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常軌逸するメイウェザーvs.マクレガー
全米が注目する“究極の金儲けファイト”

メイウェザーにとって“美味しい試合”

約440万件のPPVを記録したメイウェザーvs.パッキャオを超えることも不可能ではない
約440万件のPPVを記録したメイウェザーvs.パッキャオを超えることも不可能ではない【Getty Images】

「俺のファイティングIQは極めて高い戦い。攻めるべきとき、攻めるべきではないときを理解している。(メイウェザーは)同じスタイルで戦い、同じことばかり言う。俺は右でも左でも、様々なスタイルで戦えるんだ」


 マクレガーはそう自信を語るが、現実的に勝利のチャンスがあるとは考え難い。12ラウンドのファイト、10オンスグローブの使用も初めて。最近の練習フィルムを見ても、ボクサーの動き、パンチの打ち方ではない。そんな背景を考えれば、メイウェザーが最終的に今戦の挙行を望んだのは逆に当然に思えてくる。


 自称“The Best Ever(史上最強)”のディフェンスマスターは、初黒星の危険の少ない一戦で節目の50連勝に到達できる。興行的な大成功も確実。全盛期ですらリスク回避が主眼に感じられることが多かったメイウェザーにとって、これほど美味しい試合は他になかったはずだ。


「大金が稼げるのに、やらない理由がどこにある? 多くの人たちはボクシングがビジネスだという事実を忘れているんだ」


 メイウェザー対マクレガー戦に対する批判的な声は後を絶たないが、メイウェザー・プロモーションズのレナード・エラービー社長の言葉は余りにも正しい。


“金儲け(money grab)のファイト”と批判の声もあるが、実際に米国のボクシングの大部分は金儲けである。“メイウェザーの相手選びに落胆した”という気持ちは十分に理解できるが、それならば100ドルのペイ・パー・ビュー(PPV)料金を払ってまで見なければ良いだけのこと。そして、誰がなんと言おうと、普段はボクシング、格闘技に興味のない層から支持されるこの試合は、米国国内ではとてつもない興行収入を弾き出しそうだ。


「(PPV売り上げが伸びるか)疑いもあったが、会見ツアーの盛り上がりを見て考えは変わった。メイウェザー対マクレガー戦は、マニー・パッキャオ(フィリピン)戦のPPV売り上げ記録を塗り替えるだろう」


『ESPN.com』のダン・レイフィール記者はブルックリンでの会見後にそう語り、PPV売り上げは約440万件で、実に6億ドル(675億円)以上の興行収入を叩き出した15年5月のメイウェザー対パッキャオ戦以上のビッグビジネスになると予想している。常軌を逸した会見ツアーの注目度を考えれば、実際に記録更新は不可能ではないのかもしれない。

亀海vs.コット、カネロvs.ゴロフキンにも大きな影響

“究極の金儲けファイト”に向けて、全米が喧騒に包まれていきそうだ
“究極の金儲けファイト”に向けて、全米が喧騒に包まれていきそうだ【Getty Images】

 このイベントの話題性のおかげで、同じく8月26日にカリフォルニア州で開催されるWBO世界スーパーウェルター級王座決定戦ミゲール・コット(プエルトリコ)対亀海喜寛(帝拳)戦は影の薄いファイトになってしまった。


 何より、わずか3週間後の9月16日に同じくラスベガスで行われる世界ミドル級統一戦、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)対サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)戦のPPV売り上げに少なからずの影響を及ぼすだろう。


 常識、通例を破壊し、様々な意味で論議を呼ぶ2017年最大の一戦――。


 周囲のすべてを飲み込むブラックホールのように、批判すらもエネルギー源にして、“究極の金儲けファイト”は前に進んでいく。この試合のファイトウィーク中は、ラスベガスを、いや全米を、とてつもない騒ぎが包み込むことになりそうだ。

杉浦大介
杉浦大介

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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