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“頭脳派”の世界記録ホルダー、渡辺一平
お家芸・平泳ぎ復活への明確なアプローチ

 水泳の世界選手権(以下、世界水泳)が7月14日、ハンガリーのブダペストで開幕。競泳(23日〜30日開催)の日本代表に選ばれた、全25選手の大会への思い、これまでのストーリーとは。全25回連載の第23回は、平泳ぎの渡辺一平(早稲田大)を紹介する。


■渡辺一平を知る3つのポイント

・200メートル平泳ぎの世界記録保持者

・課題や狙いを常に持っている自己分析力に優れたスイマー

・小関也朱篤とのダブル表彰台で日本のお家芸復活を狙っている

日本選手権2位も焦りなし

記録に注目が集まるなか、渡辺は明確な課題を持って日本選手権に臨んだ
記録に注目が集まるなか、渡辺は明確な課題を持って日本選手権に臨んだ【写真:田村翔/アフロスポーツ】

「世界記録を目標にレースに臨みたいと考えていますし、課題を明確にしたいとも考えています。世界水泳に向けた泳ぎをこの大会でしたいと思います」


 今年1月に行われた東京都選手権の200メートル平泳ぎで、2分6秒67のタイムをたたき出し、世界記録保持者となった渡辺一平(早稲田大)。日本人選手が持つ世界記録は現在この1種目だけである。当然の流れで4月の日本選手権でも記録にばかり注目は集まったが、本人はいたって冷静だった。そして、自己ベスト(=世界記録)更新よりも本人が強く意識していたのは「課題」を見つけること。「前半から思い切ったレースはしたことがないので、ラスト50メートルでバテるレース展開も予想される。でもバテてしまった方が課題は明確になる」と話したうえで、200メートル平泳ぎのレースに臨んでいた。


 終わってみれば、ライバル小関也朱篤(ミキハウス)に次ぐ2位。タイムも2分7秒6と振るわなかった。しかし渡辺は晴れやかな表情でこう語った。


「前半から思い切ったレースをするというのをずっと掲げて練習してきたので、それはしっかりとできたんじゃないかなと思っています。ラストを粘れなかったのは力不足だと感じますが、課題を明確にできたのでやはりいいレースだったと思います」


 世界記録保持者の余裕すら感じさせるシーンだった。

お家芸復活へ、渡辺の算段

ジャパンオープンでは、世界記録を記念してプレート授与式も行われた
ジャパンオープンでは、世界記録を記念してプレート授与式も行われた【写真:築田純/アフロスポーツ】

 渡辺には他にも、トップスイマーを思わせる特徴がある。それは“自己分析力”だ。いつもその瞬間の課題や今すべきことを明確に把握しており、積極的に口にする。それも数字を交えて明確に理論立てて。たとえば5月のジャパンオープン前日に話していた、ストローク数に関するこんなコメントがある。


「(世界記録を出した)東京都選手権では、最初の50メートルが13かきだった。日本選手権は前半思い切っていこうと思っていたので、最初の50をいつもより1かき多い14かきで入りました。その中でラスト50ではバテたので、そこを13かきにして日本選手権と同じ28秒7で最初の50メートルを入れれば、ラスト50も持つと思う。少ないストロークでタイムを上げる練習をしてきています」


 冷静に自分の泳ぎを分析し、練習や次の試合に生かしていく。世界水泳に照準を合わせた渡辺は、今取り組むべき課題を明確にし、着実に準備をこなしてブダペストへと乗り込んでくるはずだ。


「狙った大会、狙ったレースで結果を出すというのがこれからの課題だと思っています。それを7月の世界水泳で必ず達成したい。昨年のリオデジャネイロ五輪でメダルが取れなくて、小関さんと悔しい思いをした。日本のお家芸復活という気持ちも込めて、ダブル表彰台を取って、僕自身は世界新記録で優勝できるように頑張りたいと思います」


「世界新」で「ダブル表彰台」。世界記録をマークした男からこんな言葉を聞くだけで、日本のお家芸復活への期待は膨らむ。


(文:澤田和輝/スポーツナビ)

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