ、ボクシングでは0勝0敗の選手との対戦。ボクシングルールならボクサーが絶対有利で、好内容は期待できない(MMAルールなら逆にマクレガーの秒殺勝利だろう)。そもそもこれほど実績に差のあるカードを、健康管理にうるさいアスレチック・コミッションが認可すると思えなかった。


 ところが、当初は難色を示したネバダ州コミッションは結局はゴーサインを出す。その背後で、ネバダ州にもたらされる莫大な経済効果が考慮されたことは明白。こうして挙行に障壁がなくなり、前代未聞の一戦は動き始めたのだった。

杉浦大介
杉浦大介
東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)