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今季絶好調の“パパスイマー”小関也朱篤
まだ見ぬ我が子へ誓うメダルへの想い

 水泳の世界選手権(以下、世界水泳)が7月14日、ハンガリーのブダペストで開幕した。競泳(23日〜30日開催)の日本代表に選ばれた、全25選手の大会への思い、これまでのストーリーとは。全25回連載の第21回は、平泳ぎの小関也朱篤(ミキハウス)を紹介する。


■小関也朱篤を知る3つのポイント

・日本新や自己ベスト更新と今季絶好調

・平泳ぎが得意種目だが、学生時代は自由形をメインにやっていた

・世界水泳直後に第一子が誕生予定

自由形の経験が平泳ぎでの活躍に

25歳となった現在も母校で練習をする小関也朱篤。188センチの体は学生たちの中でもひときわ目立っていた
25歳となった現在も母校で練習をする小関也朱篤。188センチの体は学生たちの中でもひときわ目立っていた【スポーツナビ】

 6月下旬、日本体育大学のプールに訪れると真っ黒に日焼けした選手たちがもくもくと泳いでいた。その中に、学生たちに交じってトレーニングに励む小関也朱篤(ミキハウス)の姿があった。身長188センチの大きな体は、体格のいい学生たちの中でもひときわ目立っていた。


 学生時代の恩師・藤森善弘を慕い、25歳となった現在も母校を拠点にトレーニングを続ける小関。メニューも基本的に学生と同じものをこなしている。今でこそ平泳ぎを得意とするスイマーだが、高校までは自由形が中心だった。この自由形の存在が今の活躍に関係しているという。


「高校3年生のインターハイの時に100メートルの平泳ぎに出場したら3位になって、それをきっかけに藤森コーチからお声をかけていただいて(日体大に)入学しました。1年目は平泳ぎの練習をかなりやっていて、インカレ(日本学生選手権水泳競技大会)も平泳ぎに出たのですが全然ダメで、1年の冬くらいにコーチから『(もともとやっていた)自由形をやりなさい』と言われたんです。その時はそれが平泳ぎにつながってくるとは全く思わなかったです」


 コーチの言葉で再び自由形の強化を進めることとなった小関は、練習の8割を自由形に割いた。すると大学2年の夏のインカレでは200メートル自由形と100メートル平泳ぎで自己ベストを更新。全体の2割ほどしか練習していなかった平泳ぎも好記録が出て、「久しぶりのベストだった」と本人も当時を懐かしむ。


 その後、小関は3年の冬まで自由形の練習に取り組むこととなる。その中で平泳ぎの記録が伸びた理由を、藤森コーチにこう説明されたという。


「自由形は基本的な泳ぎ。水をかく腕の動きの地固めをしつつ、持久力やパワーを養っていく。試合が近くなって平泳ぎをした時に、腕のかきがスムーズにできたり、力強く感じたりというのを実感できるように、とおっしゃっていました」

北島の映像に見入った大学時代

藤森コーチの方針もあり、小関は自由形の練習に励むことで平泳ぎの土台を固めた
藤森コーチの方針もあり、小関は自由形の練習に励むことで平泳ぎの土台を固めた【写真:築田純/アフロスポーツ】

 もう一つ、大学時代に小関の成長を促したものがあった。それは大学の先輩でもある北島康介の存在だ。


 もともと高校卒業後に消防士を目指していた小関だったが、2008年の北京五輪で北島の活躍を見て、水泳の道で勝負することを決心。大学時代には、その憧れの存在である北島の泳ぎを徹底的に研究した。「先輩が寝静まってテレビを使えるようになった夜中に、寝る暇も惜しんで映像を見ていましたね」と当時を振り返る。


 大学4年になるとその努力がようやく実り始める。12年のジャパンオープンで100、200メートル平泳ぎでともに3位に入ったのだ。さらに翌年の同大会では100メートルで北島と接戦を演じる(2位)までに肉薄。そして14年の日本選手権では、同種目7位に終わった北島のみならず、ロンドン五輪で銅メダルの立石諒にも競り勝ち、初優勝を果たした。


 一躍、日本平泳ぎのトップスイマーに成長した小関は、15年の日本選手権で100メートルと200メートルの2冠を達成し、世界水泳の代表に選出される。しかし、メダルの期待も高まっていた同大会では本来の力を発揮できず。100メートルで準決勝敗退、200メートルも5位に終わった。


 前年の悔しさを胸に臨んだリオデジャネイロ五輪も、世界の壁の高さを痛感する大会となった。出場3種目すべてで決勝に進出したものの、メダル獲得はならず(100メートル6位、200メートル5位、400メートルメドレーリレー5位)。レース後は「自分に対する物足りなさがある」とうつむいた。

スポーツナビ

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